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「元気です」と今日もわたしは嘘をつく。

「お元気で、お変わりありませんか?」
電話越しの問いかけに
「元気です、変わりありません」
そう咄嗟に答えてしまう。

わたしはいつもそうだ。
何が元気なものか。
鬱の只中に居るというのに。

嘘は嫌いだ。
それでもこうして嘘をつく。
これを嘘と見なすのは少々厳しすぎるのかもしれない。
それでも、わたしはこれを嘘として咎めずにはいられない。

嘘が嫌いだからだ。
嘘をつくじぶんが嫌いだからだ。

わたしの中に順位がある。
「じぶんが楽でいられること」。
それよりも優先されるのは、
「他人に迷惑をかけないこと」。

少しばかり体調が悪くても仕事は休みたくない。

そして、それより優先されるのは
「病気のことを話さずにいること」。

だから、咄嗟に嘘をついてしまう。

「元気」と言ったら、頼まれごとに穴を空けた時に迷惑をかけてしまうかもしれない。
だけど、それよりも何よりも。

病気のことをできるだけ話したくない。

だから、ここでだけ話そうと思う。
顔を突き合わせる世界で病気のことを明かすのは、デメリットの方が大きい。

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