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2021年上半期・面白かった本5選

笹の葉さらさら~♬軒端にゆれる~♪ 本日は七夕ですね!毎年この日になると頭の中で「たなばた」の歌がぐるぐるしています。皆さんの願い事は何ですか?私は子どもの頃、「漫画家になれますように」とか「幸せな結婚ができますように」と書いていました(笑) あまり夢見がちな子供ではなかったので、絞りに絞ったのがそれだったんですけどね。私の七夕の思い出は、母が紙芝居を読んでくれたこと。その紙芝居は上下に分かれており、中国の異国感がたっぷりの挿絵だったのです。中国が好きな母の方が気に入って、図書館で何度か借りました。どうして子供時代の思い出って、古い洋画のようなゆったりとした時間の流れとセピア色(?)のフィルターがかかるのでしょうかね。

さてさて、本題へ!私の2021年上半期読んで面白かった本をご紹介いたします~~!!!では、一位から!(完全な主観です)

1. 悲しみよ、こんにちは   / サガン

セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ……。
20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典、半世紀を経て新訳成る。

タイトルでご存じの方も多いでしょう、この作品。定番で有名作が、堂々の第一位です。(あ、私の中でですよ(笑))読書好きな父が私に渡してくれたことをきっかけに読んだのですが、まあ~~~面白い!もっと早くから読んでいればよかった、サガン!最初の数行で、心はパリの海水浴場へと連れていかれます。文章も息をのむほど美しく、読むだけで心が落ち着きます。そんな文体とは裏腹な壮絶ストーリー!ただの恋愛小説だと思う勿れ。これは、「感情」に振り回されるとどんな事態を巻き起こすことになるのかという心理的描写が巧みな本だと思います。気だるさ、物憂げ、苛立ち、初恋の感情・・・。私はあまり感情の起伏が激しくないタイプで、思春期というものもありませんでしたので、セシルに共感はしませんでしたが、そういう感想もあったりするのかな?と思いつつ。

サガン、最高。

まだサガンの小説をお読みになっていない方、この夏ぜひどうぞ。またサガンの小説はご紹介しますね♪ フランス文学は何人かの作品読んでいますが、どれも面白いですね。

2. ワイルド・スワン (上)(下) ユン・チアン

15歳で著者の祖母は軍閥将軍の妾になる。中国全土で軍閥が勢力をぶつけあう1924年のことであった。続く満州国の成立。直前に生まれた母は、新しい支配者日本の過酷な占領政策を体験する。戦後、夫とともに共産党で昇進する母。そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。

こちらは「悲しみよ、こんにちは」とは打って変わって、ノンフィクション作品、舞台は中国です。これは上下巻あり、(ものによっては中巻も発行されているようです)かなりボリュームがあります。と、いうともう断念させてしまいそうですが(笑)、私はページをめくる手が止まらず、暇さえあれば読んでいました。友人からの電話も、「ごめん、今本を読んでるの」と言って切ってしまったほど夢中になって読みました。読書家ってわけでもないのに!

この本では、祖母、母、著者の三世代にわたる「事実」のみが述べられています。満州国時代から何十年もの間、中国の内部情勢は外部に届いていなかったそうです。実際には、いつ殺されるか分からない状況で、時には肉親まで騙しながら人々は生きていたのですが・・・。

歴史書を読んでも分からないだろう史実が、冷静かつ聡明な着眼点のもと丁寧に語られます。娘の目線で、妻としての目線で、ときには恋する女の子としての目線で。残酷すぎて、目を覆いたくなるような事実も書かれています。ですが、全て本当にあったこと。この本は、どなたにもおすすめいたします。もはや、文科省に教科書掲載をお願いしたいくらいです。史実を学べるというのも勿論ありますが、私はこの本は非常に道徳的だと思います。

人は、究極まで追い詰められたときに、他の人を思いやれるのだろうか?家族を守り切れるのだろうか?救いのない日常で、人は生きる意味をどこに見出すのだろうか?

・・・ちょっと重くなってきたので次に参ります(笑)。

3. ある微笑 / サガン


あ~、またサガンか、とお思いでしょうか(笑)。本当にサガンが好きになってしまったため、再びの登場でございます。こちらは大学生の恋愛です。大学生同士の恋愛?いえいえ、そんな普通のことはサガンは書きません。(笑)お察しの通り、また込み入っているのですが、こちらも洗練された文体がそれを感じさせず、さらっとした読み心地になっています。私のサガンの気に入っている点は、小説の短さです。2~3時間あれば読めて、パリの空気にどっぷり浸かることが出来る、まるで映画のように小説を読むことが出来るのです。

