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旅仙人‐たびせんにん‐

旅人と一緒に楽しむガイドを目指している てんです。この旅仙人とは、旅を極める人と敬意の思いを意味に込めさせていただき、このようなタイトルにしました。

何歳になっても旅へ行きたい思いがあり、旅への欲求は尽きる事がありません。今回は、現在81歳!リュックサック1つで旅をしている方に、インタビューする機会をもらうことになりました。

左 ママ  右 ラファさん

ラファ・アルベルダ・ポルティジョさんは、スペインのバレンシアに住んでいます。妹が嫁いだ家のお姑さん(以下、ママと略します)の上司にあたる方で、笑顔がとても可愛いく、お話をするのが大好きです。看護師として働いていましたが、65歳の時に引退し、好きだった旅に行く事が多くなっていったそうです。

私もお誕生日会に招いて下さり初めて会うことができました。たくさんの家族や友人に囲まれている姿に愛されている方だと一目で分かり、ぎゅっと抱き寄せてくれた腕の中はホッとする優しさに、包まれたのを覚えています。

80歳のお誕生日会の様子

彼の友だちは「バレンシアにいるほうが珍しい」と言います。五大陸全てに足を運び、あらゆる人や物を自分の目で見て、肌に触れてきた人です。彼は体に持病もあり、いつか旅ができなくなる危険もありますが、それでも「旅はやめられない」と言いました。
そんなラファさんにテレビ電話を通して、お話を伺うことができました。

ーーなぜ旅へと行くようになったのですか?

なぜって?それは色んな人に出会うチャンスがあるからです。違う人種であり、違う宗教を持ち、暮らしがある。旅先でいろいろな人たちに出会うのはとても楽しいし、国の文化、情勢、政体も肌で感じる事ができるからね。一番は人との出会いだけど、自分の人生をもっと楽しむ為に旅をする。いつもの日常から抜け出し、 新しい発見があるから旅に行くのです。

ラファさんと看護師の仲間

ーー旅に出るといろんな場所へ行くことができ、楽しいですよね。印象に残っている旅はありますか?

話しきれないなあ(笑)。初めて旅へ出たのは18歳の学生で、持っていたすべてのお金とリュック1つで、フランスのパリまでバスで行ったよ。当時、高速道路が無かったから、下道で20時間くらいかかったね。パリは本当に美しかったし、絶対に訪れてほしい場所の一つです。

サマルカンド(ウズベキスタン)に行った時 、結婚式が行われて、様子を見ていたら、彼らは私たちを招待してくれました。 出店でプレゼントを買って持っていき、互いに身振り手振りをしながら、お茶を飲んだな。言葉は伝わらなかったけれど、一時を楽しんだ事を覚えています。

イタリア

ーー人との出会いの中で素敵な旅を続けてこられたのですね。旅も楽しい事だけではなく、大変な出来事もあると思いますが、そんな経験もあるのですか?

忘れもしない出来事が2つあります。パキスタンに行ったときは情勢も非常に悪く、武器を持った軍人たちが常に警戒していたよ。ホテルから外に出ることを許されなかった。ある夜に「もし、港を見たいなら行く事は可能です」と警官が申し出てくれたので、私達は2台の車に乗り、行って帰ることができました。それはとても幸運なことで、帰ってきた時に言われたのが「君たちが無事でよかった。軍人達は銃でいつでも撃てる状態だったんだから」と言われた時に運が良かったと安心したことを覚えています。

イエメンでは、思いがけない事故が起きてしまった。私達は車2台で旅をしていたが橋を渡る時、後ろの車が橋から転落してしまい、友だち3人を失ってしまった。これは本当に悲しい出来事でした。
この出来事以外は良い思い出ばかり。旅っていうのは良い経験もできれば、そうじゃない事もあります。私には勇気より「行ってみたいが重要です」北だろうが南でもワクワクするから、旅に出ています。

若い時のラファさん

ーーいろんな経験を経て、旅を重ねているのですね。そんなラファさんの旅で持っていく必需品はありますか?

荷物は最小限しか、持っていかないよ。若いときは下着とTシャツくらいだったかな。今はおじいちゃんだからもう少し服が必要になったし、大切な薬もね!あとは本かな。飛行機で読む為に薄い本を持っていくんだけど、開く前に寝てしまうから、あまりちゃんと読んだことないんだよ(笑)

ラファさん持ち歩きしている
リュックの大きさ イメージ図

ーー好きな国や印象のある旅先はありますか?

ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの各国の重要な場所に、訪れる事ができたよ。その中でもインドが一番好きで、5回行ったことがあります。最初はホテルの予約をせずに一人で行き、そこで看護師学生をしてる女性二人に出会うことができました。電車に乗った時は車内の上段席に座り足をぶらぶらしながら色々話し合った記憶がある。

何回行っても、うっとりする国で人々の立ち振舞いがエレガント。家がない人々でさえも、お茶を飲む仕草がとても美しかった。ガンジス川で行われていた火葬も、とても印象的でしたよ。トルコも素敵な国で女性がとにかく美しいし男性の顔立ちも良く神秘的でした。

インド 画像は引用

ーーお話をしてもらうと、私も旅に行きたくなります!いろいろな旅先の中で、もう一度行きたい国はありますか?

