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動くものには魂が宿る | ユカイ工学教育事業 kurikitチーム インタビュー

みなさんこんにちは。
デザイナーの はらだ です。

2019年に発足したユカイ工学の教育事業 kurikit(クリキット)
小学生ロボコンの公式予選キット開発の背景や、どんな想いでロボットを制作しているのか、開発チームの和田さん、水落さんにお話を伺いました。

プロフィール

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和田 義久( Wada Yoshihisa )
- ユカイ工学 / エンジニア
小山工業高等専門学校在学中、NHK アイデア対決ロボットコンテストにてイルカ型ロボット " フレンドルフィン " を制作しロボコン大賞を受賞。東京農工大学進学後、学生ベンチャーにて子供向け教材の開発に従事。2016年よりインターン、アルバイトを経てユカイ工学へ。
水落 裕 ( Mizuochi Yutaka )
- ユカイ工学 / デザイナー
パナソニックにてハードウェアエンジニアとしてアナログICの設計開発に従事したのち、桑沢デザイン研究所にてプロダクトデザインを学ぶ。2014年よりユカイ工学にてデザイナーとして働く。


「生きもの」ロボットの理由とは

----- kurikitの製品は「ユカイな生きものロボットキット」のイメージが強いのですが、なぜ「生きもの」ロボットだったんでしょうか?

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和田
僕がロボットを作る時は必ず目をつけるんです。

これは小山高専時代の恩師の影響なんですけど、僕がロボコンに出場した時の指導教員で「動くものには魂が宿る」考えを持っている人でした。
先生は「ロボット入魂」のパッションを持っていて、小山高専では大会の前に必ず目を付けないといけなかったんです。

水落
そうなんだ!
たしかにワークショップの時も和田さんは必ず「ロボットに目をつけましょう」って話してますよね!

和田
目をつけないと先生にロボットと認めてもらえなかったんです。
だからかな。今でも必ずロボットには目をつけます。

水落
「目をつけたらそれは生きものです」って感覚ですよね。


----- まさに画竜点睛ですね。そういえばパッケージに登場するロボットにも可愛い目がついていますよね。

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和田
この子、「じったん」って名前なんです。
結束バンドの脚がじったんばったんと動くので「じったん」。可愛いでしょ。

水落
キットに入っている目とは違うのも気になってました。

和田
自分のロボットにつける目にはこだわりがあるんです。
キットに入っているものをそのまま使うのではなくて、オリジナルの目をつけたくて。
もちろん、キットに入っている目も良いですが、どこまでこだわりを持って作るかもロボットづくりの面白いところだと思います。

水落
キットにあるものをそのまま使うのか否か…!
どことなく和田さんからの挑戦状を受けている気分になりますね。笑

和田
目があるかないか、どんな目をつけるのかで本当に印象が変わるんです。
ぜひロボットを作る時には、こだわりの目をつけて魂を吹き込んで欲しいですね。


結束バンドがロボットになるまで

----- 結束バンドがロボットになるって発想は面白いですね。

和田
実は、キットの開発が始まる前から結束バンドのしなやかさには注目していて。
毎日仕事で使っていたし、Qoobo(しっぽのついたクッション型セラピーロボット)の社内試作でも使っていたので馴染みのある素材でした。

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Qooboのしっぽの素材と結束バンドは同じ「ナイロン」なんです。
生きもののしなやかな動きを表現するのに使えるかもってQooboを制作しているエンジニアと話したりもしてました。


------ すぐに結束バンドを使おうと思いついたんですか?

和田
いや…実は、小学生ロボコン用のキットには最初ハブラシロボットキットを提案していました。
ただ、もっと段差を乗り越えられるようなパワーだったり、ダイナミックな動きだったり、条件が合わなくて考え直すことにしたんです。

モーターと何かを組み合わせた制作キットにする構想はあったものの、その何かが決まらない。商品提案の締め切りが迫っているし…ひとりで考えるよりも…と、高専時代の恩師にアドバイスをもらいに行きました。

そこで、いくつか参考になりそうな動画を見せてもらって、「モーターにつける脚さえなんとかなればいいね」って話をしたんです。

水落
その脚を思いついたのはどのタイミングだったんですか?

