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30代をみっともなくあがいて欲しい。 #1年後の私へ

1年後の私へ

こんにちは。お元気ですか。
エレファントカシマシの「今宵の月のように」を聞きながら、あなたへ手紙を書いています。今の会社に入社する前、20代の頃。仕事が上手く行かなかった日の帰り道によく聞いていた曲です。冒頭の歌詞の前半部分に特に共感していましたね。

くだらねえとつぶやいて
醒めたつらして歩く
いつの日か輝くだろう
あふれる熱い涙
いつまでも続くのか
吐きすてて寝転んだ
(今宵の月のように/エレファントカシマシ)

男臭くて、力強く、美しい曲だな、と30歳を過ぎた今でも聞く度に思います。私自身がそんな生き方に憧れているのかもしれません。
あれから時を経て、わたしは30代になりました。
30代をどう生きていくのか?
今の私が何を考えているのか?
あなたにお伝えしたいと思います。

中堅層への移行、結婚。30代に求められる役割。

2021年はどんな状況でしょうか?
2020年は世の中にとっても、個人としても驚くような変化が起きました。
感染症の影響によるオリンピック延期、働き方や暮らしにも大きい変化がありました。会社はオフィスを移転、今の私はほぼ自宅で働いています。
少し前だと想像も出来ませんでした。
個人としても、編集長になり後輩の成長支援や仕事をリードする機会も増えています。自分が後輩に仕事を教えたり、リードする立場になるとは驚きです。今までは会社の中でも、独立独歩の職人的な生き方をしていく職業人生だと思っていました。最初は不慣れでしたが、ありがたい事に周囲から任せてもらう機会も増えています。
結婚生活も落ち着き、奥さんと自分の関係性も安定しており、仲良く暮らしています。仕事のリード、後輩の成長支援、結婚。
気が付いたら、もう30代なんですね。

「視野が広がっている」「組織やチーム、周囲の事を考えるようになった」「いい年の取り方をしている」と言われる事が増えました。
会社でも中堅層に入り、自分の成長だけではなく、周囲やチーム、会社、社会の視点でどう考えるかが求められています。会社での評価や直接的なフィードバックも好意的な内容が多く、周囲の人にも恵まれています。

しかし、私は、本当は焦っています。

成熟なのか?停滞か?不安と葛藤。

「このままでいいのだろうか?」
1人で夜道を歩いている時、お風呂に浸かっている時、寝る前、曖昧とした不安が私を襲ってきます。
周囲の信頼出来る同僚、優しい奥さん、自分が全うしたいと思える職業。これ以上何を求めるのでしょうか。わたしは傲慢なんでしょうか。

必死だった20代を経て、生活が落ち着いたからこそ出てくる不安なのかもしれません。昔のわたしは30歳を過ぎれば、勝手に大人になると思ってましたが、どうやらそんなことはないみたいです。

わたしは20代を後悔しています。おそらくあなたにとってもそうでしょう。1年で自分の過去に対して、大きく変化があるとは思いません。
キャリアのスタートが遅く、人より経験が浅い。様々な職業を経て、現在の仕事に辿り着きましたがその過去を後悔しています。
20代の内にやっておくべき〇〇の事、若くして活躍している優秀な若者、じとりとした汗が滲み出ます。
SNSでは周囲の活躍が見えるようになり、羨ましい気持ちと同時に自分に対する至らなさを感じています。
表面上ではにこやかでも、自分にはその環境がなかった事を悔いています。
家庭が出来て、時間もなくなり物量の勝負も出来なくなっています。

後輩と一緒に仕事をする機会も増え、尊敬されたい、馬鹿だと思われたくない、年上だから、リーダーだから。こんな事をわたしは思っています。
矛盾を抱えながら葛藤しているのが、今のわたしです。

今も昔も、色々考える性格ですよね。
悩みは尽きない状態ですが、ただ、1つ変化があります。

悩む理由に周囲の事が増えました。

30代をみっともなくあがいて欲しい

後輩の成長、仕事、適性、チームでの仕事。会社の向かう方向性、社会にとって自分が所属している会社の役割や存在意義。
考える範囲が増えたんですよね。
昔のわたしは自分の事ばかりでした。仕事が出来ない、成長したい、上手く行かない、忙しい。

1年後のあなたから見える景色はさらに広がっているのでしょうか。
その度にまた悩むんでしょうね。
20代の体力や若さもなく、40代ほどの落ち着きや貫禄もない。
30代のわたしやあなたに何が出来るのでしょうか?

スマートな先輩も優秀な後輩も。周囲には多くの尊敬出来る人間がいます。
残念ながら、わたしやあなたはその星の下に生まれませんでした。
泥臭く挑む姿勢がわたしであり、あなただと思っています。
不格好ながらも、泥臭く、前を向いて真摯に取り組む。
それしか出来ないんでしょう。

30代をみっともなくあがいて欲しいのです。
挑戦は20代だけの特権ではありません。30代の役割だからこそ出来る挑戦もあるはずです。だからこそもがいて欲しいのです。

人は誰しも誰かに影響を与えます。仮にみっともなかったとしても、次の世代の挑戦するきっかけになるかもしれない。その礎になるのだとしたら、失敗しても意味はあるんじゃないでしょうか。

1年後の私へ手紙を書く「1年後の私へ」。
この企画も会社の後輩であるみさきちが、担当してくれました。
彼女の成長も楽しみですよね。一緒に仕事をしている後輩の成長を喜べる人間になっている事は、あなた自身の成長とも言えるんじゃないでしょうか。

最後にエレファントカシマシの「今宵の月のように」の歌詞を引用して終えたいと思います。20代の頃は、歌詞の冒頭に共感していました。

くだらねえとつぶやいて
醒めたつらして歩く
いつの日か輝くだろう
あふれる熱い涙
いつまでも続くのか
吐きすてて寝転んだ
(今宵の月のように/エレファントカシマシ)

この歌詞には続きがあります。その続きの部分に最近は胸が熱くなります。
この曲は1年後のあなたにとってどんな風に聞こえるでしょう?手紙を通して会えるのを楽しみにしています。

俺もまた輝くだろう
今宵の月のように
(今宵の月のように/エレファントカシマシ)

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