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未来からのメール 3通目

「男と女」

今回は、こちらの世界の男と女について話をしよう
君たちの世代は、男女の性別にこだわりすぎていたように思う
男だからとか女だからとか
ここでは男、女と言う性別による区別はほとんどなくなった
性別という言葉自体が無くなったと言っても過言じゃない

昔の男は力が強かった
女の方が子供を育てるのに向いていた
それは昔の話になった

今は、女の方が力が強い場合もある
性別による運動神経の差がほとんど無くなった
男が子供を育てる場合もある

社会全体で性別による区別がほとんどなくなった
一部トイレを除いては

男と女で生活を共にして、子供を育てている家庭もあるが
それが一般的ではなくなった
同性で子供を育てる場合もある

君たちは、古来からの本能のままに自分の好みの異性に惹かれ
結婚し、子供をつくった。

現代の私たちはいつしか子作りをしなくなった
子作りの行為自体しなくなった
なぜかと言うとクローン技術が進化して、人間の細胞から子供がつくれるようになった
同性でも異性でも一緒に暮らしたい人と出会い
お互いの細胞を使って子供をつくる
それが常態化してくると人間が古来から受け継いでいる本能”性欲”がだんだん退化してきた
退化してくると生殖器は用を足すもの以外の機能を失い退化した
そのおかげで性犯罪はほとんどなくなった
変な気を起こす人がいなくなった
性欲が減退すると男性ホルモンや女性ホルモンも分泌されなくなり男らしさ女らしさもなくなった
当初は様々な弊害があると思われたが弊害は無く、逆に人間生活にとってプラスに働いた

君たちのように男女の性別に固執していると様々な犯罪につながったり、社会生活の中で
男だから、女だからという固定概念がストレスの原因となっていることにも気づかない
君たちは「そんなことない!」
というかも知れないが私たちも当初はそうだった
男の主張、女の主張というのがあったが
そこから離れてみると全ての原因は男、女という性別に固執していたことが原因だったということに気づかされた

そこに至るまでには長い年月がかかった
経緯を少し話そう
まず再生医療が高度に進化して、人間のパーツが全て再生可能になった。
人間のパーツが再生可能であれば人間そのものをつくれるのも時間の問題だった
ただ政府は人間そのものをつくる事を禁じていた
倫理観に反しているのではないか?
神の領域を超えてはいけないのではないか?
悪用する人間が増え、人類を脅かすのではないか?
など様々な意見があったからだ
ここからの話は公になっていないが
実は、クローン人間計画は極秘に進められていた
そして、最初の検体となった男女の遺伝子細胞を利用して子供をつくった
研究は成功し、世界初のクローン人間が誕生した
その子の名前を「アダムス」と名付けられた
その子供は、運動神経も抜群で、知能指数もずば抜けて高かった
研究結果は大成功となった

そしてその後も研究所は優れた遺伝子を持った検体から細胞を採取してクローン人間をつくった
クローン人間は通常の人間よりもずば抜けて優れていた為、戦略的に利用する計画も立てられた
ただマスコミによってこのことが公になり世界中のスクープとなった
もっとも各国でも研究が進められていたのでどこの国が発表してもおかしくない状況だった
ここまで来るとクローン人間や技術が出回るのは早かった
そしてクローン人間を自分の子供に迎えたいという人達が後をたたなかった
そして、ようやく政府は国民に許可を下ろした

それからというもの男女関係なく同性の夫婦でも子供が持てるようになった
しばらくするとクローン技術で子供を持つことが当たり前になり、
生まれてくる子供の8割はクローン人間となった
そうするとクローン人間の遺伝子でさらにクローン人間をつくるということを数世代繰り返された
すると次第に性行為自体がなくなり、クローン技術で子供をつくることが常識となっていった
そして、人類から性行為が不要になった
そもそもその性行為自体快楽をもたらすが、それ以上に身体に負担になっていたからだ
身体へ負担があってもその行為をして子供をつくるように人間の本能が快楽を与えた
いつしかその快楽の方が勝り、身体への負担を顧みず子作りをしていたことに気がついた

そして、子作りしなくてもよくなった人間は、快楽自体も忘れてしまった
そこで性欲が減退し、性機能が退化した
もちろん元々いた人類が全滅したわけではない
ただ世代を繰り返すうちにいなくなっていったということだ

今の君たちにはまだ理解できないだろう
今の君たちの常識は、今の君たちにしか通用しない
そのことを理解して欲しい
・・・これから起こることに適応するために


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