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第219回、小説タイムズ・ダイアリーを考案してみた その6


タイムリープという、もはや日記とは関係のない設定を持ち出してしまったこの物語が、無事結末を迎えられるのか?文才もない人間が、見切り発車で始めてしまったこの無謀な物語に、今しばらくお付き合いをして頂けたなら嬉しく思います。


あらすじ

過去の世界の10歳のさきが、未来の世界の24歳のさきの体で意識が目覚めて数日が経っていた。家には14歳の妹と、母を亡くして以来シングルファザーとして二人を育てて来た父親がいたが、二人に異なる時代のさきの魂が入れ替わっている事を言えるはずもなく、一時的な記憶障害を装っていた。

未来の大人のさきは、子供のさきに対して、今まで自分に関する話を全くして来なかったが、どうやら医学の道に進む為に都会に上京して、大学卒業後都会で数年働いたのちに、事情があって実家に帰郷をしているらしかった。

生まれた時から母親がいない妹にとって、10歳の年の差がある姉のさきは、母親代わりの様な存在だったのだろう。思春期の難しい時期にも関わらず、妹はさきの事をよく慕っていた。

この数日間、大人のさきとして生活をしていて、母親と死別する事になった未来のさきが決して不幸な人生を歩んでいる訳ではない事を実感していた。24歳の大人のさきは、自分の人生を受け止めて、未来に向かってしっかりと生きていたのだ。
恐らく母親が自分で選んだ人生の選択についても受け止めていたのだろう。
だから未来のさきは、あえてその歴史を変えようとはしていなかったのだ。

もし自分達が過去の歴史に干渉した事で、万が一妹が生まれて来る事がなくなったとしたら、この世界にいる妹はどうなってしまうのだろうか?
さきはこれまでの経験から、確証はない物の恐らく自分のいる過去の世界がどの様に変わろうとも、この未来は何も変わらないのだろうと感じていた。
恐らくは日記を通して知り得た過去と未来のさきは、それぞれ異なる世界に生きている存在なのだ。

だとしたら例へ大人のさきが過去にいる母親の命を救えたとしても、自分が今いるこの世界の母親は、生き返る事はないのだろう。にも関わらず大人のさきが、今歴史を変えようとしているのは、他でもない自分の為なのだ。
自分がそれを望んだから、自分がそうする事を強く願ったから、この世界にいる大人のさきは、自分のいる世界の歴史を変える事に協力しているのだ。
その結果、母親だけではなく妹さえも自分の手で失わせる事になるかもしれないのにも関わらず‥
10歳のさきは、今になって自分の願った事が、大人のさきにどれ程の重責を背負わせてしまっているのかという事を感じていた。


久しぶりにタイムズ・ダイアリーを手にしたさきは、14年前の過去の世界の自分の体にタイムリープをしている24歳のさきから、メッセージが書かれている事に気が付く。

それは母親の命を救うのに必要な未来の医学知識を、日記に追記する事を求める物だった。今大人のさきは、自分が生きて行くここではないもう一つの世界で、母親と妹の両方の命を救おうと、必死になって行動しているのだ。

自分の生きる世界を変えるのは、この世界の大人のさきの力だけではない。
自分にもまだやれる事がある。こちらの世界でまだやるべき事があるのだ。
医学の知識を何も持たない、子供のさきには決して楽な事ではなかったが、子供のさきは必死になって、大人のさきの要求に応えようとするのだった。

今の二人には自分達が運命に抗う行動を起こしたこの先に、どの様な結末が待っているのかはわからなかった。しかし例えどの様な結末を迎えようと、全力で挑んだ結果の先にある未来を、受けとめる覚悟は出来ていた。

二人のさきの意識が再び、互いの元の体に戻った時、母親と妹の命の行方はどうなっているのか? 今はまだ、それを言及しないでおこうと思います。


まとめ
話の結末まであと少しではあるのですが、あらすじを書くのは、ここまでにしておこうと思っています。
それはこの物語に、どの様な結末を迎えさせるべきなのかという事に対して自分に迷いがあるからです。

これは運命に抗い、母親と妹の命を救おうとする、二人のさきの物語です。しかしこうして語を書いている今でも、自分にはそれが正しい事なのかは、自信を持てていません。

人が死を迎えるという事は、果たして間違った事なのか?
妹が生まれて母親が死にゆく未来、妹が生まれず母親が生きる未来、両方の命が失われる未来、両方共に生きる未来、様々な形の未来があり得て、そのどれもが、必ずしも間違った未来とは言えないのではないかと思います。

これは決して正しい未来、あるべき未来へと歴史を正す話ではありません。一人の少女、いや二つの時代の二人の人間が、そうしたいと本気で思って、行動を起こした結果の一つの事象でしかありません。

二人が選んだ道が正しい事と言えるのかは、今でも自分にはわかりませんがそうしたいと思い、それに向かって懸命に行動をした二人の事を、少しでも応援して頂けたなら幸いに思います。

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