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【連載童話】ヘンリーと赤いふうせん9

「そうか… いちばんに大事なのは
むかうところがとおいと しっていることでも
おそろしい目にあわないようにすることでもない。
 
それでも行く 行きたいという そのきもちじゃ」

おじいちゃんは そう言うと
できあがった四つ足のどうぶつを
ヘンリーの手に そっと おきました。

おじいちゃんが 言ったことばのいみも
おじいちゃんがくれた 四つ足のどうぶつがなにかも
そのどちらも ヘンリーには よくわかりませんでした。

それでも ヘンリーの赤いふうせんは 
げんきいっぱいに ふくらんで とびたつのを
いまかいまかと まっているようです。

「おじいちゃん ありがとう!」

ヘンリーは いきおいよくとびだすと
いちもくさんに おうちへ かけてかえりました。

「パパ!ママ!
ぼくね やっぱり 村の外へ行く!
あの山のむこうがわへ 行ってみたいんだ!!」

もしも パパとママに はんたいされても…

そう言いかけたときでした。


〈つづく〉




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