情報の架け橋になる | ユカイ工学プロジェクトマネージャー 佐藤巧実 インタビュー
みなさんこんにちは。デザイナーの はらだ です。
3月1日、ついに一般販売を開始したBOCCO emo!
クラウドファンディングや、今回の一般販売タイミングでお迎えいただいた皆さんの温かい声に、「本当に一緒に育ててもらっているんだ」と心が震えました。
今回は、そんなBOCCO emoの法人向け事業のプロジェクトマネージャーを担当している佐藤さんに話を聞きました。
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「検索」は今後の人類にとって必須である
----- エンジニアになったきっかけを教えてください。
佐藤
きっかけは「検索」ですね。
子供の頃から自然や環境に興味があったので、大学では生物資源を扱う学部に所属していました。そこでは森に入ったり昆虫や動物を研究したりするのですが、研究するときには検索が必須で。
何をするにしてもパソコンを使うし、何か調べようとしたら、基本ネットで検索する。この行為自体が「これは今後の人類にとって必須だな」って思って興味を持ちました。
それと、当時オンラインゲームにハマったのも大きいですね。
ずっとゲームをやっていたので、人が没頭するものとして、ゲームやITなどが今後の世の中の動きとして必須だろうなと感じていたんです。
だから就活をする時は、これまで研究していた環境系に進むか、興味のあるIT系に進むかで悩みましたが、結果的には検索システムを扱っている会社に入りました。
実際、IT系の分野は自分の飽きっぽい性格にも合っていたんですよね。
いろんな分野にまたがっているし、どんどん新しいものが出てくるから、ひとつのことに興味を失ってしまっても、関連する事柄が溢れているから、飽きがこないんです。
それに、手に職がつくので、仕事の幅も増えていくのが良いところですね。
----- 経歴を見ると、扱ってきた分野が多岐に渡りますね。
佐藤
そうですね。ユカイ工学で5社目かな。
割と転職をしている方かなと思うんですけど、実は先ほど話した一番最初の会社を退職してから少しの間、無職でした。
この話をするとみんな驚くんですけど、これは狙った行為で。
若くてリカバリーが効くうちに無職を経験するって、結構アドバンテージになるんじゃないかなって考えていたんです。
前回の荒木さんインタビューとも重なって面白いんですけど、当時は携帯業界がガラケーからスマホだ!って流れが来ていて。
僕もガラケーからiPhone 3GSに機種変していたのですが、初めてスマホを触った時は「これは…恐ろしいものが発明されたな…!!」って衝撃でした。
そんな体験もあって、次はアプリとかWeb系のサービスを扱っている会社に勤めたいなと思ったんですよね。
でも、いきなり飛び込むのもな〜って思って。
無職で時間の捻出もできたので、アプリなどの分野に足を踏み入れました。
同時に、スタートアップやベンチャーのエンジニアが参加する勉強会やイベントによく参加しましたね。
そこでは、「ピッチ」と言われる短いプレゼンテーションが行われていて、事業説明だったり開発内容を発表するんです。
その最後に「エンジニア大募集!」って感じで、リクルートの話もよく出てくるので、いろいろ見て回っていました。
その中で、気になった企業に「ちょっと今…僕、職が無いんですけど、どうやらエンジニアさんを求めているようですね。」って声かけてみたり。
「僕Java書けるんで、これからAndroidアプリとかやってみたいと思っていまして。」とかいろいろと話をしているうちに採用が決まったんですよね。
----- すごい!売り込みですね!
