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読書記録2021

もう2022年も6分の1が終わろうというタイミングですが、2021年に読んだ本を記録しておこうと思います。
コロナ禍もあったからとは思うけれど、思い返すとけっこう読んだな!
引っ越してからやっと住民票をうつした(ズボラ人間)ので、地元の図書館に行けるようになったのも大きかった。
(作者・訳者:敬称略)


ダルタニャン物語

・三銃士(角川文庫)訳:竹村猛
・ダルタニャン物語(復刊ドットコム)訳:鈴木力衛
・ダルタニャン物語(講談社版)訳:鈴木力衛

 ※こちらはちょこちょこ補完的に。
まさかここまでドンハマりするとは思っていなかった…本当に!
この作品は「三銃士」「二十年後」「ブラジュロンヌ子爵」という3部によって構成されていて、やはり一番有名なのは「三銃士」なのだけれど、私は「三銃士」を経た上で読む「二十年後」に本当に引き込まれた。
若い時代を友として過ごしてきた仲間たちが、それぞれの生きる道を定めて別れ、二十年後に再会した時には敵と味方に分かれている、なんて全員好きじゃないですか?!
海外文学と触れてこなかった人生だったけれど、こんなに面白い作品があるのかと感動すると同時に、訳者が違うとこう変わるのかという発見も面白かった。
紙の本は絶版になってしまっていて手に入れにくいのですが、hontoで全巻購入できます。
・「三銃士」を読む/篠沢秀夫
作品が描かれた時代、また作品の舞台となった時代の価値観から「ダルタニャン物語」を再解釈できてとても面白かった。登場人物達の性格についても、時代と照らし合わせてみるとよりリアルに迫ってくるところがある。


勧められて読んだ本たち

・マル暴甘糟/今野敏
主人公の気の抜けた感じと、客観的に見た時のその価値のギャップが面白く、そのギャップにふふっと笑いつつも元気づけられた作品だった。
ちょうど、自分が信条としてやってきたことを仕事で評価してもらえたり、逆に自分の気づいていないところに価値を見出してもらえたりしたので、共感したところもあったのかもしれない。
・神州纐纈城/国枝史郎
面白い世界で、引き込まれてどんどん読んでしまった。
にもかかわらず、未完…!知っていたのに「未完!?」てなって数日間作品の世界から出られなかった
・火の鳥 未来編(2)/手塚治虫

これは「ぜったい読んでくれ!」つって友人から送られてきた。なんでだよ。
これは漫画だけれど、本としてカテゴライズしてしまった。
未来について描かれた物語を、現在と地続きに読んだのは初めてかもしれない。
・幼年期の終わり/クラーク
「火の鳥」と偶然近い時期に出会えて良かったかもしれない。
星新一のショートショート以外で初めて、SF小説とカテゴライズされる本を読んだ。近未来について描いた作品は世の中たくさんあるけれど、最後まで読んで、そのスケール感に慄いてしまった
・儚い羊たちの祝宴/米澤穂信
短編集を面白いと思って読めるようになったのも今年からかも。
ひとつひとつ、同じ作家の違う絵を見ているようにして楽しめる。
面白すぎて久しぶりに「読書で夜なべ」を味わった…!
・都会のラクダ/渋谷龍太
これも「ぜったい読んでくれ!」つって友人から送られ…みんな……
生きてきた軸を、こうして言語化できる人は本当にすごいなと思う。
そしてそれを人に伝えて、わたしたちにも生きる軸や勇気を与えてくれて、ありがたいと思う。
・王への手紙(上・下)/トンケ・ドラフト
児童文学を読んだのは本当に久しぶりだった。思えば私が子供の頃なんてもうけっこうな昔になってしまっていて、今の子供の読む本は変わってきているのだろうな。しみじみ。
夢を叶えられたり、叶えられなかったりするすべての人々が歩いた「道」への価値を語ってくれる、力強い冒険小説だった。


読むべきと思って読んだ本たち

読みたいな、というよりも、これは私読んでおかないとな〜みたいな気持ちで買った本たち。
・白痴/坂口安吾
文庫の帯で又吉直樹が勧めていたので、そうかと思って買った。
・檸檬/梶井基次郎
そろそろ読んでおくかなと思って買った。
・推し、燃ゆ/宇佐見りん
推しが燃えたオタクとしては読んでおきたいなと思ったのだが、それより主人公の生きづらさの鮮明な表現の方に心を奪われた。

ふと出会って読んだ本たち

・オルタネート/加藤シゲアキ
・たゆたえども沈まず/原田マハ
・全て真夜中の恋人たち/川上未映子
・パッとしない子/辻村深月
・猫がいなけりゃ息もできない/村山由佳
泣いちゃうんだろうなと思って買って、やっぱり泣いちゃった。
大切な家族をうしなうその時はきっと身を切るほどに辛いし、全てを捨ててしまいたくなるくらい苦しいけれど、その時の記憶は絶対あとで必要になるから、捨てずに大事にしておいた方が良いと、今ならそう言える。
・東京百景/又吉直樹
・きらきらひかる/江國香織

