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自分のブランドを副業にしたい!を叶える方法

毎月たくさんのお客様からの「服作りがしたい!」という相談をいただくが、その要望にはいくつかの種類に分類できる。
・ファッションデザイナー(メーカー)として工場を探している
・企業としてアパレル商材を作りたい
・アイデアがあるので形にしたい

そしておそらく最も多いであろうご相談が
「ブランドを立ち上げて副業にしたい」(いつかは独立したい)
である。

実際に自分も企業の経営者として働いているが
「会社でやるには規模が小さいしスケールするかわからないからリスクがあるけど、やってみたい」というプロダクトをブランドとして起こしてみようか?などと考えることもある。
いわゆる副業での収益化を狙うパターンだ。

この記事ではその「副業」で収益化を目指す人に向けて僕がお勧めする方法と注意点などを書こうと思う。


まずは「何がやりたいか」を整理する


「何がやりたい?」
と聞いたら「だから、ファッションブランドを起こして副業にして10万円くらい稼ぎたいんですよ」と返ってきそうだけど、ちょっと待ってください。

いろんな人と話していると実はその目的が微妙に違っていることに気がつく、大きく分けて下記のように分類ができると思う

・デザイナーとして「ブランドを作って」商品を作って販売したい
・アイデアを形にして商品を販売したい
・商品を販売してとにかく収益化をしたい

3つとも似たようなご要望なのだけれど実はそれぞれに特徴がある。

・デザイナーとして「ブランドを作って」商品を作って販売したい

もちろん目的としては「服を作る」ということではあるが、このパターンでは特定の「この洋服を作りたい」ではなく、ブランドを作って運営していくことがゴールになっている。
・昔から自分のブランドを持つのが夢だった
・ファッションデザイナーになりたかった
という方が多い。
この場合の目的を端的に表現すると「夢の実現」だろう。

・アイデアを形にして商品を販売したい

洋服が好きなのはいうまでもないが、ブランドを作るというよりは、課題をファッションで解決させる。というパターンだ。
・たくさん探したがいいものが見つからない
・自分の困りごとを解決したい
という方が多い。
この場合の目的を端的に表現すると「困りごとの解決」だろう。

・商品を販売してとにかく収益化をしたい

オリジナルデザインとか、課題感とかそういうものはもちろんあれどとにかく特定の強い願望があるわけではなく好きなファッションで収益化できたらいいなぁと思うパターンだ。
・SNSでの発信が好き
・ライフスタイルとしてファッションが好き
という方が多い。
この場合の目的を端的に表現すると「私生活の充実」だろう。

どのタイプかを見極める

皆さんはどのタイプだろうか?
もちろんすべての方がどれかに当てはまるとは思わないが、大体がどれか、もしくはどれかとの複合になっている場合が多い。
後に書いていくが、このタイプによって解決方法と必要なリソースが変わってくる
僕もお客様とお話しするときはまずこの中のどれかを聞くことから始める、
例えば「副業でアパレル起業したい!」と言われたお話をしてみると、
実は収入を増やしたいというよりは昔から描き溜めているデザインがあってそれを形にしたい。という場合もある。
もちろん売れればいいがそれよりも「夢の実現」という部分にフォーカスされている。

このように目的がそれぞれに分かれているので、それに合わせてどんなリソースとリターンを目指すのか考える必要があるから、一旦立ち止まって「自分は何を目的にしているんだろう」と考えてみてほしい。

それではこのタイプ別に

・費用面について
・成功までの時間
・必要なスキル
・成功させるためのガイドライン(谷ならこうする)

の項目に分けて書いていく。

デザイナーとして「ブランドを作って」商品を作って販売したい


前にも書いているがこのパターンは「ファッションで生きていきたい」という夢が前提としてある。
今は別のお仕事をしていたとしても将来的には独立していくことが前提にあるだろう。

正直いうがこのパターンが1番難しい。
難しいが面白い。
1番リスクもあるが、その分得られる喜びも大きい。

・費用面について

副業で起業する場合は200-300万円くらいの必要資金
もしくは100-200万円の資金+本業などで毎月5-10万円は副業に投資できるキャッシュフローがあることが好ましいと思う。(縫製やパターンなども外注の場合)

具体的な費用としては
・サンプル作成費用
・生産管理費用
・販管費(DM,撮影,ショップデザイン等)
・展示会費用

例えばサンプル3ルック
トップス2型、ボトム2型、ワンピース1型だった場合
修正なども含めるとサンプル費用で40-50万円
生産管理費用は自身で行えばもちろん費用はかからないが資材の手配やその他工場とのやりとりなど生産管理を外注する場合毎月3-5万円の費用を支払うことになるだろう。
販管費としては撮影5万円、モデル5万円、その他3万円
展示会費用20万円(経費含む)

