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息子に紡ぐ物語

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1男1女の子供を持つ平凡なサラリーマンと、父で作家の「長谷部さかな」は、不思議なキッカケから毎日メールをやりとりすることに。岡山県の山奥にある見渡す限りの土地や山々はどのように手…
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#後期高齢者

【304日目】ステロイド効果あり

【304日目】ステロイド効果あり

ご隠居からのメール:【ステロイド効果あり】

医師回診で、点滴のステロイド効果ありと、告げられた。酸素飽和濃度が96%-97%まで改善したという。ステロイドは酸素投与が減少しても、酸素濃度は低下していない。これはよい傾向だーーと言われても、何のことやら意味がわからないが、好材料であることを信じて、結果を待つことにしよう。

どうやら私はハイフロセラピー(鼻に差し込んだチューブによって酸素投与を続け

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【301日目】オミクロンではなくデルタ

【301日目】オミクロンではなくデルタ

ご隠居からのメール:【オミクロンではなくデルタ】

車椅子で七階の病室から一階の検査室に移送され、CT(コンピューター断層撮影)をとった。また、試験的に鼻に差し込んだ点滴チューブをはずして、しばらく酸素投与を中止してみたら、酸素飽和濃度が89%ー90%にまで低下した。これは危険な水準だが、それでも、自覚症状では息苦しさは感じることもなく、倦怠感もそれほどひどくはない。

夕方の医師回診で、私が感染

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【300日目】初症例

【300日目】初症例

ご隠居からのメール:【初症例】

入院に際しては、ノートパソコンと本を持ち込んでいたが、パソコン操作や読書はエネルギーを奪い、酸素飽和濃度の低下につながるというので、これまで、パソコン使用と読書はひかえていた。しかし、いつまでも連絡しないわけにもいかず、出身大学の同窓生グループメール宛に、コロナ陽性で入院中という内容の一斉メールを発信した。

メンバーは全員八十代だが、このグループでコロナ陽性にな

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【298日目】ナースコール

【298日目】ナースコール

ご隠居からのメール:【ナースコール】

しゃっくりをとめる薬というメトクロプラミド(プリンペラン)を服用したら、明け方近くになって、ようやく横隔膜痙攣がとまった。これで安眠できる。死の淵をさまよったことなど忘れて、今夜からはぐっすり眠れそうだ。

夜中に尿意をもよおしたので、ナースコールのボタンを押すと、看護師がやってきたので、「おはよう」というと、「おはようじゃないよ」と返された。時計をみると、

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【297日目】重症化させない

【297日目】重症化させない

ご隠居からのメール:【重症化させない】

入院時は青白い顔をしていたが、今は元気に見えると、婦長さんらしき人が言った。入院時の医師の措置が適切だったらしい。あとは重症化しないですむような医療措置をしてくれているのだそうだ。

それよりも、さしせまって気がかりなのは、しゃっくりがとまらないこと。横隔膜が痙攣すると、寝つきが悪くなる。眠れない。
 

返信:【Re_重症化させない】

死の淵をさまよっ

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【296日目】オムツ

【296日目】オムツ

ご隠居からのメール:【オムツ】

体温は36度4分前後で推移し、咳もおさまりつつある。しかし、読書やパソコンに酸素を消費することにつながるので、自粛し、終日テレビをながめている。倦怠感や疲労感、のどの痛み、鼻汁、味覚嗅覚障害などの自覚はないが、しばらくの間は読書とパソコンは控えたほうがよい。

トイレから戻った時、ベッドにドスンと腰をおろしたら、「もっと静かに」と注意された。

シャワーを浴びると

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【295日目】しっかりしている

【295日目】しっかりしている

ご隠居からのメール:【しっかりしている】

寝たきり暮らしを長く続けると、運動不足になる。それでは困ると判断して、ベッドで足腰の屈伸運動をしていると、看護師の声がとんできた。「やめてください。アブないよー」。

ここはおとなしく従うしかない。回診医師は、「ハセベさんはしっかりしている」と言ってくれた。冷静沈着ーーわがままは云わない、グチもこぼさない、足るを知る模範的なコロナ老人をめざすーーという心

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【294日目】柵越え

【294日目】柵越え

ご隠居からのメール:【柵越え】

昨夜も大量に発汗し、体温は36度3と平熱に近づいた。血圧も安定。咳もかなりおさまったが、こんどはしゃっくりが出る。横隔膜のけいれんだ。眠ろうとしても。横隔膜がけいれんすると、入眠できない。倦怠感、疲労感、鼻水、味覚障害、聴覚障害などの症状はない。

看護師に問い合わせてみたが、コロナとしゃっくりとの因果関係ははっきりしていないないらしい。便秘も一週間以上続いている

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【293日目】順天堂大学付属浦安病院

【293日目】順天堂大学付属浦安病院

ご隠居からのメール:【順天堂大学付属浦安病院】

夕方、順天堂大学浦安病院への入院手続きをすませ、いよいよ入院生活を体験する身分となった。ベッドに寝転がった体のは点滴のチューブが三、四本つながれている。

発熱外来では軽症の診断だったが、大学病院の医師の診断では、中等症IIだったので、驚いた。熱は38度9まで上昇し、その後、酸素投与やステロイド投与などの点滴治療を中心とした治療をほどこされた。その

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【292日目】保健所による調整

【292日目】保健所による調整

ご隠居からのメール:【保健所による調整】

コロナ陽性が確認されたときは、軽症なので、当分は自宅療養、入院の必要はないとのことだった。午後になって市川保健所から電話が入り、パルスオキシメーター(血中濃度酸素濃度測定器)の数値が基準値の95%を下まわっていることから、ご希望であれば順天堂浦安病院への入院を調整するという申し入れがあった。あくまでも保健所からの指示や要請ではなく、患者本人の希望による自

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【290日目】高熱

【290日目】高熱

ご隠居からのメール:【高熱】

ついに体温が38度に達した。37度台で推移しているうちは、平然としていたが、さすがに38度になると、周章狼狽、うろたえる、今までほとんど経験したこともない未知のゾーンに入ってきたのだから、今や令和四年の私の症状はすでにまともではない。

日常生活とはまったく関連のない唐突な話だが、高熱から熱河作戦を連想した。熱という言葉からの単なる連想に過ぎないが。

<<<次回の

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【289日目】ガマン強い

【289日目】ガマン強い

ご隠居からのメール:【ガマン強い】

私は自分がガマン強いほうだと自覚している。しかし、この期に及んでもまだ自然治癒に期待をこめて、病院へ行こうとしないのはガマン強いというより、融通のきかない頑固ジジイの性格というべきかもしれない。

まさか、自分がコロナ陽性になるとは思いもよらないことだった。日本人にはコロナに感染しやすい人と感染しにくい人との二種類があり、自分は後者に属すると、何の根拠もなく、

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