第87回、小説タイムズ・ダイアリーを考案してみた その2
以前投稿した「タイムズ・ダイアリー」という小説考案の続きのあらすじを書いてみました。前回で終わりにしようと思っていたのですが、こんな自分の投稿でも楽しんで貰える事を知って、続きを書いてみたくなりました。
物語の展開が理解できない人は、第61回のあらすじをご覧になって頂ければ幸いに思います。
あらすじ
さきが思いを寄せている少年が、自動車事故で入院をする事になってから、子供と大人の二人のさきの間には、日記での交流がしばらく途絶えていた。
少年が事故に会う事を、未来の大人のさきが事前に伝えてくれなかった理由をいくら聞いても、大人のさきはそれを教えてはくれなかったのだ。
大人のさきには、事故が起きる事を事前に伝えられない理由が二つあった。
それはこの事故の後、子供のさきが少年の見舞いに何度も行くようになり、それがきっかけで、二人の仲が急速に進展する事を知っていたからだ。
そんな事までは子供のさきに伝える必要はないのかもしれない。あるいは、その事実を知っても尚、子供のさきは、少年が事故に会うのを何とか防ごうとしたであろう事は、大人のさきにも十分に推測がついていた。
例え自分の知っている過去とは歴史が違って行くのだとしても、それが子供のさきが選んだ道であるなら、大人のさきはそれでいいのだと思っている。
しかし大人のさきにはもう一つ、子供のさきに対して少年が事故に会う事をどうしても伝えられない、大きな理由があった。
10歳の子供のさきは、少年が自動車事故の昏睡状態から目覚めた事を知り、何度目かのお見舞いに、病院へと足を運ぶ。
思いを寄せている少年が無事である事に喜びを感じると共に、もしかしたら自分がその事故を防ぐ事ができたかもしれないという事への後ろめたさに、複雑な思いが混みあがる。
その時、5歳程の小さな女の子が、両親と共に少年の病室に入って来た。
その女の子は、少年の事故の現場に居合わせており、少年のおかげで事故に会わずに済んだのだという。
ドライブレコーダーの検証により、少年は女の子が車にひかれそうになるのを防ぐ為に、女の子をかばって交通事故に会った事が判明する。
もし少年がその場にいなかったら、もし女の子の事をかばっていなかったら代わりにこの5歳の女の子が、交通事故に会っていたかもしれないのだ。
子供のさきは未来の大人のさきが、少年が交通事故に会う事を事前に教えてくれなかった理由を、何となく理解した。
10歳の子供のさきが少年が交通事故に会わないように歴史を改変するのは、それ程難しい事ではないのかもしれない。
しかしその代わりに起こるであろう、5歳の女の子が交通事故に会う歴史をも同時に改変する事が、果たして10歳の今の自分にできるだろうか?
それができなかった場合、今よりもっと辛い事態が起こりうる未来に対して10歳の今の自分は、その選択の重さを受け入れる事ができるだろうか?
大人のさきには子供のさきに、5歳の女の子が事故に会う未来の事は伝えず都合のいい情報だけを伝えて、少年を交通事故に会わせないように、歴史を改変させる事はできたのかもしれない。
しかしその代償として起こりうる、もう一つの未来の展開を、大人のさきは受け入れる事ができなかった。
そして同時に、一人の女の子の命に関わる重たすぎる選択を、10歳の子供のさきに背負わせる事が、どうしてもできなかったのだ。
わだかまりも解けて、再び交流を持つようになった二つの時代のさきだが、この時の子供のさきには、そう遠くない自分の将来に、生涯忘れえぬ人生の決断が待ち受けている事など、まだ知る由もなかった。
まとめ
最後まで書くつもりだったのですが、あらすじにしては長くなりすぎたので今回はここまでにしておく事にしました。(話が殆ど進んでいませんが‥)
正直この話の結末を書く事に、今でも悩みがないわけではありません。
果たしてこれは書いてしまってもいい話なのか?この物語を読む事で、心が傷つく人が少なからずいるであろう事を、感じずにはいられないのです。
それでもいつの日が、この物語の結末を投稿させて頂く事ができたならばと勝手ながらに思っています。
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