だとしても1回の展示会を行うと85-100万円くらいが必要になる。(もちろんECだけで行うなどで経費を抑えることはできるが)

そして最初の方に50万円分の受注がついたとすると、そのうちの加工賃や資材費用40%くらいを工場に先に支払うことになる。(20万円)
この時点でお客様の入金が入るまでに120万円くらいが現金で必要になる。

そしてその商品を納品する前に次のコレクションのサンプル作成が始まってしまう場合全額とは行かないまでも50万円くらいが先に現金として必要になる。

ということを考えると
現金で最低でも200万円くらいは持った状態でスタートしなくては1シーズンで終わってしまう。
だからとにかく副業で行うにしてもある程度の貯金とキャッシュフローが別であることが好ましい。

・成功までの時間

ブランドを運営していくなら年間にチャンスは基本的に2回、AWとSSである。
もちろん最近ではコレクションを4回発表するところも増えてきているがそれにしても年間の挑戦回数は2-4回である。
僕は基本的には10回くらいの挑戦で損益を黒字にできたらいいと思っているので、それでいうと3年はかかるかな?と思っている。
逆にいうと3年間は赤字でも大丈夫といえる計画で進めることができればPDCAを回しながら必ずいい方向に進んでいくことができる。

・必要なスキル

デザイン
パターン
縫製
生産管理
財務
など必要な知識は多いと思う。
だけど外注すればある程度はなんとかなる。

しかし絶対に必要だろうなと思うスキルは「言語化力」である。
これは経費額に直結する。

というのもデザイナーのイメージが抽象的であるほどパタンナーは時間がかかるし、修正する時もより具体的に「ここを何センチこうやって変えてほしい」と伝えることができなければ何度も修正することになる。
何度も修正するともちろんそれだけコストも時間もかかってしまう。

たくさんの駆け出しのデザイナーさんとお話をさせてもらっていて「修正の数」がとにかく多い。
結果として時間がかかって販売する期間も短くなったりもしてしまうのだ。

多少知識がなくても「この部分をこうしたいけど、わからない」と具体的に言語化できればプロがある程度はカバーしてくれる。
しかし「何がわからないかわからない」という状況は非常にまずいと思う。


・成功させるためのガイドライン(谷ならこうする)

僕にファッションデザイナーを語ることはできないが(それくらい尊敬している)
もし自分がファッションブランドを立ち上げるという目的で副業を初めていくなら

ものづくりパート
①300万円用意する(多分借入する)
②パタンナーと縫製者さんをSNSで探す
③生地屋さんのショールームに直接行って素材を探す
④副資材はパタンナーさん経由で買ってもらう
⑤有休とってパタンナーと1日がっつり打ち合わせして形を決める
⑥キャッシュオンで支払ってサンプルを縫製者さんに縫ってもらう

販売パート
①モデルさんはSNSから探す
②カメラマンは自分がやる(カメラできるから)
③展示会を開催する
④商品を持っておいてほしい店にアポなしで突撃しまくる(200軒くらい)
⑤個人用カタログを作って知り合いの似合いそうな人にとにかく買ってもらうために個人受注とりまくる
⑥SNSの発信は最低1日20件

こんな感じかなぁと、
とにかく行動量が全ての結果の源泉になる。
僕ならこうする!というより実際に起業した時こんな感じだった気がする。

副業であってもファッションブランドを起こして独立を目指すならば「本業」以外の全ての時間を突っ込んでいく覚悟とリスクをとっていく必要もある。

でもそれだけに素晴らしいリターンがあるだろう。
人生は一度しかないからそんな夢を本気で追う姿はマジでかっこいい。


アイデアを形にして商品を販売したい

アイデアを形にしたい!
という方の多くは困りごとの当事者である場合が多い
例えば
・自分の体型に合う商品がない
・趣味のために使いたいがいいものがない
などである。
この場合はマーケティングが比較的やりやすいから早い段階で収益化することができる可能性が高い、しかし課題を解決した後どうするか?って問題も混在している。

・費用面について

副業で起業する場合は50万円くらいを予算にスタートするのがいいのではないか?と思う。
ブランド運営と比べると大幅にコストが下がっているが、その理由としては前述した通り収益化が早いということもある。

