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行動経済学っておもしろい

今回は昨年末から興味を持っている「行動経済学」について書いていこうと思います。
今回読んだ書籍は
「行動経済学が最強の学問である」です。
書店などで見かけたことがある方も多いかなと思います。本が分厚いので読むのが大変そうだと感じた方も多いのではないでしょうか?
私も最初は同じ印象だったのですが実際読んでみると非常に読みやすく4, 5h程度で読むことができました。
さて前置きはこれくらいにして内容に入ります。

行動経済学とは?

行動経済学という言葉を聞いたことがある人も多いとは思いますが本書を引用すると行動経済学とは

「人間の非合理な意思決定のメカニズムを解明する学問」

つまりなぜ人はそのように行動するのか?
人の意思決定を追求する学問ということです。

と言われても???となる方も多いでしょう。
実は私たちの身の回りで結構使われています。

例を挙げると、

✅当たる確率ほぼ 0 なのに買ってしまう宝くじ
✅1話だけと決めていたのに気づくと何話も見続けているNetflix
✅薬などの表記100mgと0.1g では100mgの方が多いと感じてしまう
などがあります。

本書は諸初学者向けにまだ体系化されていないこの学問を「認知」、「状況」、「感情」の3つに分類しそれぞれわかりやすく書かれています。
この記事では私が特に面白いと感じた
「認知」「状況」の2つについてまとめています。

認知の癖

同じお金でも価値のとらえ方が異なる?

皆さんにまず質問です。
Q. 10万円と聞くと皆さんはどう感じますか?

個人の収入によってその感じ方はもちろん様々だと思いますが大半の人にとってはそこそこの金額ではないでしょうか?
ただ仮にこれが自分で稼いだ10万円と臨時で手に入った10万円だったらどうでしょうか?
後者の場合、仕事で稼いだものではなく何らかのイベントで偶然手に入ったものです。
すると皆さんがこの10万円に感じる感覚は初めの質問で考えたものよりも価値が下がっていませんか?
(ここでの価値は使う時のためらいが減るという意味合いです)

仕事をして稼いだ10万円であればすぐにすべてを使おうとはなりませんが、このように臨時で入った10万円であれば使うことにあまりためらいはないのではないでしょうか?

もちろん計画性をもって使用するものであればこれに当てはまらないのですが、そうでない場合にはこれに該当します。
合理的な判断をするのであればまず貯金となるはずです。そしてその後どのように使用するか計画を立て少なくとも一度に使い切るようなことをする方は少ないのではないでしょうか?

これは「メンタルアカウンティング」という特性になります。
簡単に説明するとメンタルアカウンティングとは
金銭に関して合理的ではなく、心情的な判断をしてしまうこと
「心の会計」とも呼ばれます。
(Googleにて検索)

独身の方であれば夏や冬の賞与もついつい一気につい買ってしまうこともありそうですよね(笑)

ホットハンド効果による思い込み

ホットハンド効果とは過去の実績から新しいチャレンジの成功確率を判断する際のバイアスみたいなもので、適切な表現かはわかりませんが「調子がいい」状態の人や物に実際の数値以上に期待をする状態です。

サッカーを例に説明したいと思います。

サッカーの試合でPKをする時、キッカーがリオネル・メッシであれば見ている人はほぼ決まると思うはずです。
しかしPKが決まるかどうかは誰が蹴っても理論上は50%です。
例えメッシでなくその試合でゴールを決めている選手や、良く活躍している選手であれば同じように限りなく決まると思い込む人は多いはずです。
これがホットハンド効果です。


身近な例では上司の人が仕事を誰に任せるかを判断する時に実はこれが起きている可能性は非常に高いと考えられます。その仕事の重要性が高ければ高いほどよりこの影響は大きく働くのではないかと思います。

実はスケジュールを立てる時は楽観的に考えすぎている?


ある程度仕事で裁量が与えられると開始日、終了日から大まかにタスクの見通しを作成すると思います。その際すべてを事細かに細分化するのではなく、いい塩梅の粒度で分解しそれぞれの工数を見積もるのが一般的だと思います。
それ自体は全く問題ないのですが問題は
抽象的になっている部分の見積もり方です。
頑張ればこれくらいでできるといった感覚で見積もったものはすべて楽観バイアスがかかっているため実際にかかる工数とはかなり差が出る可能性が高いです。

ではどうすればよいのか?

それはできるだけ抽象的な部分については最悪の想定でみつもっておくことです。こうすれば実際の工数との差は最小限に抑えることができます。
私自身もこれはすごくやってしまっていたので今後は楽観バイアスがかかっていないかを注意していこうと思います。

効果がないのにやめずに続けてしまうのはなぜ?

皆さんは過去に続けても損をするのにやめられず続けてしまいさらに損をしたという経験はありませんか?
ギャンブルはわかりやすい例ですが、そのほかにも投資やオンライン学習サービスなど色々とあるかと思います。
さて冷静に考えれば今以上に損をすることなんてすぐにやめるべきと誰しもが考えるはずなのにそれができないのはなぜか。不思議ですよね?
これこそが埋没コストの影響です。
さらに人間には現状維持バイアスというものも存在します。今の状態を変えずに続けることを好む性質。
この2つが相互に作用することでやめた方がいいのはわかっているのになぜか続けてしまうといったことが起きてしまうのです。

■埋没コスト
事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと
(引用https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%8B%E6%B2%A1%E8%B2%BB%E7%94%A8)

