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女性の働き方 in シンガポール

共働きが当たり前

シンガポールでまず気づいたのが、働く女性の多いこと。社員の半数は女性で、結婚しても、出産しても、働き続けることが普通だということ。産前産後休暇は短く、臨月どころか出産日ギリギリまで働き3ヶ月ほどで復職。日本でいう育児休暇はなく、日本では子供が1-2歳になるまで育休が取れると言うと、そんなに長期間雇用自体やポジションを確保してもらえるのか?と不思議がられました。シンガポールでは、社員の産休中は臨時雇用のスタッフで回し、あっという間に出産した本人が戻ってくるので驚きました。復職後、特に時短勤務もありません。フルタイムの中で効率的に仕事をし終業時間になったらサクッと帰るのは、誰でも同じです。

授乳真っ最中の仕事復帰

産後3ヶ月といえば、多くのママはまだ授乳期。同僚は、オフィスに搾乳機を持ち込み、胸が張ってくるとなんとトイレで搾乳、帰るまではオフィスのパントリーにある冷蔵庫で搾乳した母乳を保管していました。そんな大変な思いをしても、子育てのために仕事を辞める、なんていう発想はまずありませんでした。ちなみにこの同僚女性のご主人は会社経営者で、ローカルでは珍しくコンドミニアム最上階のペントハウスに住む(中は2階建て!)、普通に考えれば一般家庭よりもお金持ちのご家庭でした。それでもご主人はご主人、自分は自分で、仕事を続けています。

夫婦とも働けるなら働いて少しでも多く稼ぐ

超大富豪の奥様で、まったく働く必要のない余裕のある家庭であれば、好きなだけ子供の面倒をみたり、昼間からブランドショッピングや高級ホテルのラウンジでお茶を嗜むマダムたちがいます。その一方で中流家庭の人たちは、男女とも働けるうちは稼いで、日々の生活費にするのはもちろん、引退後に備えたり、子供にできるだけ教育投資をする、なるべく良い暮らしを目指す、と考える人たちがほとんどです。子供の世話はシッターさんや親、保育園にお願いし、家事(主に掃除や洗濯)はメイドさんに外注。食事は外食が一般的です。そういう暮らしに後ろめたさを感じる人は稀でした。

男女ともに見られる強い上昇志向

シンガポール人は男女問わず上昇志向が強い人が多く、常になるべく良い仕事、給料、ポジション(役職)、住まい、車、、、を目指していると感じました。転職をすることでより良い条件の仕事を得られるならば、そう選択する人は多いです。今の職場で昇格することも、次の転職時のアピールになるので、ローカルスタッフにとっては特に重要でした。

厳しい学力競争によるエリート選抜

なぜでしょうか。シンガポール人は、幼少期から常に学力競争に揉まれ、小学校の修了試験の結果次第で次の進路が決まります。その進路で上位コースに入り、大学に進める人はごく僅かです。現在の子供たちはこの制度が見直されてきていますが、今の親世代の人たちは、幼少期から何年もの間この過酷な競争を勝ち抜いて大学まで行き、ホワイトカラーの仕事に就きました。特に国内大学卒の人は、国にとって明らかにエリート人材です。大卒なのか、専門卒なのか、中卒なのか、就職先やお給料に明らかな差があります。男女ともに、大変な思いをして今の仕事に就いているのに、結婚や出産でその権利を簡単に手放すことはしないのも、納得がいきます。

ちなみに同僚のマレーシア出身の女性は、優秀でシンガポールの大学を卒業しましたが、逆にシンガポール出身のご主人は高等教育機関を卒業できなかったため、(起業することを除けば)「彼は自分よりよい仕事や報酬を得ることは今後ずっとできない(学歴による差は社会人になって逆転できない)」と話していたのはちょっと衝撃的でした。

この制度を聞くと、日本は年齢さえ合えば全員義務教育を受け試験なく修了し、なんとなく高校も卒業し、大学全入時代と言われるほど競争なく大学へ入り、真面目に勉強しなくてもいつの間にか大学を卒業できてしまう。ずいぶん甘いなと感じてしまいますが、それだけ日本の大学を卒業する価値も疑問に思ってしまいますね。

ホワイトカラーでなくとも、レストランのウェイトレスなども、出産ギリギリまで働き、またすぐ復職します。やはりシンガポールの生活費はそれなりに高いですし、男女とも重要な労働人材として経済を回しているんだと、実感しました。




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