1作目『九龍妖魔學園紀』〜世界で1番売れて欲しいゲーム

アトラス
『九龍妖魔學園紀』

※この記事にはネタバレが含まれます!


音楽の話が続いたので、今日はちょっと趣向を変えて。ゲームのお話でも。

全力で推したいゲーム、といえば、私はまず真っ先にこれを推す。
私が人生で1番ハマったゲームである。


1.隠れた名作『九龍妖魔學園紀』

ゲーマーにはそこそこ有名なゲームであるが、正直世間的な知名度は皆無と言っていい。
先日、友人の紹介でゲームヲタを自称する方とお話しさせて頂いた時も、そのお方はこのゲームを知らなかった。

メーカーはアトラス(開発は違う)
女神転生やペルソナで有名なメーカーさんである。
私はアトラス信者を自称しているので、アトラスの出したゲームはなるべくプレイする様にしているのだが、その中でも、1、2を争うほどに好きなゲームがこの『九龍妖魔學園紀』だ。

昔の私は基本的にゲームを購入する時はジャケ買いを心がけていて、フィーリングを大切にしていた。
パッケージに惹かれ、裏側の紹介をじっと舐めるように眺め、ビビッと来るものがあれば購入する。

おかげでクソゲーつかまされたことも多々あるが、良作を見分ける目もなかなか養われたんじゃないかと思う。
まア、今となってはまずネットで評判を確認し、買うかどうかを数日悩み、どうしても欲しかったら購入するような、つまらない大人になってしまったわけなのだが。

だがそうした買い方をしていたからこそ、この隠れた名作と出会えたのだと思う。
あの時、パッケージから発信される電波をビビビっと受信していなければ、きっと手に取ることもなかったのだろうから。


2.宝探し屋ーートレジャーハンター


トレジャーハンターとは。
世界各地に眠る財宝を探し求め、海、山、遺跡などを探索する職業の人を言う。wiki調べ。

このゲームはロゼッタ協会に所属する新米トレジャーハンターの主人公が、エジプトのヘラクレイオンの遺跡に潜入するところから物語がスタートする。(ちなみにこのヘラクレイオン、まじで実在する海底都市なので興味がある方は調べてみると面白い)
俗に言うチュートリアルのようなものだが、既に作り込みがすごい。
今にもミイラが飛び出して来そうなおどろおどろしい遺跡の雰囲気、カツカツと音を立てる自分の足音。海の下にあるからか、壁から流れ落ちる水音。主人公が持つH.A.N.T(トレジャーハンターに支給されるサポート端末)から聴こえる無機質な機械音声。

環境音や音楽も素晴らしいが、何より冒険の雰囲気を盛り上げてくれるのは、H.A.N.Tの存在がだいぶ大きいと思う。

このH.A.N.T、まアよく喋る。
起動すれば「welcome to H.A.N.T」、敵に出会えば「戦闘体勢に移行しました」、壁に穴が空いていれば「不連続な反響音を確認」、秘宝を入手すれば「秘宝を入手しました」と言う具合に。
この主人公は所謂プレイヤー自己投影型の無口系主人公なので、その代わり、と言っていいほどよく喋る。

絶妙なタイミングで話しかけてくれるH.A.N.Tがいるからこそ、閉塞感の強い遺跡の探索も怖くない。
これが機械音声だからまた良いのだと思う。
今時流行りの萌えキャラとか、ちっさい妖精とか、そういう感じだったら(それはそれで好きなのだけれど)この硬派な雰囲気が崩れてしまう。

そして無事(ではない気もするが)エジプトでの初仕事を終えた主人公は、次なる秘宝が眠る地ーー東京新宿の全寮制高校天香学園に赴任する。
そこからこのゲームの本編が始まる。


3.愛を伝えまくるゲーム


前述したように、このゲームの主人公は自己投影型、無口系主人公である。
選択肢を選んで会話するのは他のゲームと同じだが、『九龍妖魔學園紀』の特徴は感情入力システムにある。
これは友、喜、悲、怒、など、自分自身の感情を入力し、他者に伝えるシステムである。
たまにおかしな反応が返ってくることもあるが、概ねしっかりと機能しているので、自分が喜べば相手キャラも一緒に喜んでくれるし、悲しめば慰めてくれたりする。
最初は感情の割り振りがよくわからず、友とか寒、ってなんだ?と思ったが、友は純粋に肯定、寒は冷たい眼差しというか、呆れ?みたいなものと解釈した。

