『ワールドブルー物語』社長の苦悩
前回までは…
頼むよぉ。
目を覚ましてくれよぉ。
いったい何で倒れちゃったんだよぉ。
『集中治療室』と書かれたガラス越しに、ベッドに横たわる蒼森育根の姿が見える。
もしかして、蒼林くんが暴力を?
いやいや、暴力はダメ。
暴力は絶対ダメです。
まさか、今話題のパワハラとか言うやつ?
ウチはホワイト企業だから、そんなブラックな事なんて、ある訳がない。
みんな仲良く仕事してくれているし。
ある訳がない。
じゃあ、何だろう?
過労?過労なのかな?
そんな無茶な残業とか無いはずだよ。
従業員に優しい会社だし。
うーん…
これといった理由が思い付かない。
蒼森くん、持病とかあるのかな?
持病が原因で倒れちゃったのかな?
それが1番可能性が高そうだな。
若いのに倒れちゃうくらいの持病だなんて…
可哀想に…
仕事は何とかなるから、今はゆっくり休むんだよ。
優しい先輩たちが代わりにやってくれるから大丈夫だからね。
「蒼社長」
「へ?」
「もうすぐ、蒼森育根の御家族が到着しますので、社長は社へお戻りください。御家族の対応は、わたくしが致します」
「あぁ、蒼林くん。来てくれたんだね。僕が対応しなくて大丈夫かな」
「ご対応、出来るのですか?」
「え?あ、いや、それは…」
「ですから、社へお戻りください。後はわたくしが」
確かに僕に出来ることは何もないのかもしれない。
「そうしたら、蒼里くんを呼んでくれるかい?」
「社長、蒼里運天はもう我社には居ませんが」
「へ?そうなの!?何で!?」
「以前、社長の不在時に社長専用車で暴走して大江栖湾に飛び込んで大破させたじゃないですか。それでクビになりましたが、ご存知ありませんでしたか?」
「知らないぉ。初耳だよぉ…何もクビにしなくたって。可哀想に」
「なので、別の者を表に待たせてあります。さ、社にお戻りください」
「…はい。じゃあ、後はお願いね」
すぐそこの角を曲がると、壁に寄りかかってため息をついた。
そうか…クビになっちゃったのか。
申し訳なかったね。ゴメンね。
「…ボアです。社長は追い払いました。…はい。」
え?蒼林くん?
誰と電話してるんだ?
僕を追い払ったって…
「…はい。蒼森の周りには誰も居ません。…ええ。分かりました。予定通りに」
通話が終わった様だ。
予定通りに?いったい何の話なんだ?
気になるけど、会社へ戻らなきゃいけないんだった。
あれ?
今、何を聴いたんだっけ?
何か聴こえた気がしたんだけどな…
えっと…さっきまで誰かと話をしてた様な…
そうだ、早く会社へ戻らなくちゃ。
230話目。
どうも、あおです😄
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という訳で今回は、
社長は何も知らない!?
って、お話でした。
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