2020年に採用するという事。
こんにちはクリアソンの中村です。
久しぶりの現場で発見した事
昨年から20代若手に特化した、中途人材紹介サービスを立ち上げました。おかげさまで事業は好調。2020年度も既に年間目標の達成がみえている状態となっています。(2019年1月4日現在)
久しぶりに現場に入ると多くの発見がありました。
●現場がどんな気持ちで求職者と向き合っているのか?
●業務フローで削ってはいけない箇所
●業務設計をする上でのディテール
●クライアントの潜在的・根本的な課題
(アンケートは絶対に気づくことができない何か)
●紹介しやすい企業と、そうでない企業の違い
その中でも強く実感したこと。
それは、優秀な人材が登録に来ても採用力がない会社には紹介がしにくいという事です。(というか、紹介したくない)
これはエージェントとしてのサービス方針にもよりますが、求職者様に対して求人を紹介する際に
「とりあえず10社応諾していただき、
書類選考が通過した会社から選考を受けてみましょう」
というマッチング方針であれば、採用力が低い企業様にも人材を紹介することは可能だ。だけど私たちのような小さなエージェントは質で差別化をする必要があるため、上記のような方法では求職者様の信頼を勝ち取ることが難しいのでやらない。
2000年から今に至るまで、最強のマッチング理論は上記の「とりあえず10社応諾方式」だったことは間違いない。人材紹介業は自社の「業務効率化」を絶対のルールとして、マッチングサービスを熟成させていった。
時代が変わればルールも変わる
業務効率化を主軸にしたマッチング方法は既に崩壊しつつある。数字こそが顧客価値だという典型的なオールドマネージャーに、優秀な人材から違和感を覚えて離職に繋がっている。そこに追い打ちをかけるように、広告費・経営管理費が大幅に値上がりし、キャリアアドバイザーの年間目標売上数字が最適にマッチングできる限界を超える。求職者を金にすることしか考えられない仕組みへと変わっていった。経営陣も気づいてはいるものの、現場で価値創造をした経験がないので打ち手を考えられない。
(人材会社に技術顧問がいないことで生まれている問題だと、経営陣は気づけない)
これからは「業務効率こそが顧客離れへと繋がる時代」へと変わっていく。KPIを一生懸命改善していく先に未来はない。
(業務効率が悪なのではなく、技術責任者と営業責任者が対立する構造を社内に創造していく必要性がある)
KPIを追求して失った信用を人材業界は広告費で解決してきた。「感動する・共感する安っぽいキャッチフレーズ」を広告の中にいれて、自社のブランドイメージを高めることに専念した。だけど提供価値をごまかすことができない時代は必ずやってくる。今がその時なのだ。
トップレイヤー、ミドルレイヤーは今後「業務効率を軸とした人材会社」へ登録しなくなる。登録したとしてもすぐに離脱する可能性が高い。経営者・人事の方は、採用戦略の中に「時代の流れ」を抑えておくべきだ。
ビズリーチのように
「転職支援会社ではなく優秀な個人を選べる、スポーツ業界などのレアで面白い求人を集めるサイト」
WANTEDLYのように
「アッパーベンチャーが使いたくなる仕組みがあるサイト」
@TYPEのように
「提供する情報の質を大幅に変化させて時代の流れに対応するサイト」
AMBIのように
「登録層を上位×20代に限定することで、情報の質を安定させるサイト」
業界特化型エージェント・優秀な個を保有するエージェントが伸びていくのは必然の流れである。
採用も新しい時代へ
2020年から採用は大きく形を変えて、「優秀な人材を見極める力・自社のWHYを語れる力」よりも「気づかせる力」が重要になってくる。
オン・ボーディング採用こそが2020年の採用を成功させるカギになる。
これからの時代は、
●面接で新たな気付きを求職者に提供できる人
●自社と相手の共通する価値を気づかせられる人
●入社後の受け入れ態勢を意識して面接ができる人
に価値が生まれてくる。
面接は「話がうまくて語れる人が勝つ時代」から「話を聞くのが上手くて気づきを与えられる人が勝つ時代」へと変化する。
これを「コーチングスキル」と短絡的に考える人がいる。