具体的な費用としては
・サンプル作成費用(生産管理含む)
・販管費(DM,撮影,ショップデザイン等)
が中心となる

この場合は課題をきちんとアイデアにしてOEMをすることができる。
その代わりサンプル作成費用がかさむことを想定していてほしい。
なぜかというとファッションブランドの運営だと多少でも「デザイナーの頑張り」とか「魅力」というのが商品に反映されていく。
しかし課題解決型の商品の場合「商品の完成度」の方が非常に重要である。
そのため修正の回数も多いだろうからサンプル作成に20-30万円程度は予想しておいた方がいいだろう。
いい商品の開発には初期コストがかかるのは仕方がないし、逆にここをケチると中途半端な商品になってしまうので販売の時に困ることになる。

他のコストとしてはブランド運営と大差ないと思うが、使用するところを想定するのであれば動画の撮影等もあった方がいいと思うので

・モデル5万円
・撮影12万円
・その他3万円
合計20万円くらいの販管費をイメージすればいいかと思う。

成功までの時間

課題解決型の商品の場合、市場がすでにあってそこに商品を投下するので成功までの時間は比較的早いと思う。
ただ市場自体が「困っていることに気づいていない」という場合は長期戦を覚悟して費用面等も考えていく必要がある。

それを除いて課題解決型の商品の場合だと
1-2年で眼に見える結果が出るのではないだろうか?
もしそれよりも長い期間がかかっているとするとその課題は実は「課題ではない」もしくは「社会がその課題に気づいてない」という可能性が高い。

適切な課題には市場は早く反応してくれるものだ。


必要なスキル


必要なスキルとしてはとにかく「困りごとの解像度」である。
困りごとの当事者であることも重要かもしれない。

パターンや縫製の知識はなくてもいいがとにかくその課題を言語化して相手に伝えることが必須である。
だって作る人間は当事者じゃないから。

逆にいうと作る側の人に「それわかります!」ってリアクションをされるくらいだと課題が浅いと思っていた方がいいかもしれない。
作る側が「え?それ重要なんですかね。。。」と迷うくらいに深く強く課題に関して理解している必要がある。

例えば以前に特定のスポーツの方に向けたシャツを作りたい!という要望があった、印象としては確かに体型が特殊になるよなぁという程度の認識だった。

しかし話を聞いていくと「このスポーツをしている人は首が異様に太くなってしまうから首に合わせてシャツを選ぶとそれ以外がダボダボになるんです!」という話だった。

確かになんとなく「ガタイがいい」という認識だったが、当事者からすると「サイズがないのではなく、あったサイズにすると他が小さくなってしまう」というマニアックな悩みだった。

これは売れるだろうなと確信した。

このようにとにかく課題に対して解像度が高いことが重要である。


・成功させるためのガイドライン(谷ならこうする)

僕なら間違いなく課題解決型の商品の場合はMakuakeとBASEとSNS(Xとnote)の合わせ技だ。

商品開発はヴァレイにOEMに委託する。
自社だからというのを省いてもサンプルの作成にかなり丁寧に付き合ってくれるし、受注販売型の生産にとても向いている。
他の縫製工場だとサンプルを早く終わらせようとしてくるし、その結果量産の枚数をかなり多く言われることになる。
そうなるとせっかく売り上げが上がっても利益が残らない (在庫が残る)パターンになりがちだ。


ものづくりパート
①50万円用意する
②ヴァレイのヴイツクに依頼してサンプルを作る

販売パート
①モデルさんはSNSから探す
②カメラマンは自分がやる(カメラできるから)
③Makuakeで販売する
④BASEでショップを作っておく(soldoutにしておく)
⑤BASEとnoteを繋げてコンテンツをあげまくる

困りごとに特化したプロダクトをやる場合は僕は正直Xやinstagramだけではなくnoteがめちゃくちゃ有効であると思っている。

理由としてはXは数を投稿していかなくてはいけないが困りごと解決型の場合そんなに毎日何通も短文でアップできるほどネタがない。
それよりも本当に課題がある内容をnoteにして毎週欠かさずアップしている方が、本当に困っているファンからすると有益なのだ。(実際に今書いているこの内容のnoteだからいいんですよ)

また今後のことを考えると課題解決のためのいいコンテンツを発信できるのであればnoteで有料マガジンにすることもできる。

実は自分はこの売り方が1番好きなパターンである。


商品を販売してとにかく収益化をしたい

大きなアイデアや大きな課題があるわけではないがファッションが大好きで、それを自分の生活に取り入れることで少しでも充実した毎日を送りたい、これもすごくいいなぁと思う。

