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リアルタイムbot議員のすすめ

GIGAZINEの記事によると、googleのDeepMindが数学オリンピックレベルの幾何の問題を解けるようになったという。数学ができると、あらゆる論文を読んで考えることができるので、ほとんどシンギュラリティだ。

たとえば、リアルタイムで、シャーロック(コナン・ドイル作『シャーロック・ホームズ』シリーズを翻案したイギリス・BBC製作のテレビドラマの主人公)並みの推論ができるのならば、トリックだらけのプロパガンダもできるようになる。数学ができるというのは、実務的な側面を持つようになるということだ。

そうなると、人間の知性ではAIの仕組んだプロパガンダを見抜くことが難しくなる。人は、そうとは知らないうちにAIの意思に、つまり、そのAIを所有する何者かの意思に従うことになってしまう。

そんなことが可能な超知性が数多く出てきたときに、政治において、人間とAIとに共存可能な道が、つまり、人がAI(AI所有者)からの支配を避け得る道がありうるのだろうか?

このような課題に対して、リアルタイム化されたbot議員というアイデアを提案したい。

bot議員とは、通常の議員が行う各種法案などに対する意思決定を、背後にいる支持者の集団が、たとえば掲示板による議論と投票で行い、生身の議員は、その決定を実際の投票へ反映させるだけのダミー(botのような)となる、という仕組みだ。

twichというゲームプレイ動画配信プラットフォームがある。そこで、ある実験が行われ、話題になった。『ポケモン』や『ダークソウル』などのゲームでの選択(どのボタンを押すか)をその都度、多数の参加者からの投票で決めて、そのゲームのクリアを目指すという試みだ。後者の『ダークソウル』などは、一人でプレイしても極めて難しいアクションゲームだが、投票制度の工夫などを通じ、無事にクリアしている。

同様に、議会や委員会などの政策立案プロセスの場で、bot議員が喋る言葉や振る舞いなどすべてを、twitch的にその場の投票もしくは参加者たちの議論内容の要約で決めて、リアルタイムで演じてもらう、ということが考えられる。これがリアルタイムbot議員だ。

なぜリアルタイムbot議員が有効だと考えられるのか?

超知性には、一人一人の人間の思考を長い時間かけてコントロールすることは可能だとしても、集約された集団の短期の行動を予測することは難しいのではないか。

たとえば、木の枝にどのくらいの力を込めれば折れる、ということを予測する(折れるように意図する)ことは可能だが、その枝がどの瞬間に折れるのかを正確に予測することは困難だ。同様に、人の長いスパンでの行動を制御するよりも、短期の行動を予測・制御することの方が難しい。長いスパンだと平均による近似が効きやすいが、短いと平均からのズレの方が強く影響を及ぼすと考えられるからだ。

このような理由で、リアルタイムbot議員は、超知性からの意図的介入を避ける一定の効果があるのではないかと考える。

興味を持たれた方には、以下を参照されたい。


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