ワクチン後の感染対策のモヤっと ④ ワクチン後は手指消毒がいらない?
コロナの流行によって、アルコール手指消毒薬が薬局やスーパーマーケットの店頭から消えたことがあります。「コロナがドアノブや手すりなどの高頻度接触面に付着していて、そこに触れた手指を介して、眼や鼻の粘膜に付着することによって感染する」という伝播経路を人々が理解したための現象と言えます。手指の清潔の重要性が知れ渡ったことはコロナの業績かもしれません。
手指の清潔は正しく実施すれば極めて有効な感染対策となります。しかし、形式的・惰性的にやっているだけでは、真に意味のある手洗い・手指消毒とは言えません。例えば、「手洗いをした後に手を拭かない」「手洗いのときに指先だけ濡らすのみ」などです。これでは手指を清潔にすることはできません。逆に、用心深すぎて、手洗いをした後にアルコール手指消毒をする人もいますが、そのようなことを繰り返していると手荒れの原因となります。荒れた手指には病原体が潜みやすいので、手荒れは是非とも避けたいと思います。
ワクチン後であっても、手指の清潔は重要です。病原体はコロナだけではありません。RSウイルスやパラインフルエンザウイルスなど、様々な病原体が手指を介して伝播します。そのため、適切な手指の清潔は今後も継続しなければなりません。
アルコール手指消毒薬を使用するときには、十分量のアルコールを使用します。少量のアルコール(0.2~0.5㎖)を手に塗布しても、石鹸と流水で手を洗う程の効果はありません。10~15秒間両手を擦り合わせた後に手が乾いていると感じたとすれば、使用量が不十分です(15)。実際には、手のひらに500円玉を置いたような量のアルコールを使用するとよいでしょう。
石鹸と流水による手洗いも適切な方法で行います。まず、水で手を濡らし、石鹸を手に塗り、少なくとも15秒間は、手や指の全表面に行き渡るように両手を強く擦り合わせます。そして、水で手をすすぎ、使い捨てタオルまたは手指乾燥機を用いて完全に乾かします(15,16)。
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