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USCPAからの年収3,000万の世界 - 外資系CFOとその配下のFP&Aとは

今回は無限のチャンスが広がる(かもしれない)CFOについてです。USCPA取得後のキャリアとして、誰もが思い浮かべるCFOという仕事について、その中でも高給とされる、外資系のCFOについて書きたいと思います。

外資系CFOは意外と狙い目だったりする

外資系企業のCFOと聞くと、「大変そう」と無条件に穏やかな拒否反応を示す人が多いと感じますが、実は意外に狙い目のポジションとも言えます。
まぁ、「大変そう」という印象は100%間違いないですが。

なぜなら、そこそこ求人があり、給与がいいから。

なぜ求人が多いかというと、外資は転職が頻繁に行われ、そのために転職ヘッドハンティング会社もあちこちにあるからです。つまり、入り口はそれなりにはある、ということす。

なぜ給与がいいかは、本記事を読んで頂ければ、わかります。

ちなみに、一口に「外資系」と言っても、社員数は数十人程度のところから数千人・数万人までと、とても広いです。大企業の場合には、本国からCFOが派遣されてくる場合もありますので、数千~数万人規模の外資系だと、CFOになるのは簡単ではないでしょう。

なお、外資系企業のCFOとは、ここでは、外資系企業における、日本拠点のCFOに限定して話を進めることとします。

日系は守りの管理職人、年収1,000万

さて、早速期待を煽るタイトルを書きましたが、まずは外資のCFOの特徴を日系企業のCFOと比較しながら見て行きましょう。

一言で言うと、

日系企業のCFOが守りの要の管理職人なのに対して、外資のCFOは攻めるファイナンス戦略家です。

日系企業のCFOは、

担当範囲は狭ければ経理・財務・税務、広ければ法務・人事・総務などを加えたいわゆる「管理管掌役員」であり、バックオフィスの統括部門長です。

下図の①のケースです。場合によっては、②のケースで、単純に財務経理部長がCFOと呼ばれているケースもあります。要は、CFOという概念がそもそも海外からのものであり、後付けしたために、日系企業ではCFOのポジションや役割も曖昧です。

※組織図は、あくまで一般的なサンプルケースを記載しているため、
個々の企業で異なる可能性があります。

図から一目瞭然なように、日本のCFOは、企業の事務方を束ねる、縁の下の力持ち的存在です。決算など会社の過去数値とその公表など、会社の根幹の一部分を担っていますが、一方で事業サイドに強く顔を出すことはなく、IRや決算説明のために状況把握するのがメインです。まさしく守りのトップと言えます。

外資は攻めるファナンス戦略家、年収3,000万


外資系企業のCFOは、

日系同様にバックオフィスを傘下に持っていますが、最重要事項は実はそこではありません。日系CFOとの一番の違い、それは外資のCFOは会社の業績数字にコミットしているということです。

外資のCFOとは、CEOのパートナーとしてファイナンス面から会社を支える会社のNo.2です。

CEOとCFOは、本国やリージョン(アジアパシフィックなど)から毎年、カントリーレベルの重たい業績ノルマを課されています。

このノルマ、つまり業績目標を達成すれば、ボーナスはドーンと跳ね上がりますが、達成ができないと減額され、何年も続けて達成できないとクビすらもあり得ます。コミットしているとは、そういう意味です。

外資のCFOの給与は、本国が決めているケースがほとんどですが、3,000万もの高給もあり得るというのは、こういう理由からです。

そして、達成するために、CFOはCEOや各事業責任者たちと一丸となって(というより、むしろモメまくって)あらゆることに取組みます。攻めるファイナンス戦略家と呼んだのはそのためです。

会社の業績を少しでも良くするために、直接会社の事業戦略に口を出す量は、日本のCFOの比ではありません。

外資CFO傘下の重要組織 "FP&A"

