次男の手紙
誕生日に面会に行ったあと次男から何度か手紙がきた。
「にいちゃんがデザインしたTシャツはめちゃ良かったと思います。でも父さんが着こなしてるから良い感じに見えたのかなと思います。」
「父さんはいつも走ったり筋トレしてたけど俺はそういうの苦手だったのに、ここではずっと続けています。父さんが続けていたのも身体がなまるのが嫌だったからかなとか思います。」
「今回のことで父さんに迷惑をかけたことを数えたら21こありました。」
「父さんが面会に来る日、バイクの音が聞こえるとドキドキしました。」
「父さんの仕事のこと初めて聞いて驚きました。
やりたい仕事がなくてじいちゃんに言われてやり出したと聞いて、何とも思ってない仕事でもやり続けたらそれなりに何かなるんかなと思いました。」
正直に思っていることというのは読んでいて伝わるものがあった。
それから数ヶ月後。
誕生日でもないが誕生日のTシャツを着て次男は少年院を退院した。
家族がやっと揃った。
いつもより無駄に明るい私
何か意識していることが分かる夫
この日の為に帰ってきたいつも通りの長男
無口な次男
ぎこちない雰囲気には気づかぬふりをして
「おかえり〜」と乾杯して家族で寿司を食べた。
毎日当たり前にする食事でも我が家にとっては
貴重なことだった。
当たり前じゃないと気づいた時から物事の捉え方が変わり、大切な出来事としてカウントされていった。
そういった思い出が私の中に増えた。
なんだが私は多感になった気がする。
そして次男は前回と同様、休む間もなく始動した。
まずは合宿での自動車免許を取りに行った。
もう車の免許を取れる年齢になっていた。
免許があれば仕事の枠も広がるかもしれないと思い送り出した。
…次男は夫をとても意識している。
夫も次男を意識している。
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