第216回、小説タイムズ・ダイアリーを考案してみた その3
自分の中でランドロイドに並んで、やり残している企画があります。
それは、小説「タイムズ・ダイアリー」のあらすじを書き終える事です。
あらすじだけなので、何も始まっていない様な物なのですが、自分の中では登場人物の二人の物語が動き始めてしまっているのです。
長年頭の中に放置したままになっていた、二人のさきの物語を、ブログにて何とか完結させられればと思っています。
あらすじ
少年の交通事故から月日が流れ、10歳と24歳の二つの時代のさきは、時空を超えて文通する事が出来る不思議な日記、タイムズ・ダイアリーによって、再び固い絆を取り戻していた。
10歳のさきには、今まで心待ちにしていた、大きな出来事が迫っていた。
それはさきの母親の出産で、さきにとって念願の妹の誕生を意味していた。
妊娠の経過観測で病院へ行った母親は、ある意外な告発を受ける事になる。
母親は先天性の病状を抱えていて、次の出産には、母体の命に関わる危険が伴うというのだ。もし出産を諦めれば、母親の命が助かる可能性は高まるが母親は自分の命の危険を冒してでも、出産する事を望んでいた。
その話を両親から聞かされた10歳のさきは、24歳の未来のさきにどうしても確認せずにはいられなくなり、ある一つの質問を日記を通してしてしまう。
それは決して行わないと約束をした、未来の出来事を聞く行為。
「14年後の未来の世界に、自分の母親と妹はいるのか」という事を。
それは未来の世界にいる24歳のさきにとって、過去にいる10歳のさきから、最も聞かれるのを恐れていた質問だった。そして、いつの日にかこの質問をされる日が来るのを、覚悟していた事でもあった。
24歳のさきは、自分の知っている、母親が選んだ過去の選択とそれに繋がる未来の出来事を、日記に書き記す事にした。
それによって過去の世界にいる10歳のさきが、どの様な行動を取ろうとするのか、未来にいる24歳のさきには、もはや想像がつかなかった。
大人のさきが10歳の時には、両親から病気の事を聞かされる事はなかった。
日記を通して繋がっている14前の世界は、既に自分の知っている歴史とは、違って来ているのかもしれない。
もし自分が10歳の時に、母親の病気の事を聞かされていたなら、自分は母親が出産をするのを、何としてでもやめさせようとしたかもしれない。
しかし14年間、妹と共に過ごした日々の歴史を生きる24歳の今の自分には、その選択をする事はもう出来なかった。
出来る事なら、10歳の今のさきにも、その選択を望まないで欲しいと思っている。しかしもう自分の思いだけで、10歳の今のさきの行動を抑える事は、したくはなかったのだ。
例え10歳のさきが、どの様な未来を望もうと、それは彼女の選ぶ彼女の人生なのだ。日記を通して繋がっている10歳のさきは、決して14年前の昔にいたあの時の自分ではない。彼女は今現在を生きている、一人の少女なのだ。
彼女には、彼女の人生を生きる、未来を選択する権利があるのだろう。
日記を通して未来を知った10歳のさきから来た返答は、意外な物だった。
それは、当時の過去の自分であれば、絶対に考える事のない重い決意。
「母親と妹の両方の命を救いたい」という物だった。
もちろん10歳のさきに、そんな事が出来るはずもない。
思いだけで何とか出来る事でないのは、10歳のさきにも十分わかっていた。
だが10歳のさきは、24歳のさきが思いもしない、ある提案を持ちかける。
タイムズ・ダイアリーを使って、未来の医療技術を過去の医師に伝える事は出来ないだろうかという物だ。
確かに14年後の未来の医療技術であれば、母親と妹の両方の命を救う事も、決して不可能な事ではないかもしれない。
しかし現実問題として、こんな日記一つの力で、どうにか出来る様な事ではないのは、大人のさきには容易に想像する事が出来た。
だが10歳のさきの決意は、とても強い物だった。
大人のさきは気づいていなかったが、それはこれまでの自分との日記の交流を通して育まれて来た、心の成長が貰らした一つの結果でもあったのだ。
10歳のさきの強い決意に心を動かされて、24歳のさきも心を決める。過去と未来の二つの時代を生きる二人のさき達は、母親と妹の両方の命を救う事が出来るのか? 二人のさきの運命に抗う行為が、今始まろうとしていた。
まとめ
この小説は元々、10歳のさきが母親の死を受けとめる物語として考えていたのですが、長年寝かせている内に、自分の心にも変化が起きていた様です。
何よりも、今回あらすじを書いていて、10歳のさきの気持ちが、自分が思う以上に強い物である事に気づかされました。
タイムズ・ダイアリーには、まだ明かしていない秘密があるのですが、本来それは、歴史を変える様な力を持つ物でありません。
はたして二人のさきに、運命の歴史を変える事が出来るのか?
今の自分には、その確信が持てないでいます。
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