見出し画像

#15『星屑』感想

今回ご紹介するのは、
村山由佳(むらやまゆか)先生の
『星屑』という作品です。

と、本題の前に一つお詫びです。
本作を9月には読み終わっていたのにも関わらず、ここまで感想が遅れてしまったこと、申し訳ありません。
大学の卒論関係で中々ゆっくりとnoteに時間をかけることが出来ずにいました。

まぁ今も暇になったわけではないんですが、そろそろ感想書かないと内容忘れてしまうと思って。
このnote読書感想は私自身の記憶の保管庫でもあるわけですね。

そんなことは置いといて、続きをお読みください。少しでも共感していただけたり、楽しんでいただけたら幸いです。

*この先、ネタバレを含みますのでご注意ください。
【目次】
○あらすじ
○装画・装丁について
○感想
 ・少女たちの成長を描く
 ・恵まれている時よりも
○最後に
○著者について

○あらすじ

大手芸能プロ「鳳プロ」のマネージャーながらも、雑用ばかりでくさっていた桐絵は、博多のライブハウスで歌う16歳の少女・ミチルに惚れ込み、上京させる。鳳プロでは、専務の14歳の娘・真由を大型新人としてデビューさせることが決まっており、ミチルに芽はないはずだった。しかし彼女のまっすぐな情熱と声は周囲を動かしてゆく。反りが合わずに喧嘩ばかりの二人。妨害、挫折、出生の秘密、スキャンダル……その果てに少女たちが見るものは──。ド・エンタメのスター誕生物語が完成しました!

*株式会社幻冬舎 HPより引用

○装画・装丁について

本作品は、

表紙イラスト:banishment(FLAT STUDIO)
装丁:アルビレオ
印刷・製本:中央精版印刷株式会社

その他関係各所の企業の皆様によって創られています。


もちろん今回もジャケ買いです。

詳しくはこちらの記事を見ていただきたいのですが、たまたま立ち寄った本屋さんでジャケットに一目惚れして購入しました。

このジャケ買い紹介の記事のサムネイルを見ていただいたらわかると思うんですけど、

やっぱり、

「星屑」のホログラム箔

が綺麗ですよね。

正直、初め見たときは文字以外あまり目に入ってないです。
noteでは何度も言ってますがジャケ買いのときは本当にあらすじも帯も見てないので、読み進めてから表紙にライブ会場が描かれていることに気づきました。

箔押し好きな自分としてはまた最高な装画に出会ったなという感じですね。


○感想

少女たちの成長を描く

本作を読んでの感想は…

と書こうとしたのですが、
物語最終盤で桐絵が真由に言った言葉が全てを物語っていますね。

「だって、まさかあなたがそんな立派な挨拶を」
『星屑』p.436

読者の皆さんの中にも、ここを読んで同じように思った方は多いのではないでしょうか。

これは桐絵から真由に対しての言葉ですが、
もちろんイギリスへ旅立ったミチルへも同じ様な気持ちです。

本当にこの作品は、
始めはスターを目指す若手歌手としても一人の人としてもまだまだ未熟だった2人の少女たちが、物語が進むにつれて歌手として、人として大きく成長していく過程を上手に描いています。

だって桐絵と真由が出会った当初、最後に真由がこんなに素直になるなんて想像出来ないですよ。

読者からすれば、始めは態度が大きく自分勝手な真由は中々良くないイメージだったと思います。
それに対し、桐絵が独断で上京させたミチルはたまに頑固な所はあれど、素はまだ何も知らない純粋無垢な女の子でした。

そんな対照的な2人に期待と希望を持ちながらも間を取り持つのに苦戦する桐絵。

読みながら何だか桐絵の気持ちになって、
「この先どうなるんだろう…」
と不安になりました。

この2人がまさかここまで成長するとは。

最終盤では読者はもう桐絵というか、子を見る親のような気持ちです。

恵まれている時よりも

この作品を読んでいて、
私が印象に残っている言葉があります。

場面は物語中盤、
ティンカーベルがデビューするやいなやヒットチャート上位を獲り、お茶の間にも受け入れられ、売れっ子歌手への道を急速に駆け上がって行く最中。
経験したことのない急上昇を見せるティンカーベルの人気に、桐絵は1人不安を感じます。

