既存の畜産農家への異常な補助金が原因？ ー 代替タンパク質の冬から、新興企業と投資家のための公平な競争の場へ
脱炭素にも効果が大きいと言われる代替タンパク質市場は、金利の上昇と共に（その他のHyper Growth銘柄と同様）黒字化のプレッシャーがかかり、価値を極端に減らしています。
しかし、価値は見出されているのにも拘わらず伸び悩んでいる背景に、既存の畜産農家へ配られている異常なまでの補助金があり、これを公平にした場合は、代替タンパク質市場の復興も可能性は大いにあると指摘しています。以下、記事をご参考ください。
代替タンパク質市場は壁にぶつかっている。エニファービオCEOのシモ・エリラは、持続可能なタンパク源が公平な競争の場を得るための政府の役割について説明する。
2022年に中央銀行の金利が上昇し始めて以来、すべてのベンチャーキャピタルが深刻な打撃を受けているが、代替タンパク質への投資は特に影響を受けている。
「代替タンパク質」とは、従来の動物性食品（肉、魚、卵、乳製品）に代わるタンパク質の総称である。平均的な消費者にとっては、これは現在、植物ベースの肉や乳製品の代替品を意味するが、代替タンパク質の分野には、昆虫や微生物タンパク質、実験室で栽培された肉や精密発酵のような、より未来的なコンセプトも含まれる。
共通しているのは、これらのソリューションが動物を使わずにタンパク質を生産する方法を提供し、CO2排出量や森林破壊、生物多様性の損失など、畜産に伴う環境への影響を大幅に削減する機会を提供しているということだ。食料システムは、人類のCO2排出量の4分の1以上を占めており、その大部分は畜産が原因となっている。
代替タンパク質に1ドル投資すれば、電気自動車に投資した場合の11倍のCO2排出量を削減できると試算されている。代替タンパク質の未来に向けた基本的な推進力は明らかであり、環境上の利点に加えて、消費者は動物福祉に反しないより健康的な選択肢を求めている。
代替タンパク質の冬を迎える
株式市場は2021年まで代替タンパク質に強気だったが、VCの投資と評価はその後大きく急落した。ビヨンド・ミートの株価は現在、2019年のピーク時の3％以下で取引されている。どこも似たようなものだ。オート麦ベースの代替乳製品のパイオニアであるスウェーデンのオートリーは、株価が2021年の上場価格から98％急落した。
何が起こっているのか？
2022年までの数年間、売上の伸びは極めて急速で（しばしば前年比3桁成長）、投資家は何よりも収益の伸びを重視していた。その後、代用肉企業は突然二重の打撃を受けた。
まず、各社の売上高の伸びが鈍化し、場合によっては逆戻りさえした。その背景には、ベジタリアンやフレキシタリアンにとって手の届きやすい顧客が限界に達したこと、消費者の可処分所得が伸び悩んでいること、競合他社が参入して先発企業の市場シェアを奪っていることなどがある。
第二に、2022年に金利が急上昇した。これは、投資家にとって、損失を糧とした今日の成長を背景にした遠い将来の収益よりも、今ここでの利益が突然重要になったことを意味する。
各企業は、競争に直面して収益が縮小しているにもかかわらず、どんな手段を使っても黒字を達成しようとする必要があるというスパイラルにすぐに突入した。群れで行動しがちな投資家たちは、"不採算 "の代替タンパク質から手を引くべき時だと結論づけた。しかし、代替タンパク質の基本的な要因がこれほど明確であるならば、なぜ企業は収益を上げることができないのだろうか？
苦しい戦いから公平な競争へ
消費者が購買習慣を変えるには、大々的なマーケティング活動で多額の資金を消費しなければならない。オーガニックへの急速な移行を実現するためには、その製品が既存の代替品よりも優れていて、かつ／または手頃である必要がある。そして、ビヨンド・バーガーのパテのような魅力的な製品はすでにある。製品が主な問題でないとすれば、それは価格に違いない-特にインフレが激しく、消費者の生活費が上昇している今日においては。
牛1頭から1キログラムの牛肉を生産するには、約15キログラムの飼料が必要だ。また、牛を育て、屠殺し、肉を市場に出すためには、多くのインフラと労働力が必要だ。植物性タンパク質を畑から直接スーパーマーケットに届けるのに、いったいどうして2倍以上のコストがかかるのだろうか？
アメリカ経済研究所によると、アメリカ連邦政府の補助金だけで、食肉の価格は1ポンドあたり30ドルから5ドルに下がる。スタンフォード大学の調査によれば、2014年から2020年の間に、従来の食肉と乳製品の生産者は、アメリカとヨーロッパでそれぞれ代替製品に割り当てられた補助金の900倍と1200倍を手にしたという。
ヨーロッパでは、畜牛生産者の収入の50％以上を直接補助金が占めていた。この調査では、これらの業界からのロビー活動の程度も明らかにされた。例えば、代替製品に「ミルク」や「チーズ」といった用語を使用することを禁止し、「イミテート（模倣）」といったラベルを強制することで、彼らのビジネスを混乱させる可能性のある代替製品を抑制することを目的とした法案を推進している。
これは、過去数十年のビッグ・タバコやビッグ・オイルのロビー活動から多くを借りている。
これからどうするのか？
政府の補助金が代替タンパク質により公平に向けられることを期待する一方で、投資家や新興企業は傷をなめ、製品を磨き、代替タンパク質のジェットコースターの次の上り坂に備えなければならない。
消費者のミートフリーへの意欲は高まっており、あらゆる食品、飼料、飲料業界の大手サプライヤーは、サプライチェーン全体をより持続可能なものにするための解決策を探している。つまり、食卓に動物由来ではないタンパク質が並ぶようになるのは時間の問題なのだ。
代替タンパク質のジェットコースターに乗っている新興企業や投資家たちは、最終的なブレークスルーの前に、さらに多くの浮き沈みがあることを期待している！
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