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【ショートショート】キミの温もり(220字)



「あったかいね」

そう言って抱きつくとキミは

「血が流れてるからね」

と素っ気なく言う。

「その態度はあったかくない」

なんてふくれて見せたものだけど。



今キミに抱きついても

「あったかくない」

あったかいのは血が流れてるからだ。

頭上でキミがそう言うのが聴こえる。

いつものキミの言葉が今は鋭く胸に突き刺さる。

今、キミはとても“冷たい”。

あふれた涙がほおを流れた。

「あったかい」

「「血が流れてるからね」」

ひとりでつぶやいた。
キミの声と重なった気がした。


END



“キミ”は、恋人などではなく、飼い猫をイメージしました。
うちの黒い猫は、クールにこんなことを言いそうだな、と。
いつか、冷たい“キミ”を抱きしめる日がくるのかな。
そんなことがふと頭を過ぎる。だからこそ、今“キミ”の温もりを大切に抱きしめて。

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