和田
先生と話した帰りでした。
栃木から東京に下道をバイクで走っているときに降りてきたんですよ…。
本当に、パズルがハマったみたいに、降りてきた。
「これは…!」と思って、そのまま家に帰らずにユカイに乗り付けて、この「じったん」を作りました。

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水落
なにそれドラマみたい!すごいですね…知らなかった!!
そういえば前からバイクに乗っている時間は自由に考えられるって言ってましたよね。スマホが近くにあると気にしちゃうけど、そういう雑念から解放されるから大事な時間って。


和田
そうですね。
常に何がいいかなってアイデアになりそうなことは考えてはいて、無意識に意識しているというか…。
でもそれがハマるタイミングは、僕の場合バイクに乗っている時など雑念が湧きづらい時が多いと思います。


ロボットを生み出すアイデアの秘密

----- それにしても、アイデアのピースがハマる為には準備が必要ですよね。普段からどうやってアイデアを出しているんですか?

和田
休みの日はよく100均とか東急ハンズへ行って、棚を隅々まで見て回ったりしています。
用がなくても洗濯物コーナーの棚をひたすら見て、このパーツ使えないかな〜って考えたり。

水落
なるほど。アイデアの引き出しにどんどんインプットしているんですね。
小さい頃からやっていたんですか?

和田
そうですね。
幼稚園に入る前から、身の回りにあるものを使って遊び感覚でものづくりをしていたので、生活の一部になっているのかも。

水落
幼稚園入る前から!?
当時はどんなものを作っていたんですか?

和田
その辺に落ちている木の棒を拾って弓矢を作ったり、竹馬を作って自分で乗るとか。近所の友達と秘密基地を作ったりもしていましたね。
小学校高学年くらいになると、近所に模型屋さんがあったので、部品を買ってもらってちょっとづつロボットを作ったりもしていました。


----- 小学生の頃からロボットには興味を持っていたんですね。

和田
そうですね。当時NHKで放送されていたロボコンが大好きだったんです。
いつか自分も出たいな〜!って思いながら、自分でロボットを作って、家の中でロボコンごっこをしていました。

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水落
小学生の頃からロボット作りたいって思っていたんだ!
進路選択で高専に決めたのもその影響?

和田
高専を選択した一番の理由は、NHKのロボコンに早く出たかったからですね。
進学校に行く選択肢もあったんですけど、早く憧れのTVに出るには高専に入るのが早いなって。笑

水落
そうだったんだ!笑
有言実行というか、高専に入ってしっかり夢叶えましたね〜!

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第25回大会(2012年):ロボコン大賞受賞「フレンドルフィン」
赤外線を使って人間の手の動きを読み取るイルカロボット
画像:NEP i Historyサイトより転載

和田
今ユカイな生きものロボットキットを使ってロボットを作っている子の中にも、僕と同じようにロボコンに憧れている子がいるのかな〜って思うとワクワクしますね。
先日まで「#うちロボ」コンテストを開催していましたが、面白い作品がたくさんあって審査も楽しいです。

水落
そうですね〜!僕も他のユカイスタッフも、作品が投稿されるたびにワクワクしていました。
パッケージをデザインするときに、性別関係なく楽しんでもらいたいと思ってデザインしたので、それが少しでも伝わっていたら嬉しいな。


デザインのこだわり

----- パッケージやキットの結束バンドもカラフルで楽しいですよね。特にこだわったポイントはどこでしょうか?

水落
「ロボット=男の子」のイメージってあると思うんです。
でも、この「ユカイな生きものロボットキット」は性別関係なく楽しんでもらえるものだから、男の子ウケしそうなイメージにしたくなくて。
パッケージに使っている色も、商品イメージに結びつくような特定の色を決めたくなかったので、カラフルにしました。

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和田
デザインは基本、デザイナーの水落さんにお任せしてましたね。
僕がこだわったのは、中の基板の色やコードの色。
普通は配線がわかりやすいように色付きなんですけど、白に変えて創作のジャマにならないようにしました。

水落
コードの色は地味に苦労したなぁ〜。笑
もともと工夫したいねって和田さんと話していて、たくさん案を出してたんですよ。
最初は ” 生きもの ” だから自然にある色の組み合わせにしようとしていました。山の色と海の色を組み合わせてみよう…とか!

