【Netflix】ドント・ルック・アップ 感想/ヒーロー不在の地球危機!
Netflixで2021年に公開された風刺映画「ドント・ルック・アップ」。
「世の中終わってる───。」
そんな現代の誰もが感じている終末感を、ストレートに映像化した作品。面白い点が色々あったので、感想をまとめたいと思います。
彗星衝突
昔、ネメシスという褐色矮星が定期的に地球に接近する公転周期を持っていて、それが恐竜の絶滅を引き起こしたという仮説を読んだことがありました。
「ドント・ルック・アップ」では、それに似た彗星が大学院生のケイトによって発見されます。
それは公転を繰り返す中で徐々に軌道を変えていて、ケイトの研究室のミンディ博士が今回の接近の軌道を計算すると、ほぼ100パーセントの確率で地球に衝突するということが分かります。
ケイトとミンディ博士は大変なショックを受け、それをNASAに報告し、大統領へ伝えようとするわけなんですが、そこからバカバカしいとしか言いようのない茶番がスタートし、延々と続いていきます。
パニック回避?現実逃避?
とにかく周囲はその話をまともに取り合おうとしません。それはパニック回避のためなのか、単なる現実逃避なのか。
彗星の衝突は新海監督のアニメ「君の名は」にもありましたが、規模はその数十倍で、今回の巨大な彗星がそのまま衝突すると、地球上の生物全てが滅ぶほどのダメージを受けることになる。
そんな危機が迫っているというのに、テレビで必死に語ったケイトの姿はミームにされ、彼氏はそれをネタにYouTuberとしてバズり始める。博士はタレント扱いされて、有名美人キャスターと浮気・・・。
挙句の果てには、その彗星の軌道を変更するべく計画されたプロジェクトを、壊されてしまいます。
ヴィランは人々の不安感をカネに変える男
今作で特に存在感を放っていたのが、バッシュという企業のCEOで、人類史上3番目の大金持ちであるピーター・イッシャーウェル。
とにかくこの人物の描き方が秀逸なので、ぜひ見て頂きたい。
子供や動物をコマーシャルに登場させ、自分もメンタル弱者であるように演出し、メンタルヘルスのアプリを大ヒットさせて、大成功している人物。
この人の曲者感がとても現代的で面白い!
演じたマーク・ライランスはスピルバーグ監督の作品でアカデミー助演男優賞を受賞したことのある名優です。
さすがの役作りで、間違いなく今作のMVP。
ヒーロー不在の作品。でも豪華なキャスティング、憎めない人々
今作はとにかくヒーローは存在せず、誰一人として世界を救うことはできません。
ただただ茶番が繰り広げられるだけ。
でもそのキャストが、素晴らしく豪華です。
彗星の発見をする大学院生のケイト役はジェニファー・ローレンス。その研究室のミンディ博士はレオナルド・ディカプリオ。大統領役はメリル・ストリープ。そして美人キャスター役にケイト・ブランシェット。ケイトのボーイフレンド役にティモシー・シャラメも!
そしてアリアナ・グランデもスター役で登場し、オリジナル曲を披露。
それぞれの演技を見ているだけでも、ワクワクしてきます。
真実とは・・・
全てが皮肉。大統領も、科学者も、スターも。地球の破滅という最大の危機を前にして、全員がピエロになる。
でも彼らをそんな風にしたのは大衆。
真実を読み解く努力をしないまま、都合の良い話だけに耳を傾けて、命の残り時間を無駄に費やしていく。
果たしてこれは映画の中だけの話なのか。
現実で私たちも同じことをしているのではないだろうか?
「ドント・ルック・アップ」は、そんな問いを投げつけてくる作品です。
なかなかブラックで、私は爽快感のある終わり方だったなぁと思いました。
くだらない話題でバズってるのを見て、あ〜あって思った時などに観るのがオススメです。
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