ちなみに私は恋愛小説がそこまで好きかと聞かれれば、そうでもありません。きっと、サガンは恋愛を描いても、(彼女のほとんどの作品が恋愛)それを卓越する何かがあるのでしょう。「ブラームスはお好き」も、面白かったですよ。「優しい関係」を今度読みたいです。

4. ジェイン・エア / シャーロッテ・ブロンテ

幼くして両親を亡くしたジェイン・エアは、引き取られた伯母の家で疎まれ、寄宿学校に預けられる。そこで心を通わせられる人々と出会ったジェインは、8年間を過ごした後、自立を決意。家庭教師として出向いた館で主のロチェスターと出会うのだった。ジェインの運命の扉が開かれた。

古典文学から一冊。有名なシャーロッテ・ブロンテの「ジェイン・エア」です。古典はやはり描写が長く、今日の観点だと物語の進みがなかなか遅いです。ですがその分じっくり味わうことが出来、終わりの方になると噛みしめながら読んでしまいます。

これ、19世紀に書かれた本ですよ。ヴィクトリア朝ではないですか。なのに、この主人公の女性は現代の女性と同じような考えと価値観を持っています。自立しており、男性とは対等な関係を築くのです。このような時代に逆らった考えを持っているので、不器用な女の子なのかと思いきや、聡明で賢いです。頭の回転が早く、私もこうだったらいいのに・・・と思います。ハッピー・エンドというのもいいですね。ハッピーエンドって、いいですよね。せっかく何日もかけて読むのだから、最後くらい良い気持ちにさせて欲しいです(笑)。私の大好きな名作である「人間失格」とか、「ノルウェイの森」のような暗~~~~~い、救いのない終末も、最高に良いのですけどね!

5. ベル・ジャー   / シルビア・プラス

あの夏、ニューヨークはおしゃれで、華やかに輝いていた。でも、19歳の私はガラスの覆いに閉じこめられ、心は不思議に虚ろだった。30歳で自ら死を選んだ詩人シルヴィア・プラスの自伝的小説。

この本を書いた後、著者のシルヴィア・プラスは自殺されています。この事実だけでもう既に興味が湧いてしまう、不思議にも人を引き付ける本であると思います。最終的に精神病棟に入る少女とその友人たちを描いたお話です。思春期の心の迷い、葛藤・・・を主人公はこじらせているのですが、感受性が豊かすぎるが故の苦悩でしょう。今、amazonのレビューを見ていたら、アメリカの中高生は授業でこれを読むのだろうか。うんうん、良い気がする。少しずつ精神が墜落していく表現が見事です。精神病棟の他の患者の話も出てきますが、苦しんでいる人は見た目に分からないものです。主人公も「いい子」を取り繕っている中で、心はどんどんぼろぼろになっていくのですから・・・。でも、この物語は救いがあります。どうぞ希望を持って(?)お読みください。すごく、良い本だと思います。

先ほど申し上げた通り、私に思春期がなかったので、思春期特有の悩みはよくわからないのですが・・・。それでも惹きつけられる何かがあります。面白いです。主人公に共感して読めたら、それはすてきだと思いますし、「私はそういうのは無縁だわ♪」という方も面白く読めると思います。思春期から遠く離れた年齢の方にもお勧めいたします。


さ、そんなわけでここら辺でおいとましたいと思います!この中に読了した本があったら、ぜひ感想を教えてくださいね♪ 夏の本100冊が、新潮文庫をはじめとしていろいろなところから出ているので、読みたい本に父とチェックを入れているところです。読書の習慣があまりない私でも、毎年この夏のフェアは楽しみにしています。それでは、また!


番外編:個人的に面白くなかった本 (正直に...。笑)

・ライ麦畑でつかまえて/サリンジャー ・・・終始この主人公が何をしたいのか、よくわからなかった。全然意味が分からなかった。何か、ずっと独り言を聞いている感じ。まぁ、いいけどさ(笑)。どういうこと?この本って何なの?なんでこの主人公こんなどうでもいいことに突っかかるの?(笑) でも興味は持ったので、どなたか手取り足取り「ここは、こういう理由で主人公は怒っているんだよ。」とか教えてほしい、切実に(笑)。

・82年生まれ、キムジヨン/チョ・ナムジュ・・・はっきり申し上げて、私はフェミニズムは苦手なのです。そういう声は良いけど、それについていけない女性は置いてけぼりだよね。そんな女性居ないのかしらね?キムジヨン、夫に愛されているし、「すべてを女性は失う」とか大げさ。最愛の子どもが健康的に生まれて、そんな奇跡を授かってまで「失う」ってなんだ!全てなんか手に入れられるわけがないんだよなぁ。じゃあ、男性は全てを手に入れられるんですか。キャリアは構築できても、大人になった娘にぷいっとされるのに!祖母っ子・古風な私はついていけません(笑)




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