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飲食店の価値の見える化の好事例

東京から遠く離れた小さな町での出来事。

本場から遠く離れた小さな町の江戸前寿司

このあたりで食事するならどこがいい?と聞いたところ、知人から勧められたのは江戸前寿司のお店。こんな、本場から遠く離れた小さな町の江戸前寿司なんて、おいしいの?と、正直、あまり期待せずに伺いました。お値段も、周辺の相場からすれば相当高めで気が進みません。。。

でも、このお店がすごかったんです!
お店に入って握りのコースを注文すると、おもむろに昆布の上に並べた漬けマグロの切り身を見せられ、「昆布の上で風味をつけながら、くちどけに程よい温度にしてから後ほど握ってお出しします。」と、説明がありました。目の前で切り身を眺めていると、期待が高まります。

大将が握ってくださるお寿司は、どのネタも江戸前らしく一仕事施してあり、握った寿司を出すごとに、「甘海老は 1 日寝かせてうまみを増してお出ししています。」「●●県産のものを、今朝さばいて数秒だけ湯通ししています。仕上げに少し○○を絞っています。」などなど、必ず一言、「仕事・工夫」の内容の説明が入ります。嫌味なく、サラッと、一言付け加えてくださいます。

そうしている間に、昆布の上で風味を増した漬けマグロの握りが目の前に置かれました。「冷やしたものもおいしいですが、室温のほうが口の中で程よくとろけておいしく召し上がっていただけます。ほんのり、昆布の風味も移っていると思います。」そう言われて口に運ぶと、冷たすぎない程よい温度で口の中に味わいが広がり、その奥に、確かに昆布の香りとうまみをすこしだけ感じることができました。

このお寿司屋さんは高い店?安い店?


まったく説明がないまま食べていれば、温度の違いにも昆布の風味にも気づ
くことはなく、「まぁおいしいけど、地方なのに高い店。」と思ってお店を出ていたことでしょう。

このお寿司屋さんのすごいところは太字の部分。見えない価値を、お客さんに見せたり、説明したりして、しっかりとお客さんの認識にまで届けている工夫の数々です。
専門知識とこだわりを目で見て、耳で聞いたことで、おいしい理由が具体的に理解でき、値段にも納得し、最後には「大将の専門知識とこだわりの詰まった逸品が東京の専門店よりずっと安く食べられる店」というブランドイメージが記憶されました。

まとめ

商品・サービスに価値があるかどうかと、お客さんにその価値が届いているかは別の話。どんなにすばらしい商品・サービスを届けても、価値をお客さんに伝えられていなければ、お客さんにとって、その価値はないのと同じです。


さて、商品・サービスの価値を、お客さんに認識してもらうために、あなたの会社はどんな工夫ができますか?

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