やっぱりインドかな!ロシアも2回…情勢が良くなったら、また行きたいよ。そうだ、キューバも行きたい!スペイン語圏だから私にとっては何の問題もなく過ごすことができる。人々は毎日踊っていて機嫌が良いし、いつの間にか友だちになってるよ。
カンボジアのアンコールワットに行ってたくさんの寺院があるが、それを全て見ることはできなかったかな。次に行く時は、ゆっくりと見れらるといいなと思っています。

ーー日本にも来られたことはありますか?

もちろん!!一人も好きだが、看護師をしていた時の仲間とも旅をすることもあって、東京、大阪、京都を訪れたよ。日本人の女性ガイドの方が、とても親切でスペイン語も話せたから非常に有意義な旅だった。
魚のアレルギーがあってお寿司や刺身は味わえないが、提供してもらった料理は、全て美味しかったよ。

日本のイタリアンレストランに行ってみたが、メニューはパスタしかなかったのには驚いた!ヨーロッパは、ペンネやラビオリもあったりするからギャップを感じたかな。あとは、タクシーや新幹線も乗ったが対応が良く、内装も綺麗で清潔感もあるから快適に過ごせたよ。

京都にて

東京でスペインの有名な人物である『ドンキホーテ』という名前の店を見つけて思わず入り、自分のお土産にTシャツを買ったり、初めてユニクロにも入ったりしました。日本には素晴らしいものがたくさんありますね。
日本は全部好きですよ。特に日本庭園や、神社も素晴らしい!静かな場所も好きだから、また行きたいですね。

日本を訪れたメンバーと

ーー是非、次は私がガイドの機会があれば案内させてくださいね。
これから旅をしていく方にアドバイスはありますか?

まずは自分が行きたい国や場所を決めて交通手段をしっかり調べた方がいい!若い子は調べるのが上手だし、いろんな情報を手に入れることができるから、安く行ける手段を見つけること。あとは、持っていけるお金を全て持っていけばいいさ。

言葉はジェスチャーでなんとかなるよ。スペイン語しか話せないけど、世界を旅できる「私みたいに(笑)」ジェスチャーは世界共通だから誰でも分かってくれる人が多いし、自分でアクションを起こすと相手も答えてくれますよ。海外に初めて行くならイタリア、ポルトガルは親切で世話好きな人が多いからおすすめです。

海外から訪れる人は、慌ただしく過ごしている姿が見られています。例えば有名な場所を、たった10分ほど観光して次の場所へ移動したり、地域の良さを感じれないまま違う地域へ行っても、何も学べないと私は考えています。行く地域を限定したり、一つの国などに設定したりしてじっくり、ゆっくりと見てはどうかなと思います。

ポルトガル 画像は引用

スペイン人はお世話好きだし日本人に対してはとても温厚です。日本の文化も好きな人が多いし、礼儀正しく、接していてとても気持ちがいい。バスや電車、飛行機で近隣の国へのアクセスが、とても経済的だと思うのでスペインへ来て欲しいです。

ーースペインも広いので、どこに行こうか悩んでしまいます。おすすめの地域や地方がありますか?

場所は南スペインが特にオススメです。夏は外が灼熱になるから、冬の時期に行くといいよ。グラナダのアルハンブラ宮殿、コルドバのメスキータ大聖堂セビージャも美しい場所だ。アンダルシア人はとても陽気で、とにかくよく飲むし、歌い踊っている様子が心を躍らせてくれるので是非行ってほしいと思います。

ーーおすすめの場所に行ってみたいと思います!最後にラファさんが思う旅の魅力ってなんですか?

旅先で素晴らし建造物や宮殿や景色など、全てを感じることやその土地で出会った人とコミュニケーションをとることで、たくさんの学びが私の中で生まれてくるのです。エジプトにあるピラミッドを訪れ目にした時、あの建造物を何千年前にどうやって建てる事ができたのだろうと、自分の中でたくさんの仮説を立てているとワクワクしてきます。

仲の良い3人で

旅は、私をさらなるステージに導いてくれるのです。住んでいる場所にとどまると思考が狭くなり、いろいろな事を考え過ぎてしまう結果になります。私の場合は、旅にでることでそれが間違いだと気づくのです。頭の中をスッキリし心地良くしてくれ、物事がより理解でき、広い視野を持つことができるようになるのが自分の考える魅力だと言えます。

世界を見るのは楽しいから時間やお金もあれば、遠いところまで行くし、そうじゃなければ辺りを散策するのも楽しいものです。旅は何歳になっても、何度行っても発見の連続だからやめられないのです。私の旅はまだまだ続きます。「命がある限りね!」

インタビュー後も…

インタビューに応えてくれたラファさんは「もっと、インタビューない?」と、まだ話足りないとばかりに、続きの話をしてくれました。そして何より、このきっかけをくれたのがスペインにいる妹とママでした。スペイン語の理解できない部分は全て聞き取って、日本語に訳をしてくれたり、ラファさんの合意をもらえ、写真はすべてママが提供を引き受けてくれたりしました。記事を作り上げていく上で、このご縁と協力がなければ、実現しなかったと思っています。この記事は自分自身の宝物です。

私の大好きなスペインの家族
mi familia española favorita

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