ユニセフに2万円寄付しようとした娘

 2月のこと、小学1年の長女が突然「ユニセフに2万円寄付する」と言い出した。
 思わず「えっ、ちょ、ちょっと・・・」と止めてしまった。

 聞けば学校で、高学年が募金活動をしているそう。ユニセフの活動紹介があり、世界には学校に行きたくてもいけない、十分にごはんが食べられない子供たちもいると知ったようだ。

 2万円というのは、そのとき彼女の手元にあった全財産だ。お年玉を使わずにいたので、潤っていた。が、全財産だ。

 取り急ぎ、ユニセフは本当に寄付してよい団体なのか、ネットで調べた。寄付を募っている団体の中には会計が不明朗で、寄付の何割が支援を必要としている人のところに届くかわからないところもある。ユニセフはそのへんは明確で、広報やスタッフの人件費や広報に使われるのは最大25%、残りが支援に使われるとHPに書いてあった。25%を大きいと感じるか、そうでもないと感じるかは人次第だろうが、こうした広報活動を通して、娘は世界に目を向けたのだし、私は許容範囲かなと思った。

 とは言え、2万円・・・。
「2万円あれば、いろいろ買えるよ。レゴも買えるし、リカちゃん人形の家とかお洋服とかも買えるし・・・・」と私。
 娘は「命の方が大事でしょ」とバッサリ。

 「世の中にはいろんなところで困っている人がいるし、2万円全部寄付してしまったら、今後、別のところに寄付したいと思ったときのお金がなくなってしまう。いくらか残した方がいいのではないか」と説得した。

 最終的に、娘は5000円を寄付用の袋にいれていた。一度は1000円にしたが、当日の朝、思い直して5000円に変更した。寄付用の袋は無記名だ。娘が5000円寄付したことは、家族以外は知らない。

 そのころ、ネットニュースで、どこかの小学生が5万円を社会福祉協議会に寄付したという記事を見かけた。その子は、お小遣いを使わずに、専用の貯金箱も自作して、年月をかけて5万円をためたそうだ。すばらしいと思いながら、こうしてみんなに知ってもらって、それまでの努力や苦労が報われた面もあるのではないかと思った。……うちの子はなんもない。

 私は長年寄付を続けている団体があるが、毎年確定申告して、寄付控除を受けている。娘は所得ゼロだし、寄付も匿名だ。自慢げにふるさと納税で得した話をする人もいるけれど….。娘には、なんの恩恵もない。

 彼女は得したいわけでも、ほめられたいわけでもない。ただ、大事だと思ったことをしている。どうして私が産んだ子が、こんなにやさしくて純粋なのだろう。いつも私は、娘から大事なことを教わっている。

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