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冬のモンゴル紀行

冬のモンゴルで野生にもどってきたエイミーです。

モンゴルの冬はとても険しく、場所によってはマイナス60度に達し、湖や川、滝、あらゆるものが凍ります。

そして、東京から直行便でいける首都ウランバートルは標高1351mに位置し、世界一寒い首都ともいわれています。

ウランバートル近郊にて

そんな寒さの厳しいモンゴルでは広大な草原、山々が雪で白い絨毯のように覆われます。朝のとばりにもの静かに浮かぶ月、地平線からのぼる神々しい朝日、すべてが感動ものでした。

地形のおかげか、空や天体の動きの一瞬一瞬の変化がとても趣深く感じたのかもしれない。本当に息をのむほどの美しさでした。

本記事では冬のモンゴルでのおすすめの過ごし方など備忘録として残していきます。

朝7時の空に浮かぶまんまる月
首都から南にあるゴビ砂漠へとつづく道路
セミゴビ砂漠で拝む朝日


モンゴルの基本情報

イーグルフェスティバルにて

"Mongolia is a land of infinite space, with crystal clear skies, pure rivers and lakes, and a unique and precious ecosystem."

Tsakhiagiin Elbegdorj, former President of Mongolia

面積

156万4,100平方キロメートル(日本の約4倍)

人口

340万9,939人(2021年、モンゴル国家統計局(以下「NSO」))
※総人口の半分ほどが首都ウランバートルに住んでいるそう。車の渋滞がやばかった、、

首都

ウランバートル(人口163万9,172人)(2021年、NSO)

民族

モンゴル人(全体の95%)及びカザフ人等

言語

モンゴル語(国家公用語)、カザフ語

宗教

チベット仏教等(社会主義時代は衰退、というより弾圧されていた。
民主化以降に復活。1992年2月の新憲法は信教の自由を保障。)

政体

共和制(大統領制と議院内閣制の併用)
※1924年の建国から1992年に社会主義までの約68年間は、社会主義制度を採用していた。
社会主義体制下だったモンゴルでは、チンギス・ハーンを英雄として語ることが禁じられたり、政治的にも勢力の大きかったチベット仏教が1930年代に弾圧されたり、モンゴル固有の文字はキリル文字に代えられていたそう。

元首

オフナー・フレルスフ大統領(2021年6月25日就任、任期6年)

主要産業

鉱業、牧畜業、流通業、軽工業
※石炭、銅、ウラン、レアメタル、レアアース等の豊富な地下資源に恵まれており、日本への資源やエネルギーの安定的供給確保の観点からも重要

参考:外務省HP


冬の三大フェスティバル

イーグルハンター

例年、3月最初の1週間はモンゴル各地で様々なお祭りに参加できます。

フブスグル湖で行われる「アイス・フェスティバル」、首都ウランパートル市で催される 「イーグル・フェスティバル」、南ゴビでの 「ラクダ祭り」があり、たくさんの人で賑わいます。

今回の滞在では時間が限られていたので「イーグル・フェスティバル」のみ参加してきました。

イーグル・フェスティバル

にじみでる貫禄

例年3月 4、5、6日になるとモンゴル各地から鷲匠(イーグルハンター)がウランバートル近郊のチンギス・ フレーキャンプ場に集まり、イヌワシの技術、飼育技術を競う試合を行います。

また、モンゴルの伝統衣装を着て記念撮影できたり、ラクダやホースライディング、アーチェリーの体験イベントも開催されます。
モンゴルならではの民芸品ショップも立ち並んでいるので、朝から晩までやること満載です。

開会式での歌謡曲披露
イーグルハンターたちはイヌワシとの信頼関係を築き、
共に獲物を狩り上げるための技術を磨く
馬で駆けながら、弓を操る少女
馬で駆け巡る姿にほれぼれ、圧巻!

イーグルフェスティバルはモンゴル西部に住むカザフ民族の文化や習慣から由来しており、イベント期間中は著名なカザフ人イーグルハンターたちも勢揃い。イヌワシを腕にのせながら馬を走らせる姿には終始魅せられます。

空いた口が塞がらないほどの大迫力、プロの写真家の人たちも多数みかけたのですが、ひっきりなしにシャッターを押し続けていました。

アクセス:ウランバートル中心部から車で約40分。
期間中は往復の無料バスがでるので、Facebookページで要チェック。

アイス・フェスティバル

フブスグル湖で例年3月2、3、4日に、 フブスグル湖上で盛大に行われます。

氷で造られたおしゃれなバーではワインを楽しめたり、 凍った川の上にテントをたて、氷に彫刻を施したり、スケート、氷の滑り台や犬ゾリもあるのだとか。素敵すぎる。。

シャンシャンと鳴る鈴を首に付け、 着飾った馬ゾリが湖上を駆けるシーンが風物詩らしく、いつか挑戦してみたいな!