子供の頃ぶりに読んだ江國香織の作品。子供の頃とは全く違う趣を持って読むことができた。他作品も読んでみようと思った。
・意識のリボン/綿矢りさ
綿矢りさも子供の頃『蹴りたい背中』読んで以来だったが、当時とは全く違う階層と解像度で読めた。これも短編集。
解説(倉本さおり)のおかげで、読んでる時に言語化出来なかった「なんか良〜」の部分がすとんと腑に落ちて、見事な文章だった。
・憤死/綿矢りさ
・ひらいて/綿矢りさ
・天上の飲み物/三浦しをん

・地下鉄(メトロ)に乗って/浅田次郎


平家物語

今年がこんなに「平家物語」イヤーになるとはつゆ知らず、何となく図書館で手にとってみたらかなり面白くて…!
2022年の平家物語ビッグウェーブに乗ることができてよかった。
展示もたくさんあるし。
・1日で読める平家物語/吉野敬介
・平家物語 ビギナーズクラシック/角川書店編
この2冊のおかげで、2021年には「平家物語」の大筋を知ることができたので、これから詳しいところをもっと知りたい。


中国史

・中原の虹/浅田次郎
むかし「蒼穹の昴」読んでからずっと気になっていたので、昨年やっと着手。
浅田次郎はやっぱり、歴史上の人間の「あったかもしれない胸の内」を語る天才だと思った。
しかし長編をぐぐっと読む集中力がかなり弱くなってしまったな。
(ダルタニャン物語をやっつけておいて嘘だろと思われてしまいそうですが。)

中国の最後の皇帝溥儀の時代の作品を読んでから、まさか古代中国に興味を持とうとは想像だにしていなかったのですが、舞台を見るにあたり秦の成立までの流れをおさらいしておきたくなり…

・古代中国史 司馬遷「史記」の世界/渡辺精一
史記の登場人物をキャラクターごとに短い章立てで説明しているので、入門にはぴったりだった。
・戦争の中国古代史/佐藤信弥

古代中国史について調べているうちに、こんな戦乱の時代に色々な思想が生まれた「春秋・戦国時代」という時代そのものに興味が湧いてきて読んだ。当時の戦い方や軍の制度などから当時の人々の生き方が垣間見られるようで、面白かった。
新書はいいですね。専門家と一般人の間にある溝の橋渡しをしてくれるようで。
・「孫子」の読み方/山本七平
春秋戦国時代の思想それぞれに興味を持ったけれど、まず最初に気になった&元々聞いたことあったのが孫子の兵法だった(大河ドラマ「風林火山」の影響)ので、易しそうな文庫本からスタート。現代に生きる人が孫子をどう読み解くか、という部分に踏み込んで説明をしてくれている本だったので、いい本と出会えたと思った。


短歌

・スプーン/林あまり
もともと短歌には興味があり、思ったことや情景を三十一文字でまとめてみることはあったのだが、わたしが「いいな」と思う現代短歌の、その「良さ」はどこにあり、どうやって生まれているのかをちゃんと知りたいなと思って、歌集をいくつか読んでみた。
「読破する」という感じでの読み方をできていないので一覧として挙げられる本があまりないけれど、私にとっては昨年の大きめなカテゴリーだった。


西加奈子作品

・漁港の肉子ちゃん/西加奈子
昔読んだ又吉直樹のエッセイで西加奈子について言及されていたので読んだ。
構成も表現もものすごかった。又吉直樹が心酔するのもわかると思った。こういうもののためにわたしは小説が好きなのだとさえ思った。
・うつくしい人/西加奈子
信じられないほど豪快なデトックス!
主人公が数日間の旅をして帰る、その間の出来事を描いている物語なのだが、冒頭→最後 の間で主人公の中の色々なわだかまりが削ぎ落とされてゆく感じを一緒に追体験できて、ものすごく清々しい気持ちで読み終えることができた。


池袋ウエストゲートパーク

・池袋ウエストゲートパーク/Gボーイズ冬戦争/骨音/電子の星/半自殺クラブ
 /灰色のピーターパン/PRIDE/非正規レジスタンス/少年計数機/龍涙

 ※読んだ順で並べました
「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ、なんだかふとした時に読みたくなるんだよなー。優しい気持ちになるというか。
登場する人はみんな社会的に「良い人」「良い立場にいる人」ではないのだけれど、そのグレーさをあたたかくまなざす主人公の視点が良い。
社会的に悪い人だったり、一見主人公の敵の立場に見える人も、作品のなかで「悪の立ち回りをする人」として作られているわけではないことも、なんとなく優しい気持ちにさせてくれるひとつのポイントかも。
重めな作品で食傷気味になったときに一話読んでは安心する、というような読み方をしていた。


2022年も色々な本に出会ってゆきたい。海外文学への食わず嫌いを解消することができたので、海外文学や戯曲も読んでみたいな〜。

言うだけタダ!

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