佐藤
そこで1ヶ月くらいでアプリをリリースしたりしていたんですけど、1年くらい経った頃、メインで運営していたサービスの伸びが芳しくなくて。
会社ヤバくない?みたいな雰囲気になり、代表から「事業をピボットしようと思うのですが…ゲーム作りません?」って言われたんですよ。
ゲーム作成は『RPGツクール』くらいしか経験なかったのですが、「良いですね!やりましょう!」と二つ返事で進めました。
代表の市場リサーチが徹底していたし、僕自身ゲームが好きだったので、「やらない選択はないな!」って即決でした。
そのゲーム事業を通して得た、0から1で何かを作る体験が面白くて。
その後の転職先にベンチャーやスタートアップを選んだきっかけになっています。
どこに行っても転換期だった
----- スマホゲームの次はHR TechやIoTとありますね。
佐藤
転職した当初はメイン事業がHR Techではなかったのですが、たまたま転換期で。自分が転職を何回もしているので、転職支援サービスの中の人をやるのも良い経験でした。
その次が、クラウドインテグレーターの会社。
一般的にはあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、そこではGoogle Cloud Platformっていう、AmazonだとAWSのようなクラウドサービスを扱っていました。
そこにはエンジニアとして入社しましたが、IoTアプリ等の開発業務だけでなく、スマートスピーカー案件のプロジェクトマネージャーを担当しました。
1年も在籍していなかったのですが、その期間にバ〜ッと新しいメンバーが加入していて。僕が入った時70人で、抜けた時は150人になっていたかな。
在籍していたタイミングが会社の成長期に重なったんです。
だからメンバー全体に対してマネージャー職の人数が少ない状態でした。
そこで、過去に組織の成長過程を見てきた経験もあって、僕がエンジニアとしての開発業務と並行して、プロジェクトマネージャーを担当したんです。
チームリーダーとしても、4名の若手エンジニアを見ていました。
自分のキャリアを振り返ると、たまたま会社の転換期に居合わせることが多くて、その経験が今のユカイ工学での仕事でも活きていると思います。
いろんなきっかけで「自分の興味のあるもの」「今できること」「求められていること」がうまくマッチングして、そこに身を置いているってパターンが多いように感じます。
情報の橋渡しをすること
----- 開発業務とマネジメントの両立って難しそうです。マネジメントよりも手を動かしてもの作りたい!ってなりませんでしたか?
佐藤
たしかに、昔は僕も「自分でコード書いてものづくりしたい!」って思っていましたが、歳を重ねるにつれて考え方が変わりました。
視点が多様になると表現するのが良いかな。
例えば、経験を積んでいって、自分が誰かに教える立場になるとします。
そうすると視点が変わるんですよね。つまり、教える立場になると、教えられる立場も両方わかるようになるんです。
エンジニアとして手を動かしているだけだと「組織の上の人たちが何考えているか分からない!」みたいなのって結構あるじゃないですか。
それがきっかけでギスギスしたりすることも、今までの経験上見てきて。
だからこそ、僕はそこの橋渡しをしたいと思ったんです。
開発視点に加えて、マネジメント視点を持てれば、みんながスムーズに仕事ができる架け橋になれると思ったんですよ。
ユカイ工学に入ってからもそこは変わっていません。
----- たしかにユカイ工学でも「架け橋」の印象があります!ちなみに、入社されたきっかけは何でしたか?
佐藤
たまたまQooboを購入したすぐ後にWantedlyで声をかけてもらったのがきっかけでした。
あまりにもタイミングがよかったので、「ちょっと運命的かも」と思って、話を聞いてみたのが始まりでしたね。
もともとユカイ工学のことはnecomimiで知っていたのですが、色々と調べていくうちに、コミュニケーションロボットなどを作っていることを知りました。
当時スマートスピーカーやIoTに関わっていたので、自分と通ずるものがありそうだと感じました。
それに、ちょうどスマートスピーカーも一般の消費者に向けて出揃ってきましたよね。ユカイ工学は、それに近しいプラットフォームを自社で作っていたので興味を持ったんです。
実際に入ってみると想像以上で、BOCCO emoやQoobo、教育シリーズkurikitなどを40名弱の規模感で作っていることに驚きました。
日々もう「え?これ一人で…作ったの?」みたいな感じで。
本当に意味がわからなくて。
でも、一緒に作っているメンバーと話すと、やっぱりエンジニアリングに対して熱意を持って取り組んでいる人が多いんですよ。
逆にそういった熱意がないと、こういうプロダクトは作れないんだなって感じます。
誰かのために生きてこそ、人生には価値がある
----- 佐藤さんは社内外で積極的に情報発信をされていますよね。
佐藤
そうですね。
面白いニュースがあったらSlackで共有したり、個人でテックブログをやっていたり。よく勉強会も開催します。
ユカイ工学のエンジニアにも声をかけることがあって、たまに参加してもらうこともあるんですよ!
