幸福と時間、これには深く関係性がある。
幸福のうち一つには、平穏というのがある。
平穏に生きる人には、未来や過去が存在しない。ただ、今を生きている。今しか想像できない。
時の流れは瞬間のため、速度の概念はなく、気づいたら一日が経っている。
平穏とは、無感動、ときどき感動。
この感動の状態にあるとき、時の流れはとてもゆっくりで、今にも死に絶えそうだ。痴呆老人のような歩き振り。
今際の際に居る人は、どのような時の流れをしているのだろう。それはきっと、平穏に近い、今を生きる、と言うより、今に居る、そんな感じだ。
しかし、ほんとうの感動は違う。ほんとうの感動には、時間が存在しない。感動が終息するにつれ、時間が発生し、この世に生きている感覚が戻る。