それは大きな間違いだ。
能力・経験値がない人間のコーチングスキルほど無駄なものはない。これからは採用に「マネージャーとしての素質」が求められるのであり、その手段として「コーチング」が存在するのだ。コーチングスキルは重要なファクターであることは間違いないが、能力と経験をもった人間が保有しているからこそ価値が生まれるスキルである。
人生経験の幅、インパクト、反復経験こそが人間力を高め、人間力のある人がコーチングスキルを手に入れるから他人に気づきを与えられる。
※採用要件が誰でもいいからみたいな時は、コーチングスキル単体でも効果を発揮することは十分にある。
抽象的な概念ばかりを話してしまったので、ここからは少しづつ具体へと落とし込んでいきたい。今回は絶対に外すことができない基礎技術を紹介させてください。
採用における最重要ファクター
自社の仕事分析
自社の仕事分析
自社の仕事内容を明確にした上で相手と対話することが重要です。採用コミュニケーションにおける基本ですが、今回は基礎技術の3つをご紹介させていただきます。
①業務レングス
まずは自社の業務レングスを明確にする事からスタートします。バリューチェーンのように、業務を細分化していき流れを明確化にしていきましょう。同じ営業職でも業務レングスは大きく異なるため、自社の業務レングスを常に意識して面接に臨むことが重要です。
仮に上記の図で、自社の働き方が緑色だったとしましょう。
面接に来社してくれた営業経験者は赤色の人材。
ここでダメな面接官ほど、
「うちは、ベンチャーだから関われる業務範囲が広いんだ」
「うちは業務範囲広いけど、覚悟はある?」
みたいな口説き方をします。これはオンボーディング採用の観点でいえば、悪手の中の悪手。面接官が入社後の問題を増やしている状態です。はっきりと面接で自社の状態を相手に伝えることが重要です。
下記事例をご参照ください。
「弊社はまだ設立まもないベンチャーのため、営業職でもリストの作成からテレアポ、受注後のフォローも担当してもらっています。今後はアウトソースや広告をうまく活用していくことで、インバウンド型の営業に変革していきたいとは考えています」
【その後に有効的な質問】
①弊社のように業務レングスが長い会社が、人生育成の視点でメリットとなる点はどんなところだと思いますか?
②弊社がインバウンド型の営業に変えていくためには、どのぐらいの期間をもって変革をなしとげるべきだと考えますか?
③インバウンド営業に変えていくために、何からスタートするべきだと考えますか?
というコミュニケーションに変えていく事で相手の能力も判断しやすく、冷静に自社の仕事内容を考えてもらうことができる。面接における基本的なテクニックではあるが、意外とできていないケースが多い。
②担当顧客数と属性
上記の業務レングスに対して、どれだけの顧客数を自社で社員に担当させているのかを年次ベースでまとめるとよいでしょう。
(担当顧客数は入社年次で異なるケースが多いため)
自社の仕事がどれぐらいの業務量なのかを把握したうえで、面接を通じて相手の業務量とすり合わせをおこないます。
自社の業務レングスが緑色(長い)で、面接者の業務レングスが赤色(短い)。自社が担当顧客数100に対して、面接者は80ぐらいとしましょう。こういったケースでは面接で、
「弊社の場合は現在の●●君の仕事と比較すると、業務フローがマーケティングから顧客フォローまでになるため、圧倒的に業務レングスが増加します。さらに顧客数も100社ほど担当してもらうことになるので、業務量が増え、●●君にとってはチャレンジングな環境になる事が予想されます。
さらに私たちは現在働き方改革をおこなっているため、労働時間も制限をかけているため活動時間も今の●●君の環境よりも短くなります。どんなに理念に共感していても、人に恵まれても辛くなる時期はでてくるでしょう。
私も過去に同じような経験をしたことがありますが、凄く惨めな気持ちになり、自分はここでいるべきではないのではないか?と逃げ出そうと思ったことが何度もあります。」
【その後に有効的な質問】
①●●君は、こういった逆境を経験したことが過去にありますか?
