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人は簡単に死ぬから、私は好きを伝え続ける

私は、人にものすごく「好き」を伝える。

おそらく自分の中に感情をしまっておくのが苦手なタイプなので、好きと思ったら友達、家族、先生、どんなジャンルの人でも伝えていた。

中学生の時に好きだった先生がいたのだが、私がその先生を好きなことは学年中に知れ渡っていた。好きがだだ漏れなので、よく公開片思いになる。

まわりの友達には「そんなに好きって言ったら、好きが軽くなるよ」と頻繁に言われていた。「そうなのかな、そんなものなのかな、」と子どもながらに理解はできるが腑に落ちない感情を持っていた。

私は、友達が3人死んでいる。

1人は隣に住んでいる3人兄弟の一番上のおにいちゃん。家族ぐるみの付き合いで、1人っ子の私は3人兄弟とまざってよく遊んでもらっていた。死因は19歳でバイク事故。3人兄弟のまだ小学生だった末っ子が「たくにいちゃんが死んじゃった」とうちに伝えに来てくれた。夢なのか現実なのかよくわからない、ぽかんとした表情だった。そのまま手を繋いで2人で事故現場に行った。私は高校生だった。

もう1人は膵臓がん。ものすごくかわいくてしかも巨乳、気さくでしゃべるとどこか抜けている、男なら全員好きになる大学のアイドルみたいな先輩だった。3つが離れているにも関わらず、とても仲良くしてくれて、おそろいの服を買ったり一緒に旅行に行ったりした。私の母ががんという話をしたら親身になって相談にのってくれた。最近会ってないな、と思っていたら訃報がLINEにきた。お通夜と、親族がメインだった告別式にも無理を言って参列した。喪主は仲良くしてくれた先輩の旦那さんだった。

最後は、よく一緒に飲んでいた2つ上の大学の先輩だ。いつも笑顔で声が大きく、その人がいる飲み会は毎回楽しく朝までコースが多かった。酔っ払って物を失くす癖があり、会うごとに新しい物を失くした話を面白おかしくしてくれた。みんなその先輩が大好きで、太陽みたいな人だった。最近できた彼女が大好きらしく、普段は携帯なんて気にしないのによく見るようになったという話を聞いていた。いい人の友だちはいい人の法則で、先輩の会社の同僚とも飲ませてもらっていた。

亡くなった原因は、酔っ払っての交通事故。家族も友達も会社の人も、誰も想像していなかった。いろんな人が駆けつけて葬儀は長蛇の列だった。前日一緒に飲んでいた会社の同僚が大泣きしながら家族に土下座していた。先輩の彼女らしき人が会場にいたけど、椅子から立てずに泣き崩れている様子は見ていられなかった。先輩を知っている大学中の人が集まってみんなで泣きながら朝まで飲み明かした。

亡くなった友達が3人、は多いか少ないか分からないけど、私の人生観には大きく深く刺さったままだ。忘れられないし、忘れたくないのでちょうどいい。

そんな状況に居合わす度に、楽しかった思い出がたくさん蘇ってきてつらくてつらくて仕方がないけど、なぜかそこまで「後悔」という感情が出てこない。

それは私が亡くなった人たちに、これでもかと言うほど「好き」を伝えてきているからだ。

あの世があるかなんて知らないし、故人に感情が残るかも分からないけど、もし亡くなったあと、私のことを思い出してもらえる機会があるのなら「ああ、あいつにすごく好かれてたな」と思ってもらえると思う。

もし自分が死んだ時のことを考えると、自分が好きな人達には嫌ってほど「好き」を伝えているので、そこまで後悔もしないと思う。

私も、あなたもいつ死ぬなんて分からない。

なので、私は今日も「好き」を伝える。

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後日書いた、本当にあった嘘のような話 ↓

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