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『光る君へ』視聴中、ポルノグラフィティ『サウダージ』の意味が分かった気がした話

はじめに

 『光る君へ』の第二話。CMでも放送されていた場面の話です。吉高由里子さんが演じるまひろが、柄本佐さん演じる藤原道長に「好きな人が居るなら、良い歌を詠んであげるわ」(うろ覚え)と言うシーンがあります。
 CMではあまり深く考えずに視聴していたのですが、この発言が「道長が好きな相手がまひろ以外」という前提が無いとできないことに気付きました。そう見ると、吉高さんの表情も心なしか寂寥を感じさせます。
 そのときに、ポルノグラフィティさんが失恋の歌の題名を『サウダージ』とした意味が分かった気がしましたので、簡単にまとめます。

サウダージの意味

大まかなイメージ

 「サウダージ」はポルトガル語なのですが、航海先の土地で家族や恋人を思うときの言葉、航海に往く家族を送るときの気持ちを指す言葉といわれています。
 ポルトガルと言えば大航海時代ですよね!
 当時は航海によって国が発展していった反面、海で命を落とす人も数知れず……。という時代なので「いざ、海へ!」となると、誇らしい気持ちと、もう大切な人に会えないかも知れないという恐怖の念が湧いてきます。
 その気持ちが「サウダージ」です。日本語で言うと「憧憬」「郷愁」などが当たります。と、言いつつ「サウダージ」の語源は定かではありませんし、完全に対応できる日本語はありません。

緋衣誠の視点から

 と、いう訳で「サウダージ」という言葉に触れた中学二年生時の私は「畢生を鳥籠の中で過ごす渡り鳥」「渡り鳥であったがもう飛べない鳥籠の中の鳥」「切られて生けられたラベンダー」を誕生させました。そして、その三つの存在を通して「自由とはなにか」を失ったものに視点をあてて考えてみました。
 その過程で空や翼や生など、いろいろなものを失わせてしまったのですが、当時の私はとうとう恋人を失わせるという発想には至らなかった訳です。
 発想に至らなかったばかりか、書いている途中で『サウダージ』という曲の存在を知ったので、当時は「サウダージ」って失恋にもはまる概念なのか! と、大変驚いたことを憶えています。
 そして、『光る君へ』第二話を視聴するまでは(なぜ『サウダージ』という題名にしたのだろうか)と考えながらカラオケで歌っていたのです。

ポルノグラフィティの視点を想像して

 まず、まひろのどのようなところに「サウダージ」を感じたか。
 一つ目は、台詞の言い方です。一言ずつ、気持ちを込めて道長に話しかけている様子が、近くに居ながら遠くへ言葉を届けているようでぐっときました。さながら、舟に乗せて感情を送っているようだと思ったのです。
 二つ目は、台詞そのものです。導入でも書いた通り、道長が恋文を送る相手がまひろではないことを前提とした台詞で、なんとも胸が苦しくなりますよね。「好かれていない」と思っているよりは「身分差が大きすぎて結ばれない」と考えて言っていそうなところが救いでしょうか。
 道長が台詞の意図に気付いていなさそうなのが辛いですね。
(第二話は「辛い人」ばかり居たように感じます。そう考えると、道長は優しい人だなと思います)
 上記のことを踏まえて、ポルノグラフィティさんの『サウダージ』は【叶わないと知った恋心を「途中で沈め、途中で沈め」と思いながらも相手へ送ってしまう】歌なのかな。と、考えました。

おわりに

 もうインタビューなどで答えが出ている話題ですが、『サウダージ』という題名の意味について簡単に考えてみました。
 『光る君へ』の第三話はNHKのBS放送では午後6時に、NHK総合では午後8時に放送されるので、是非見てみてください。

 今回もT_GAIさんの素敵なイラストをお借りしました。星のようにも太陽のようにも見える清らかなお花ですね。ありがとうございます。

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