"〈好事魔多し〉という言葉がある。
 あるいはまた、〈踏んだり蹴ったり〉〈泣きっ面に蜂〉〈一難去ってまた一難〉…。物事がどうしてもうまく運ばない状態を表す言い方は、枚挙にいとまがない。
 その反対に、何もかもが図ったかのように良いほうへ良いほうへと転がり、幸運がまた次のツキを呼ぶ様を言い表す言葉は、案外と少ないように思える。"
『星屑』p.330
"人は、恵まれている時よりも行き詰まった時のほうが、自分の置かれた状況を理解するための言葉を欲するものなのかもしれない。"
『星屑』p.330

確かになぁ、と思いました。
自分が苦しい時って、自分以外の何かに助けを求めたり、どうにかこの苦しい状況を表そうと考えてしまったりするものですよね。

対して幸せな時。
本当はこっちの方が記憶に残ってほしい所ですが、案外そんなに考えてなかったりするのかもしれません。

よく「幸せな時間は経つのが速く感じる」と言いますよね。それって脳を"幸せを感じる"ことに使っていて、それ以外のことにリソースを割けないから記憶に残らないのかも。

桐絵の気持ちもわかりますよね。
私も何か物事が上手くいっているときには、素直に嬉しい気持ちのどこかで、その幸せが永遠には続かないことに気付いていたりします。

100%ポジティブならそんなこともないのでしょうか。


あと、シンプルに「好事魔多し」という言葉を知らなかったので勉強になりました。
中国は元末民初の時代に書かれた戯曲『琵琶記』からの出典のようですね。

さらに、〈月に叢雲花に風〉(つきにむらくもはなにかぜ)というのも同じ意味のようです。

こっちの方が個人的には好きですね。

作品とは関係ない所ですが、皆さんも本などを読んでいて知らない言葉が出てきたら是非自分で調べてみてください。
知らない言葉A→Aを調べて出てきた知らない言葉B→Bを調べて…と芋づる式に知識が増えて一つの調べから最大限の学びが得られるのでおすすめです。



○最後に

ミステリーや超次元的なハプニングが起こるわけではなくても、トップスターを夢見て日々成長していく金の卵を見守り応援したくなる、それだけでこんなにも先が読みたくなるものなのかと思いました。

欲を言えば本作の続きがまだまだ気になりますよね。
・ミチルのイギリスでの活躍
・ティンカーベル再集合のとき
・2人はトップスターになれたのか

気になって読んでみたいけれど、最後まで書かない。これが小説の良い所でもあるのかもしれませんね。

仕方ないので、私たちの頭の中でミチルと真由を大活躍させることにしましょう。

著者の村山先生を始め、本作の製作に関わっていただいた方々、本当にありがとうございました!


○著者について

村山由佳(むらやまゆか)

1964年東京都生まれ。
93年『天使の卵ーエンジェルス・エッグ』で第6回小説すばる新人賞を受賞。2003年『星々の舟』で第129回直木賞、09年『ダブル・ファンタジー』で第22回柴田錬三郎賞ほか、『風よ あらしよ』で第55回吉川英治文学賞を受賞。
"もみじ"をはじめとする、愛猫たちとの日々を綴ったエッセイに『猫がいなけりゃ息もできない』『もみじの言いぶん』などがある。

*『星屑』著者紹介部分から引用

今回もご覧いただきありがとうございました!

★記事へのスキ、noteとTwitter、Instagramのフォローもお待ちしています☆

▼最近よく読まれている記事はこちら


▼Twitterのフォローはこちらから


▼Instagramのフォローはこちらから


このnoteでは、
・読書感想
・就活生へのアドバイス
・日常で感じたこと
・日商簿記3級勉強日記
・教育について感じたこと
・月曜料理日記
・寿司打でタイピング練習

などなど日々色んなジャンルの記事を投稿しています!皆さんのお気に入りはどれですか?

是非他の記事も読んでみてくださいね!

それではまた!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?