アクセス:ウランバートルから飛行機でムルンまで1時間30分。ムルンから車でハトガル湖畔まで約2時間。
また、フェスティバル終了後は飛行機の運行がない/減るらしいので注意。

参考:地球の歩き方

ラクダ祭り

モンゴル南部のゴビ砂漠周辺で例年3月6日、7日に開催。

お祭りでは1000頭のラクダのパレード、 疾駆するレース、美しさを競う品評会などが行われます。

砂漠を舞台にラクダが爆速姿を眺められたら一生ものの経験になりそう。

アクセス:飛行機便がないので、 ウランバートルを車で前日に出発し、途中で1泊。往復1200kmを走行するので、道中で野生動物に遭遇するチャンスもありそう。


遊牧民の暮らしに触れる

滞在したゲルで迎えた朝、7時くらいでも綺麗な月がみれる

モンゴルの高原は気候が極端、土地が荒涼しているため農業主体を前提とする定住生活が難しい環境でした。そうした理由から、季節や気候に応じて羊や馬、牛などを放牧しながら移動するノマド生活が浸透したそう。

いまでも都心からすこし離れた田舎にいけば、四季にあわせて移動生活をしている遊牧民と交流できます。

草原の草で家畜の餌を確保したり、羊毛や馬の毛で衣服をつくって寒さから身を守るなど、自然に適応した生活を垣間みれた貴重な体験となりました。

田舎ドライブは終始この雄大な景色がつづく
モンゴルの至るところで馬のみならず、羊もたくさん見かけます。
カシミアのみならず、ウール製品もモンゴルのご当地品として有名です。
放牧犬がたくさん!朝日の下、じゃれてる姿が本当に愛おしすぎました。。

また、ほとんどの遊牧民ファミリーは家畜を見守る番犬として牧羊犬を飼っています。

眠りについていた真夜中に盛んに吠えることがあったのですが、オオカミなどの天敵が近寄らないよう威嚇してくれていたのだとか。

自分たちが寝てるゲルのすぐ近くまでオオカミが来ていたのかも、と思うとドキドキハラハラでした。笑

ウランバートル近郊にあったゲル。
冬のゲルではストーブを使っているため室内は暖かい、、というより暑い。

あらゆる動物に触れ合う

イーグルフェスティバルでも乗馬が体験できます

モンゴルというと、教科書で読んだ「馬頭琴」のお話や「チンギスハーン」、そして何より美しく広大な草原と遊牧民を思い浮かべるのではないでしょうか。

そのどれを取っても「馬」が縁の下の力持ち、モンゴルの歴史を支えているように思えます。実際、「チンギスハーン」に代表されるようにモンゴルは騎馬民族としても歴史的に有名です。

モンゴル全土で乗馬はできますが、今回の滞在で私たちはテレルジ国立公園内にて1時間ほど挑戦。モンゴルに観光で来るほとんどの人たちがツアーで予約をすると思うのですが、乗馬やゲル滞在などは旅程に含まれているところが多いです◎

1時間のライド中、ノマドファミリーが飼うわんちゃんたちも終始くっついてきてくれて
本当に愛おしかった。。

ちなみにモンゴルの馬は非常に速く、長距離移動も容易にこなせる耐久力から世界的に有名だそう。

ギネス世界記録に「世界で最も長い距離を複数の馬で走るレース」として登録されている「モンゴルダービー」も毎年開催され、モンゴルの草原1000キロを走破するのだとか。

イケメンお馬様
Little GobiでのCamel Rideが最高すぎた。。1時間ルートでもあっという間でした。
ラクダの足跡

そして馬のみならず、モンゴルではとってもキュートな「フタコブラクダ」とも触れ合うことができます。

ラクダには「ヒトコブラクダ」と「フタコブラクダ」の2種類があるのですが、モンゴルで会えるのは一般的に「フタコブラクダ」。

この「フタコブラクダ」は夏の気温が45度に達し、冬はマイナス30度まで下がるモンゴル地区・中国新疆地区の激しい自然環境に生息しているのだとか。

ちなみにラクダのコブの中には脂肪(当初水分なのかと思っていた笑)がつまっていて、栄養不足のときはそれを命綱にして生き延びるそう。重い荷物を運び、乾燥にも強く、水や餌となる草が少ない土地でも耐えれるラクダは遊牧民にとても重宝されるのだとか。

そしてなにより毛が長く、四肢が短くずんぐりしている容姿がとってもキュートなのです。。

今回はゴビ砂漠でラクダ乗りを体験しましたが、ラクダの背から見渡せる砂漠の景色は最高でした!


恐竜の化石をみつけちゃうかも?