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和田
そうでしたね〜!
でも僕が「なんか違うと思います〜。」ってバッサリ言って。笑

水落
僕は和田さんに寄り添って考えていたつもりだったんですけど、「あれ?違った??」って。笑
結局、創作の邪魔にならないように白に統一しました。
その分、キットに入れている結束バンドはカラフルにしています。

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----- そんなこだわりがあったんですね!ロゴなどに使われている文字も面白い形ですよね。

水落
文字もこだわりがあって、生きもののような動きのある形にしたかったんです。普通のゴシック体だと動きが出ないな〜と思って、色んなフォントや形を試しました。
ロゴからも ものづくりの楽しさが伝わるといいな。

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水落
ロボットを作るとなると回路の勉強なども必要になってきますが、まずはものづくりの楽しさを感じてほしいと思っています。
自分でものを作りあげる楽しさ、できる喜びを体験してほしい。
そうすれば、もっと作りたい!って思うはずだから。


個人ではなく、チームでの商品開発

----- 楽しさがあるからこそ、もっと深く学べますよね。ものづくりの楽しさにはエンジニアリングやデザインなどいろんな要素が絡み合っていますね。この1年、自分以外のメンバーと協力しながら商品開発を行ったと思いますが、いかがでしたか?

和田
商品開発にはエンジニアリング以外のデザインやコストの観点も必要でした。自分がこだわりたい部分をコスト内で、どう調整するかはメンバーと何度も話しましたね。
商品化までスケジュールもタイトだったので、この1年はみんなで駆け抜けたような感覚です。

水落
kurikitチームになる前は、ユカイ工学内の教育事業は和田さんのソロ活動に近くて。
活動は社内で見ていたので、僕自身もずっと参加してみたいと思っていたんです。
そんな中、2019年のMaker Faire Tokyoに「ユカイな生きものロボットキット」のプロトタイプを出すことになって。パッケージデザインを誰が担当するか決めるタイミングで「やりたいです!」って手を挙げました。

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水落
プロトタイプはのパッケージは箱ではなく、透明袋に紙帯形式でしたね。
箱になってからも、何度かデザインをアップデートしています。

和田
実はパッケージは水落さんにお願いしたいな〜って狙ってたんですよ。
Maker Faire Tokyoのタイミングで巻き込んじゃえば流れで一緒にチーム組めるんじゃないかなって思って声をかけました。笑

水落
そうだったんだ。ありがとう。笑


----- 最後に今後のkurikitの活動について教えてください。

和田
今年「ユカイな生きものロボットキット」の第二弾を出します!
その名も「ユカイなぼうけんクラフトキット」!

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今回は結束バンドだけでなく、素材に紙ストローが追加されました。
これにより大きなサイズや高さのあるロボットが簡単に作ることができます。

水落
キット名に「ぼうけん」が入っている通り、船のようなロボットだったり、骨組みがしっかりとしたロボットも作れるので、制作の幅が広がると思います!

和田
そのほかにも、kurikitで開発中の製品もあるので、続報をぜひお楽しみに!

----- 続報楽しみにしてます!ありがとうございました!


編集後記:ものづくりの引き出し

ものづくりは、遊びであり、仕事であり、生活である。
インタビュー中に印象的だったのが彼らのものづくりに対する意識でした。

楽しいからものづくりを追求できる。
先に待つ苦しい壁も、知恵を絞り乗り越えれば、さらに楽しみが待っている。

ヒリヒリした状況から抜け出す手助けをしてくれるのは、過去に集めたアイデアのタネたち。
引き出しから取り出しては、繰り返し組み合わせて試すし、足りなければ調達しに行く。

そうしていくうちに、焦点が合い、ピースがパチリとはまるあの瞬間。
脳内からドーパミンが溢れ出る感覚は、ものづくりを楽しんでいる人なら体験したことのあるはず。

楽しくなければものづくりじゃないし、楽しいだけでもものづくりじゃない。

こんなにも頼もしい仲間がいる喜びと、彼らのものづくりにさらなる期待を添えて、私は全力でエールを贈りたい。

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