■現状維持バイアス
未知のものや変化を受け入れず、現状維持を望む心理作用
(引用:https://www.sprocket.bz/blog/20220729-status-quo-bias.html)

2つがどのように作用しあうのかを具体的な例で簡単に説明します。

設定
あなたは英語を学ぶため英語学習サービスAに登録しました。月会費および入会金、教材費などで初月は5万円ほどかかりその後、数か月間サービスを利用しています。しかしあまり英語力は伸びずむしろほかのサービス(ここではサービスBとする)の方がいいという評判もちらほらと耳にしています。

ここで合理的に判断を下すのであればいったん効果の出ていないサービスAでからサービスBに切り替えて効果の差を確認し、より自分の成長に合う方を決定するという考えになるかと思います。そうすれば仮にサービスAがあっていなかった場合でも今までの費用のみがマイナスになるため損失は最小限となります。
しかし実際多くの方はプランBに切り替えることを無意識に拒否します。
例えばプランAが悪いのではなく自分の取り組みが悪いなど別の理由を探します。そしてプランAが根本原因であったと気づいた時にはかなりに損失となってしまうだけでなく、時間も失ってしまいます。
個人的には時間はお金以上に貴重だと社会人となってから痛感しているのでかなり痛いなと感じます。

なぜこのようなことになるのか、これが埋没コストによる影響です。
すでに多くの投資をしてしまっているから何とかリターンを得たい、きっと得られるはずだと思い込んでしまい合理的な判断ができなくなってしまうのです。
そしてそこに現状維持バイアスが加わり、新しく一から始めることに対しても拒絶反応が起こるためより非合理的な判断を続けてしまうことになってしまうのです。

自分にもこういう特性があると認識していれば時間やお金の損失は少し減らせるかもしれないので、ぜひ皆さんの頭の片隅にでもしまっておいてもらえればなと思います!

状況が判断に及ぼす影響

発表する時の順番で一番良いのは何番目?

皆さんも今までの人生の中で発表の順番を決める場面は何度も経験があると思います。ここではその発表によって誰かに選ばれる、評価される場面においてその順番がどういった効果を与えるのかを紹介します。

ここで皆さんに2つ質問をします。

前提:あなたはこれから新規事業のプレゼンをします。あなた含めプレゼンは5名が行います。子のプレゼンはあなたの昇進にも関わっており非常に大切なものです。

Q. シチュエーション1
プレゼン後、その日のうちにどの企画を採用するかが決定される場合あなたは何番目を選択しますか?

Q. シチュエーション2
プレゼン後、日を改めてどの規格を採用するか決定される場合あなたは何番目を選択しますか?

決してこれがすべてとは言いませんが行動経済学に基づくとそれぞれの理想的な順番は

A.シチュエーション1:1番目(最初)
A. シチュエーション2:5番目(最後)

どうでしたか?予想はあっていましたか?

それぞれなぜその順番が理論上最適なのか少し解説します。
まずこういった順番が印象に与える影響は系列位置効果と呼ばれます。
そしてその中に「初頭効果」、「新近効果」
という二つが存在します。

◆初頭効果=最初に掲示された情報に強く影響されること
◆新近効果=最後に掲示された情報に強く影響されること

初めと最後がいいというのは何となく想像できるとは思うのですが質問1,2のようにその結果を判断するのが、すぐなのか時間をおいてからなのかによってより最適解が決まります。

新近効果は時間の経過で薄れていくため、その日のうちに決断がされる場合には理想的なのですが、別日となると初頭効果の方が影響が強くなります。
本書では逆に選べれたくないものには逆のことをすればいいと書かれておりおもしろいなと感じました。しかしこれはあくまで私の経験上ですが日本人は無難に間を選ぶ人が多いので、チャンスを失っている人が多いような気もします。

あなたは大丈夫?デフォルト効果の罠

最近Amazonをはじめ多くのことがネットサービスに移りかわり、利用する時に毎度求められるのが会員登録、個人情報の登録です。
このときよくあるのが最後のページなどで配信を受け取る、お得な情報を受け取るなどのチェックボックス。あまり気にせずいつもスルーしている方も多いかと思いますが、メールボックスがどうでもいいメールであふれていて大切なメールを探すのが大変だという方は少し気にしてみるといいかもしれません。

実はこういった任意のチェックボックスはデフォルトでon(はい)に設定されていることをご存じですか?
これが見出しのデフォルト効果の罠です。

悪質なものだと有料プラン等のチェックもあるかもしれないのでぜひ注意してみてください。

もちろん悪い面だけではなく、自分がそれを利用すればうまくいくようになることもあるので、皆さんもぜひうまく利用する側に回りましょう!!

感想

今年の初めにも行動経済学に関する書籍を読み記事も書いていたのですが、本書を読みかなり基礎的な知識が身につけられたように感じます。
私は今IT業界で働いておりまさに技術の進化を日に日に感じています。
ChatGptをはじめAIがますます進化していく中で未来のことを考えると意外なことに社会の本質は昔から何も変わらないと思っています。
「人が人のために何かをする」
ここは不変であり、技術はこれを実現するためのあくまでも手段です。
だからこそ地球上に生きているのが人間である限りその人間について理解することがこれから必要とされるもの、より社会をおもしろくしていくものを生み出す原点になると私は考えています。
今まで以上にアイデア、発想力を持つ人がこれからは求められていくのではないかと私自身強く感じます。だからこそ興味のあることや、いろいろな情報に耳を傾けこれからも飛び込んでいきたいなと思います。
かなりボリュームのある記事とありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。






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