モンゴルはアメリカ、中国、カナダ、アルゼンチンと並んで恐竜の化石が多く見つかる地域だそう。

その理由のひとつとして、恐竜が生息していた約6,000万年前のジュラ紀末から白亜紀初期にかけての地層が露出しており、遊牧民が発見することも多いのだとか。

現在でも化石の発掘や保存が積極的に行われていて、恐竜化石を観光資源として活用しようとする取り組みも多くあるようです。

恐竜でなくとも、都心以外のいたるところで何かの動物の骨がたくさん落ちているのをみかけました。

何かのお骨

ツアーでまわろう

2泊3日でセミゴビ砂漠とクスタイ国立公園へロードトリップ
あらゆる場所にある水が凍ってる。写真は凍結した川!

普段は自分で旅程をたてる派なのですが、今回のモンゴル滞在はほとんどツアーで手配しました。

モンゴルではSIMを入れて使っていても圏外になる場面が多く、ゲルや国立公園へのルートがみれないことも。自力で行くハードルが高いです。(Google Mapなどで位置情報もあまり登録されていないことも多々)

そして、基本的にモンゴル語しか通じないなど言語の壁もあるためツアーがあった方が安心です。

ウランバートルにあるゲストハウスはツアーも請け負っているところが多いので、事前に料金やツアー内容などを聞いておくとスムーズかもしれないです。


ポスト社会主義のモンゴルのいま

クスタイ国立公園内にあるキャンプ場にて

今回の旅の道中気になったことの一つが、遊牧民の人々の中で「私有地」という概念がそもそもあるのか、ということ。

結論からいうと、遊牧民は一般的に私有地を所有していないそう。

モンゴルでは伝統的に、草原地帯を共同で利用、移動しながら家畜を放牧するため、他の遊牧民と共同で使用することが多い。一方で、市場経済の発展や鉱物資源開発によって、草原地帯での土地の所有権が重要な問題となってきているのだとか。

最近では政府が土地の登記制度を導入し、遊牧民に土地所有の権利を認めるなど施策をしているそうですが、実際に土地を所有している遊牧民はまだ少ないようです。

1990年初頭に市場経済体制へ移行し、これらの全てが1990年代以降の 「自由化」のもと復活を遂げているモンゴルですが、まだまだ社会主義の名残りをいたるところで感じられました。

日本もそうですが、伝統的な文化や慣習を守りながら、どう経済科学の発展をつづけていくのか試行錯誤するのは世界のどこをみても永遠のテーマなのかもしれない。


持ち物リスト

  • 現金、カード(カード使えるお店は多いですがバスなど公共機関を使う際は現金必須)

  • 日焼け止め

  • Google翻訳(ネットが使えないことが多々あるので要ダウンロード!)

  • サプリ
    (モンゴルでも都心では食事の選択肢がたくさんありますが、田舎だと少ないです。栄養バランス偏りがちになるため持っていると安心)

  • 乾燥対策グッズ(リップクリーム、ワセリンなど)

  • 双眼鏡

  • 耳栓とアイマスク
    (長距離バスやフライト、宿泊先でも愛用

  • 防寒グッズ(手袋、帽子、暖かいインナー、マフラー、カイロなど)

  • ウォータープルーフの靴(ソレルでマイナス40度なで対応しているブーツがおすすめ。靴えらび重要!)


旅で頼れるアプリとカード

SIMアプリ 「Airalo」

海外に旅行する際、以前はSIMをいちいち購入して入れ替えしていましたが、現在はこのAiraloアプリ一択。

アプリですべて完結するため、SIMの入れ替えが必要なし。物理的な手間がかからずストレスフリーなのはとても嬉しい。以前はポケットwi-fiを空港で借りたりしてましたがその時代ともおさらば!

190を超える国々で利用することができて、手頃な料金でインターネット接続できます。

「AIMI4796」を入力すると3ドル割引になりますので、これからはじめる方はぜひ。

デビットカード 「WISE」

デビットカード「WISE」は、海外旅行や海外通販などでの利用に特化したカードで、世界中の150カ国以上で利用が可能です。

外貨両替手数料が非常に安いことや、世界中のATMで手数料無料で現地通貨を引き出せるのでおすすめ。

実際に海外のノマド友達でもこのカードでお店の支払いを済ませたり、外貨での報酬の受け取りを行なっている人を多々見かけました。

下記のリンクから登録すると最大600USDまで手数料無料になります。


最後に

草原や砂漠、山脈など美しい自然、そしてそこに調和しながら暮らしを営む遊牧民と動物たち。
日本の都市で生活をおくっていても、自然(たいてい人の手で整備されたもの)に触れる機会はたくさんありますが、今回のモンゴル旅で、深い意味での「ありのままの自然と共生する生活」を改めて考えさせられました。

次は夏の大草原を馬で駆けて、夜には満点の星空を見上げたいなぁ。


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