そしてその感情入力システムの肝ともいえる、とても大切な感情を相手に伝えることも出来る。
それが「愛」である。

老若男女、どのキャラに対してであっても、愛を伝えることが出来る。
推しキャラへの返答を全て“愛“にして、溢れんばかりの想いを伝えたっていいし、例え敵キャラであっても“愛“を押し付ける愛の伝道師になったっていい。
まア、うすっぺらな愛を語る人間が信用出来ないように、このゲームもやたらと愛を語ってばかりいると、相手に信用されず、仲間キャラが増えなくて後々苦労することになるのだが。(叱るべきところはキチンと叱り、悲しむべきところは共に悲しむのが攻略ポイント)

それでも自分のーープレイヤーの意思をゲーム中に反映させる手段として、このシステムは実に画期的なものであることは間違いない。
ちなみに愛を入力した時のキャラの反応は様々で、純粋に照れてくれる子もいれば、呆れ返りながらも渋々受け止めてくれる相棒もいる。
“呆れ返りながら“がポイントで、実に反応がリアルで嬉しい。

このシステム、乙女ゲーとかにも是非移植してくれないかな、と私は思っている。
言葉ではなく感情のまま、推しに愛を連打するゲームとか最高じゃね?


4.『九龍妖魔學園紀』をプレイして欲しい人


まずは私が説明するよりも、この動画を観て欲しい。

この雰囲気にドキドキワクワクした人はもう“買い“だ。
実写映像を使ったゲームが好きな人にも結構向いている。
記紀神話、超古代文明、オーパーツ
これらの単語に思わずオッ!と反応してしてしまう人ももちろん買って損はない。

私はこのゲームで記紀神話にハマり、図書館で日本神話や超古代文明の本を漁ってはよく読んでいる。
『九龍妖魔學園紀』で潜る遺跡は、この記紀神話をなぞるようにストーリーが進んでいくので、ほんの少しでも知識があるとより楽しめる。(特に出雲あたりの神話伝承)

絵柄は今から見ても正直古いし、リアル寄りでちょっと気持ち悪いと思われる人もおられるかもしれないが、大丈夫。そのうち慣れる!
むしろこれが『九龍妖魔學園紀』の味だと、いつのまにか好きになっているから安心して欲しい。

ただし。この主人公はついさっき初仕事を終えた新米トレジャーハンターである。
まだまだ駆け出しの上に装備も大したものを持っていない。
難易度はそこそこ高いので、不安であればリメイクされたSwitch版かPS4版を手に取ってほしい。
後述する追加要素はないが、ストーリー自体は大きく変わらないので、十分『九龍妖魔學園紀』の雰囲気を感じることは可能である。

ちょっと難易度が高くても大丈夫!敵が固くてもイライラしない!と言う方には、是非とも!PS2の追加要素満載版、『九龍妖魔學園紀re:charge』をプレイしていただきたい。
追加の仲間キャラ、無限に潜れる自動生成ダンジョン(蝶の迷宮)、追加エピローグなど、正直これ以外をお勧めするのは辛いほど面白い。
私はいつかこのre:charge版がDLCででも販売されないかとずっと待っているのでどうかアークシステムワークスさんお願いします。

5.余談

『九龍妖魔學園紀』がリメイクされ、限定版の予約が開始された時。
やはり私と同じように待ち望んでいたファンが多かったのか、事前予約は常に瞬殺で、全く予約出来ないことがあった。

どうしても限定版が欲しかった私は、販売元であるアークシステムワークスさんに「限定版の販売数を増やしてくれ!」とお願いメールをさせてもらったのだが。
その返信が定型文なんかじゃなく、ものすごく優しかったし、元々決まっていたのだと思うがそのすぐ後にとてつもない量を増産してくれ、無事に限定版を購入出来たので、私はアークシステムワークスが大好きだ。
売れるかどうかわからない、こんなゲームを掘り返してくれてありがとう。

私は生きている間に『九龍妖魔學園紀』の続編がどうしてもプレイしたいので。
この記事を見てくれたあなたも、興味を持ってくれたあなたも、是非『九龍妖魔學園紀』の名前を覚えてくれると幸いである。

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