さて、外資のCFOが高いノルマを課されてプレッシャーにさらされていて、その分、社内で高い発言権があることはわかりました。

そうすると、
「自分で事業を直接管掌しているわけではないし、実際どうするの?」
という疑問が生じますよね。

大丈夫、ご安心あれ。ちゃんと、そのための手駒がいるのです。

外資系企業の一般的な組織図は以下のようになっていることが多いです。日系との違いは、「経営企画部」も配下に置いている点です。この部署は一般的に"Financial Planning and Analysis (FP&A)"と呼ばれます。

※組織図は、あくまで一般的なサンプルケースを記載しているため、
個々の企業で異なる可能性があります。

FP&Aのメンバーは、主所属はCFO傘下のFP&A部門であり、レポーティング・ラインはFP&A部長とその上司であるCFOとなります。

一方で、通常、自席は自分の担当する事業部内にあり、その事業部長の元、各部長やメンバーと一緒に日常業務を行います。図にすると、以下のような感じ。上司が2人いるような感じですかね。

※組織図は、あくまで一般的なサンプルケースを記載しているため、
個々の企業で異なる可能性があります。

この「FP&A担当者」ですが、その業務を一言でカッコよく言うのであれば、「部門付CFO」、悪く言えば「部門専属の管理会計屋」です。

業務としては、

・担当事業の月次・四半期・年間の部門業績の着地予測を作成
 (各部長やマネージャーから情報を吸い上げ、作成する)
・着地予想と実績との乖離をレポーティング
 (CFO・FP&A部長と担当事業の事業部長へそれぞれレポート)
・部門の年間予算の作成
・コストコントロールと承認
・業績のコミットと、達成に向けた熾烈な攻防の最前線で活躍すること

などが挙げられます。

年初にCEOとCFOが課された年間の日本拠点の業績ノルマは、各事業部に割り振られるのですが、それに基づいた自部門の年間予算(計画)を作成する業務は、実は中々熾烈です。

経験者曰く、「笑顔で相手に無理難題を飲ませる仕事」とのこと。

要は、どうにか全社のノルマを達成するために各部門間で、ノルマの押し付け合い的な要素が発生します。もちろん、楽したいからノルマを下げさせるというものではなく、合理的に考えて達成できない部門のノルマを業績のいい他の部門に上乗せさせる、ということが起きるわけですが、それにより、上乗せされた部門の営業からFP&Aのメンバーまで、程度の差はあれどボーナスに直結するので、一つ決めるにも一大事になります。

お偉いさんの間に挟まれる中間管理職的なFP&Aですが、彼らの活躍のおかげで、CFOが各事業の状況を正確に把握できるための体制を実現できているという意味で、とても重要な部隊なのです。位置づけとしても、バックオフィスというよりは、ミドルオフィスと言えるかもしれません。

そして、事業が何らかの理由でうまく行っていない場合には、CFOが早急に把握し、対策を講じ、それを迅速に現場へ落とし込む役割も担っているのです。

外資CFOは、FP&Aの強化版。

このように、CFOはバックオフィスの管理に加え、会社の戦略に大きく関わることが要求されており、そのために、日々の管理会計の分析に人員と時間を投資しています。

そして、吸い上げた情報を基に、その多大な権力を行使してスピーディーに会社の事業・戦略にもファイナンス面から切り込んで行き、また本国への報告と協議を行います。

業績が良くない事業に対してどのような打ち手を行うかを部門と協議し、一方で業績の良い事業部に更に業績を伸ばしてもう一方の事業のマイナス分を補うよう、発破をかけます。

そして、前述のFP&Aが経験する、ノルマの調整(押し付け合い)ですが、CFOになると、今度はカントリーレベルでの押し付け合いを行うことになります。日本が調子悪いから、足りない分は中国でなんとかして、とかやるわけです。

当然に中国は猛反発しますよね。或いは、引き受けるからもっと高い給与をよこせと本国に掛け合うかもしれません。更に熾烈を極めます。

外資のCFOは、実はFP&Aの強化版だったわけです。しかもスケールが国単位の。

大変ですが、会計を勉強した先の最も頂点に到達すると、こういうスリリングな場が待っているのですよ。

シビレるね。

それで3,000万もらえるんだから、やりがいは間違いなくあるでしょう。


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