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コンビニ業界は大きく変わる必要がある

コンビニ業界に足を踏み入れもう5年以上が経過しました。
この業界に入るまではコンビニは月に1,2回利用する程度で各チェーンごとの違いもよく分かりませんでしたが、今となっては見える景色が大分変りました。そこで強く感じているのは

「コンビニ業界は本気で変わらないとこの先危ない」ということ。

具体的には商品施策というよりも、契約の内容、フランチャイズにまつわる制度、店舗の仕組み、加盟店の理解、本部のサポート、等に大きな課題を抱えていると考えます。

本部は本気で変わるべき

ご存じの通りコンビニの多くの店舗はオーナーと本部がフランチャイズ契約を結び営業されております。店舗のオーナーは独立した経営者であり本部と労使関係にはありません。フランチャイズとは本部が提供するサービスやノウハウを享受する対価として加盟店がロイヤルティーを支払う、本部と加盟店が共存・共栄を目指す事業形態です。
コンビニは小売業に該当しますが、一般的な小売業と異なるのはステークホルダーとして「加盟店」の存在が非常に大きいことです。
小売業であれば、満足度を上げる対象は商品を買ってくれるお客様、商品を提供する取引先、期待を込めて投資してくれている株主が主だと思いますが、コンビニの場合ここに加盟店も含まれます。加盟店無くして本部は営業を続けていくことは出来ませんし、逆に加盟店だけでも商売は成り立ちません。フランチャイズ契約のパッケージも商品であり、加盟店はお客様でもあります。当然加盟店が買ってくれるようなパッケージでなければ本部は商品改良するべきでしょうし、加盟店の満足度を上げていかなければ本部の存続は危うくなるビジネスです。更に、加盟店それぞれには異なる考え方、意思があります。特に元々別の商売をしていたオーナーも多いので当然です。
意思統一が容易ではない場面も多々あります。ここがフランチャイズビジネスの難しさの一つとも言えます。

加盟店の満足度とは

公正取引委員会や経済産業省がコンビニ加盟店向けに定期的にアンケートを実施しております(ネットで検索すれば直ぐ出てきます)。満足度と言っても加盟店ごとに考えは異なると思いますが、やはり重要なのは「取り組んだ分だけ利益が出ているか?」だと思います。
コンビニオーナーの利益がどれだけ出ているか?については別の機会に触れたいと思いますが、チェーンや契約形態によってかなり違ってくるため平均で語るのは難しいです。ドル箱店舗で儲かって良い暮らしが出来ている店舗もあれば、生活していくのがやっとという利益の店舗も正直あります。店舗によって偏差が大きいです。
コンビニは社会インフラと言われる事がよくありますが、当然利益を出すビジネスです。赤字を垂れ流してまで社会のために営業継続出来るほど余力はありません。しっかり利益が出る事で加盟店の生活が安定し、モチベーションが上がり、今後を加盟を続けたいという気持ちに繋がっていきます。「利益がしっかり出る」という指標は大切ですし、そのためにも本部は売上アップの施策やサポート体制の構築を今後より一層本気で考えていく必要があります。

本部も店利益に目を向けるようなってきたが・・・

少し冷たい事を言ってしまいますが、加盟店利益は本部の営業利益にとって本来であれば直接関係が無いものです。しかし、ここ数年では少し本部の姿勢も変化してきているようです。例えばローソンは2020年に開いた会見において、「店舗利益10%増を目標とする」と、本部組織の業績評価に初めて店舗利益を盛り込むことを打ち出しております。公正取引委員会の介入もあり、加盟店との関係改善を迫られている中、「加盟店利益」という指標は今後も持ち続けていくべきでしょう。

一方で加盟店側の理解も必要

今まで一方的に本部だけが変わるべきと述べてきましたが、同時に加盟店側も理解を深め、考え方を変えていく必要があると感じております。
日頃現場で強く感じているのは「本当の意味でフランチャイズ契約を理解している加盟店は多くない」という事です。
これは加盟店側だけの問題では無いと考えております。契約時に契約内容のあまり説明を受けなかった(あるいは説明を受けたが加盟店側が「まぁいいんじゃないの」という気持ちで流してしまった)事も当然あると思います。
フランチャイズの本質を理解するという事は「本部に文句を言わず黙って従い、店舗運営を続ける」ことではありません。むしろ建設的に議論が進む意見であれば大歓迎なくらいです。加盟店からの意見やノウハウがあってこそ本部も成長できるからです。ただ、フランチャイズはどこまで行っても結局は「人の褌で相撲を取るビジネス」です。サービスを利用する側が、サービスを生み出した側を超えることは出来ないですし、超えてしまってはフランチャイズの本質が揺らいでしまうのであるべき姿ではないと考えております。これが前提として頭に入って理解していないと様々な部分で本部とこじれていってしまいます。

フランチャイズは万能ではない

そして、フランチャイズ契約の本質と同時に理解しておくべきは「フランチャイズ契約は万能ではない」という事です。具体的には、「契約したから100%成功するわけではない」、「100%自分が望む利益が出るわけではない」、「100%潰れずにその土地で末永く商売ができるわけではない」という事です。当たり前かもしれませんが、これを本当に理解している加盟店は非常に少ないです。現にセブンイレブンのFC契約書には「フランチャイズ契約を結んだからと言って商売が成功するとは限りません。あなたの商売努力も重要です」といった内容が盛り込まれているようです。
特に、脱サラしてコンビニを始めた方であれば、今までの会社勤めのものさしで「普通に経営していれば利益はこのぐらい保証されるかな」「数年後には売り上げが伸びてこのぐらいもうかるかな」と考えがちです。また、コンビニで一儲けしよう、もしくはコンビニで何とか生計を立てなければと何かに迫られて経営を始める方であれば、一生懸命働きますが、商売が上手くいかず利益が出ないと一気に本部不信・本部批判のスタンスを取りがちです。
フランチャイズは「個人で商売するよりも失敗するリスクは低いですがゼロではない」という事です。
当然今のコロナ禍のような状況であれば経営が難しくなってくる加盟店も増えていると思います。本当に厳しいようであれば本部もサポートとして、店舗改装や移転の提案をしてくる場合もあります。しかし、実施したからと言って100%救えるかというとその保証はありません。加盟店が利益を求めることも当然重要ですが、低リスクであることを理解し投資する、酷いかもしれませんがこれが現実です。

今後も現場の課題について様々発信していきたいと考えております。



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