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第1章「終わりの始まり」全ての決断は未来へつながる #3そして、そんなことを考えながら、突然の帰国を余儀なくされる

「当たり前は当たり前じゃない、ありえないはあり得ない。
日常が日常ではなくなるのは、一瞬だ。
そして、どんな結論も、出たならばそれが次の答え。」

2020年3月
ニュージーランド・オークランド
突然だった。予期せぬ事態だった。
世はコロナウィルスで大騒ぎ、ニュージーランドも例外ではなかった。
国を挙げてのロックダウン=都市封鎖が行われた。
正直、飲食店勤務だった為、収入もない。

しかしながら、国は各企業に補償金を出すし、ワーキングホリデーのアルバイトにも多少の給料は入るとのことだった。
シェアハウスのオーナーも、家賃をディスカウントしてくれた。感謝しかない。
家の外には買い物の時以外外出はできないが、シェアハウスに5人で暮らしていたので、寂しいことはなかった。

一番長く一緒に住んでいる2人で5ヶ月。
20歳と23歳男子、出身地も違う日本では絶対に出会うことのない2人。
何も話さなくても時が流れる、自分のしたいことをして、話したい時に話す。髪を染めたり、旅行したり、思い出もたくさん。
そんな家だった。大好きな日常だった。

自分自身も、朝起きて自分のルーティンをして、趣味程度だが家で仕事をこなす。
落ち着いた生活だった。

でも、それは突然終わりを迎えた。
3月30日、それは、日本への直行便が現時点で運行する最後の便だった。
その飛行機に、乗った。乗れてしまった。

正直帰る気は全くなかった。なぜ決めたか。
なぜなら私以外全員チケットを取ったから。すなわち、この家に一人になる。
みんなと共に過ごした場所で、次しばらく新しい出会いもないまま(引っ越しも政府により禁止されている為)留まることには限界があると、直感で感じた。
誰もいない家、
誰にもおはようと言えない朝、
いつもの場所に、誰もいなくなる空虚感。
少し前にずっと一緒にいたルームメイトが帰国した時の感情が蘇る。
・・・・思った。しんどい。辛い。
環境に耐えられないなら、自分の環境を変えよう。
そして、私のチケットも結果購入できた。


どういう感情でも、感じた。もちろんその時の感情は混乱と悲しみ。


場所ではなく、人で生きている。

だから、現地で出会った感謝したい人に直接挨拶できなかったことが、とても心残り。

・元気?って毎日話しかけてくれたラーメン屋のオーナーも
・韓国料理いきましょって言ってくれてたインターン仲間も
・また来るねって言った前働いてたカフェのおばあちゃんにも
・そして、とっても優しいシェアハウスのオーナーにも電話でしか言えなかった。

今ある日常が当たり前にやって来る。本当にそうですか?
私は、違った。
変化の時を自分で経験しなければ、実感しない感情。


全ての感情は、そこを離れてから気づく、やってくる。
それも3回目だから分かっている。どれだけ空虚な心になるのか。
どれだけ、自分が恵まれた環境にいたのかを実感させられるのか。
辛かったけれど、今までのワーキングホリデー より1日1日を大切に過ごした自負があったのが救い。
3度目のワーキングホリデーで知っているからこそ、今回の決断は2倍辛かった。

しかし、全てのタイミングが重なった、ということは、


偶然にして必然。

「お互い成長して、また会いましょう。出会えてよかったです。」
その言葉が、私を次に後押ししてくれた。

彼らは、私よりまだ時間がある、方向性も違う。
だから、面白い。お互い頑張ろう。そして、また会おう。

本当にありがとう。

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