毎月最終週の木曜に開催しているので、興味のある方はぜひご参加ください。
勉強会コミュニティの紹介文にも書いているんですけど、プロにとっては当たり前のことも、ある人にとっては当たり前じゃないんです。
だからこそ、自分の持っている知識や情報をシェアすることに価値があると思っています。
参加者も自分も学びを得る良い連鎖が生まれるんですよね。
「誰かのために生きてこそ、人生には価値がある」
アインシュタインの言葉なんですけど、これが僕の行動指針なんです。
普段何かを調べる時、ネットで検索とかしますよね。
欲しかった情報が見つかると「なるほどな〜。ありがてぇ。」って思うんです。逆もあって、自分が発信することで誰かの役に立って感謝されることがある。
今の時代、みんなで情報をシェアしあって助け合うことが容易にできるんですよね。その経験が積み重なって自分が情報発信していく姿勢が身についたと感じます。
それに、自分が好きなものや得意なことを発信すると、「佐藤さんってこういう人なんだ」って知ってもらえるでしょ。
例えば、自己紹介で自分のことを「フルオタクエンジニア」って言ってみたり、日報に「PS5落選」って書いてみたり。
いろんなところに話題のタネを散りばめておくんです。
そうすると「ゲーム好きなんだ!」とか「VTuberに超詳しいんだ!」とか人柄が見えてきてコミュニケーションのハードルが下がるんですよ。
「私もPS5落選しました」とか「僕もバ肉美挑戦してみようと思って…」とか雑談できる。
リモートワークが当たり前になってきたからこそ、雑談ってバカにできなくて、仕事の出来にも関わってくると思っています。
一緒に働くメンバーのことを知る上でも、自分を知ってもらう上でも、普段の雑談は欠かせません。
メンバー各々の興味分野がわかると、新しい仕事を割り振るヒントにもなりますし、良いことが多いですね。
「好き」の熱量
----- どんな人と一緒に働きたいと感じますか?
佐藤
何か軸となるような趣味や興味のあるもの、夢中になれるものを持っている人と働きたいですね。
ユカイ工学のみんなはよく「熱量」って言うかな。
過去のインタビューでも同じように答えている人が多かったかなと思いますが、ユカイ工学のメンバーの共通項として「熱量」があげられると思います。
「好き」ってエネルギーは重要な要素だと感じるんですよね。
継続や成長に対しての鍵になる力です。
ロボット、ゲーム、音楽、映画…「好き」の対象はなんだってよくて、ユカイ工学のメンバーの「好き」も多種多様です。
でも、例えジャンルは異なったとしても「好き」の本質は突き詰めるとみんな同じ。強いエネルギーがそこにはあると思います。
「好き!」って想いがあると、そこに共鳴してくれる人がいたり、コミュニケーションが生まれて、仕事をする面でも円滑になるんじゃないかなと思っています。
----- ありがとうございました!今後の活躍も楽しみにしています!
編集後記:「好き」を味わい循環すること
「好きこそ物の上手なれ」とはじめに言ったのは誰だったのでしょうか。
さらっと検索してみると…中国の思想家である孔子の死後に、弟子が記録した「論語」のなかに似た意味を持つ言葉があったそうな。
なるほど。一つ賢くなりました。
ありがとうインターネット。
…と、まさにこれが佐藤さんの言う、検索と情報循環の体験だったりして。
誰でも簡単に情報をシェアしあえる時代だからこそ、美味しく楽しくインターネットの中を泳いでみたいものです。
自分の「好き」も、誰かの「好き」も。
味わえば味わうほどに深みが増し、楽しさが広がるのかもしれません。
その他のインタビューnoteはこちら
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