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『細雪 四』(谷崎潤一郎)

幸子は万事上方式に気が長い方なので、仮にも女の一生の大事をそう事務的に運ぼうと云うのは乱暴なと思いもしたけれども、井谷に臀を叩かれた形になって、行動の遅い彼女にしては珍しく、明くる日上本町へ出かけて行って姉にあらましの話をし、返事を急かされている事情などを打ち明けて云ってみたが、姉は又幸子に輪をかけた気の長さなので、そう云うことにはひとしお慎重で、悪くない話とは思うけれども一往夫にも相談してみて、よければ興信所に頼んで調べて貰い、その上でその人の郷里へも人を遣って、などと、なかなか暇が懸りそうなことを云うのであった。で、・・・(本文より)

ふう、ここまで一文です。ようやく「。」がきたと思ったら、次は半ページを超える更なる長文、自分の息がどこまで続くのか、勝負を挑まれているような気持ちになります(そして、負けないぞと思います)。
昨年末にやはりブンガクコース(当時はアドバンスコース)で取り上げた『細雪』を、今年も1年が終わるこの時期に朗読したいと思います。年末は『細雪』、そんな恒例ができてもよいのかしらと思います。純文学の代表のようで、朗読するとなぜこんなに血流がよくなるのでしょうか。

「なぁ、こいさんーー」
朗読泣かせの一気読みが続いたのち、今度は大阪船場の四姉妹の流暢な関西弁での会話が始まります。テンポの速い掛け合い、息をつく暇も考える暇もこちらに与えません。時折朗読がスポーツであるかのような気がするのは、この作品を読むと一番感じることです。

前回は小説冒頭の一章から数ページ、そして今回はまったくの続きというわけではなく、四章からの数ページを取り上げました。そんな風に少しづつ進めていく読み方もよいのかしらと思います。ぴゅんっと飛ばした分のあらすじは、レッスンでご説明しますね。

12月のオンラインブンガクコースは、『細雪』(谷崎潤一郎)です。
わいわいがやがや、好き勝手おしゃべりする四姉妹になって、「声を出すこと」をめいっぱい楽しんでくださいね。

12月オンラインスケジュール

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