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【試合レビュー】バンクーバーWC 男子エペ団体決勝

●はじめに


前回はフェンシングの中でも「決まり手」に着目し、ジャンケンのような感覚で試合を見たらどのようになるかを個人戦で試してみた。
今回は先日2022/12/11にカナダ・バンクーバーで開催されたワールドカップの男子エペ団体決勝についてデータを起こしてみる。

団体戦は3人+1人(交代要員)×3人+1人(交代要員)で行う。
全9試合で得点を繋ぐリレー方式が採用されており
1試合目が5点まで、2試合目が10点まで…と5点ずつ増えていき
最終9セットで45点に先に到達するか、
時間切れの時点で得点が高いチームが勝利となる。

●今回も決まり手に注目

決まり手に絞ると行動はシンプル

●スコアシート ー イタリア × フランス ー

Vancouver Epee World Cup 2022,Team Men's Final   2022/12/11
試合の映像はこちらから
該当の試合は01:05:00~01:40:00あたり


決まり手に着目したスコアシート

●個人シート


決まり手に着目した個人シート

●レビュー

結果的にはフランスが2試合目以降リードをしっかり守り続け、まさに団体戦のお手本のような形で勝利した。
中でもFAVA選手は、2試合目、4試合目を1回も失敗をすることなく完璧なパフォーマンスを発揮し、序盤の流れをフランス側に引き込んだ。
2試合目においてDI VEROLI選手は点差を取り返そうと防御(相手の剣を捉える)ことにトライし、失敗を重ねてしまった。
6試合目、7試合目はイタリアが腹を括って取り返す動きに出たが、フランスはこれを冷静に処理し失点を最低限にとどめている。
個人データに注目すると
SANTARELLI選手とDI VEROLI選手は防御を選択する場面が多い。(もちろん単独得点が欲しいからという理由も起因)2人ともそれらの成功率が低く、取り返すことができなかった。
BOREL選手は非常にアグレッシブな選手で、積極的に攻撃を仕掛けている。それももちろん凄いのだが、注目すべきは攻撃に時折混ぜるカウンターである。試行回数は攻撃に比べれば劣るものの、成功率は100%を記録している。
FAVA選手、CANNONE選手は1回も防御を選択することがなかった。相手の剣を捉えるという行動の難しさを彼らは理解しているのだと感じる。

●本試合からの学びまとめ(団体戦をするときに有効)

・防御は難しい!!
 →しっかり剣を前に出す攻撃またはカウンターの方が成功しやすい
・同じ失敗を繰り返すと気づけば大きなリードを取られてしまう
 →単独得点が欲しいと防御に挑戦し、失敗後うまくいくイメージがなければ
  攻撃やカウンターに切り替えよう
・防御がうまくいかないのは攻撃側がしっかりと強い突きを出せているから!!
 →フワッとした力の伝わりきらない攻撃は防御しやすい。
  臆せずにしっかり前に突きに行こう