経験したことがあるとしたら、その際はどのように逆境と向きあったのでしょうか?
②生産性という課題に対して、今の自分にどんな能力が必要になってくると考えますか?
③その能力はどうやったら身につけられるのでしょうか?
④どのぐらいの期間が能力を身につけるまでに必要でしょうか?
⑤もし仮に、その能力を身につけても解決しない場合は、●●君ならどうしますか?
というような形で質問をしていき、相手の本質を見極めながら、潜在能力を引き出すことを同時進行でおこなっていきます。
③仕事の複雑性
相手の業務量だけではなく、仕事の複雑性を理解することはとても重要なファクターとなってきます。仕事の複雑性を理解するためには、顧客課題、商品優位性、仕組み熟練度を明確にすることをおススメします。
※明確という言葉を何度も使っていますが、完ぺき主義になる必要はありません。ざっくりとでも良いので、事前準備の中で自社の仕事理解度を高めていく事が良い面接に繋がるのです。
仕事の複雑性を生み出す要素として、
●顧客課題
●商品優位性
●仕組み熟練度
●専門性
●マルチタスク
●業務レングス
などがあります。
仕事の複雑性が低い場合のソリューションと、仕事の複雑性が高い場合のソリューションは大きく異なるため、相手がどのレベルの複雑性と現職で向き合ってきたのかを確かめることは非常に重要です。
例えばクリアソンは総合人材会社ですが、経験者の採用をしたいと考えていたとしましょう。
人材紹介会社から紹介された人材が、下記のような方だったとしましょう。
●大手人材会社出身
●医療系特化型で、RA・CAを経験している
●高い実績で年間目標を大幅達成
面接官のレベルが低いと書類を見ただけで、大手での輝かしい実績、同業職での経験から、喉から手が出るほど欲しい人材だと面接する前から決めつけてしまいます。
私が面接官なら、下記の点を必ず確認します。
①医療系はそもそも人材領域の中で業界として伸びている分野。実績を全て個人の功績として考えることはそもそも難しいのではないか。
②医療系は求職者が病院から病院へと同職種で転職をするため、同業同職種における転職支援のため複雑性が低い。総合人材の場合は異業界・異業種の可能性があるため複雑性に対応することができるのか?
③大手の場合は紹介フローの仕組みが整っているし、業界専門にすることで複雑性も低いのでKPIをゴリゴリとまわすだけで結果はある程度出る。人材紹介における仕組み理解度・メンバーへの仕組み理解度促進が必要になってくることを事前にどれだけ把握できているのか?
といったことを懸念します。
この懸念材料は「落とす理由」ではありません。事前に面接者の方がぶつかる可能性が高い課題を明確にする作業です。面接を通じて現在の業務を確認したうえで、自社との違いを丁寧に説明して、事前にこういった壁にぶつかる可能性があると私は予測をしているが、●●さんが壁を乗り越えるために私にどんなサポートを求めたいか? というような形で面接を展開します。
たとえ同業他社であったとしても、これだけの変化があれば即戦力として期待することは難しいです。彼がひとりで乗り越えようとすれば1年間かかる課題を、面接前に採用側が事前準備をおこなうことで半年へと軽減させることが「気づきを与える面接(オンボーディング面接)」です。
最後に...
いかがでしたか?
基本技術すぎるので何を当たり前の事を...と思った方も多いかと思います。次回は応用編を展開していきます。
20代の若手採用・新卒採用にお困りの方がいれば、是非お声かけ下さい。
career@criacao.co.jp 中村まで
2020年もよろしくお願い致します。
頂いたサポートで良質な糖分補給をさせて頂きます。ありがとう!!