ただ気をつけないとただやっているだけで収益化できず「なんとなく向上したい」が「なんとなく低下してる」になってしまうこともある。
だからきちんとメリハリをつけて仕組みを作ることが重要だ。

自分が好きなカルチャーにフィットした発信をこまめにしながら収益化を目指すのがいいと思う

・費用面について

僕は基本的にこの類の場合は「まずは仕入れましょう」とおススメしている。
なぜかというとすでにかなりのコミュニティができている場合を除いて「デザインで勝負」とか「課題解決で」とかではなく「共感」であるとか比較的購入欲求が低い商品を投下することになる。
アイテムとしてもシンプルだけどこだわりがあります。というようなものが多くなる。
そうなると見た目の差別化も、機能性の差別化も難しいから結局は「カルチャー」とか「コミュニティ」とかそういったものの熟成が1番重要になるんだ。

そう考えるとまずはカルチャーの中心に身を置きながら極力リスクを落として商品を仕入れながらぼちぼちと販売していく。

商品仕入れ 30万円
販管費 10万円
その他3万円

これくらいで始めるのがいいんじゃないかと思う。
もちろんもっと小さな規模から始めるとともできるだろうけど、かなりたくさんの競合があるので少ししっかりと仕組みを作ろうとするとこれくらいの予算で考えているといいかもしれない。

・成功までの期間

これはもしかすると1番時間がかかるかもしれない。
強烈な夢や大きな課題がないので広がりが比較的ゆっくりである。

しかし一旦ファンになってもらえると何を出しても売れていくという強みもあるから時間をかけながらコミュニティを作っていこう。

期間としては3-5年くらいを想定してもいいんじゃないかと思うし、日々の発信など含めて苦痛じゃない範囲で進めることができれば1番長期的にライフワークとして続けられる副業になるかもしれない。


・必要なスキル

これはとにかく情報発信力だろう。
自分がすきなカルチャーやコミュニティに対して自分が発信し続けるわけだし、
そこにファンがつく、洋服のデザインでも、課題でもなくその人そのものに魅力があるから商品を買ってくれる。
圧倒的なカリスマ性がなくてもきちんと情報を発信し続けることができればいずれ結果が出てくる。

その発信を全く苦しいと思わずにできる能力があるのであればこの売り方はとても向いていると思う。

・成功させるためのガイドライン(谷ならこうする)

僕がするなら1つの趣味をとにかく徹底的に発信するSNSの作成、コンテンツはnoteを活用する、動画も定期的に上げ、趣味を楽しみながら発信を続ける。
商品は既製品の仕入れから始めてある程度のコミュニティになったら
8:2=仕入れ:オリジナル商品くらいで棚を作ると思う。

ある程度の規模になったらMakuakeをするのも面白い。

ものづくりパート
①50万円用意する
②10商品くらいで30万円くらいで広く浅く商品を用意する(仕入れ)

販売パート
①自分がモデルになる
②カメラマンは継続できる家族にお願いする
③SNSにサブ垢という形で趣味垢を作る
④BASEでショップを作って販売開始
⑤noteで実際に使っている商品のレビュー(他社製品など)をアップ
⑥動画やスペースを活用して趣味に特化した発信を毎日する

月の売上を10万円くらいになるまでは大体1年くらいじゃないかな?と思う
まぁとにかく毎年月商10万円ずつ増えていくようなゆったりとしたイメージで続けていけばいいと思う。

僕の場合だとキャンプを中心に料理のギアとか、ペットのギアとかをアップしていくだろうな。
(というかこれはやりたくてうずうずしているのよ)


最後に

色々と具体的な金額や期間などについても書いたけどケースバイケースというのが正直なところである。
しかし最初にも書いたけれど自分が「どんな目的でファッションで副業したいか」といことがわかっていないと成功するのは難しい。
逆に自分の目的がはっきりとしていれば道はかなり明確に見えてくる。

僕たちはファッションの「生産」を行う会社ではあるものの、ファッションを通じて幸せになる人が増えて欲しいと思っている。
だからうちで作れなくても結果として成功する人が増えてくれるととても嬉しい。

もしこの内容を見て「自分がどのタイプかわかんない」とか「自分だったらどうしたらいいだろう?」とかご相談があれば下記のURLから予約いただけると30分間無料で相談してもらえます。(もちろん僕が直接お話しさせてもらいます!)


僕も、キャンプギアで副業始めようかなぁ。
(結局仕事にしちゃうんだけど)

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