見出し画像

「若い時は苦労を買ってでもしろ」と言うので本当に買ってみた

皆さんこんにちは。
タイトルの言葉、皆さん信用していますか?

たしかに若いうちは体力があるし、分からないことも多いから、可能な限り行動してあらゆる情報を取得するのに奔走した方が良いように思われる。実際に40代以降の人が「若い頃の苦労が報われた」などという台詞を聞くこともある。


というわけで、本当に苦労買ってみました。


えっ?いきなりと思うかもしれませんがいきなり何かが始まるのが人生です。。一種のエンタメとして楽しんでいただけたらと思います。

私が買ってみた苦労は「博士課程」にしてみました。

選んだ理由としては、

・修士課程で卒業する人間に比べて3年間余分に学費を払う=まさしく苦労を買っている状態

・20代という若い時代で試せる

・研究に打ち込んでみたかった。学んでみたい学問があったが、基礎よりで企業が扱っておらず、大学で学ぶのが良いと判断した

と言った理由です。それではいってみましょう。

条件

・学力は凄くもなく、かと言ってできないわけではないGPAの値で言うと2.0くらいのごく平凡な大学生
・博士課程に通う期間 24歳〜27歳(3年間)
・大学通うのにかかるお金=6192000円※
・修士課程で卒業した同級生は、院卒平均年収手取り308万円得ているものとする。

※国公立大学1年間の学費を60万円として計算(半額免除込み)まと日本学生支援機構貸与型奨学金月額12万2000円を生活費として計算。以上の3年間通った場合の合計金額。

結果

所感

まず、めっちゃキツかった。これだけは言いたい。何がきついって、研究初めは何していいのかわからない状態が続くこと。優秀な人は目的が明確で道筋も見えてるからどんどん進めるが、僕はまず何が問題でどう言う目標を立てれば良いかさえわからなかった。指導教官も自分で気づくのを待つタイプの人間で謂わゆる指示待ちタイプの人は絶対に続かないだろう。自主性や自分の頭で考えることを重視していたため最初はめちゃくちゃ苦労した。しかし、後述するメリットの部分でこの点は気にならなくなっていった。

同期が就職して楽しんでるのをみてるのが辛い

修士で卒業した同級生は、皆社会人として、給与を得て、海外旅行などして華やかに暮らしていた。私も誘われたが、金がないので断った。断り続けると「あの人はまだ研究続けてるからお金ない」キャラが定着するのでだんだんと誘われなくなり、孤独感が増してくる。友人と会ってもご飯に行く程度しかできなかった。図々しい人は立場を利用して奢ってもらうなど画策のしようがあるかも知れない。

結果が出ないと辛い

修士課程までは、研究結果が芳しくなくても規定年数在籍すれば卒業させてもらえる。しかしながら博士課程ではそれでは通用しない。結果がモノを言う世界なのだ。結果なきものは4年目、5年目…と残されていき、地獄の沼へとハマっていく。博士課程2年生からは卒業出来るかどうかわからないストレスが半端なかった。ストレスが溜まった結果、人間関係にも軋轢が出るようになり環境まで地獄になっていった。

私は博士課程にいくら払っていることになるのか?

大学に払った金額だけを言うと620万円になる。しかしながら、同級生の社会人は3年間賃金を手にし続けていることを考慮すると、その差は1500万円近くにまで登る。

メリットはないのか?

ここまでデメリットばかりを挙げてきた。読者の中には「博士課程恐ろしい…」と感じた方もいることだろう(ネガキャンして申し訳ない)。しかしこう言っときながら私は博士課程進学推奨派である。これからメリットを上げていくが、人の価値観によってはメリットに感じない部分があると思うのであらかじめこれを注意書きとして記しておく。

充実感があり楽しい

何よりこれは大きい。自分が興味を持ったことについてとことんまで突き詰めることができる。読者の皆さんも小さい頃に好きなアーティストのことについて夢中になって調べたことは無いだろうか。私はポルノグラフィティファン(現在進行形)なので、曲の歌詞を覚えるのはもちろん、ポルノのお二人が出ている音楽番組やネットで出回っている幼少期のエピソードまで調べていた。その時のオタクっぷりに、博士課程で打ち込んだ経験は似ている。とにかく寝食忘れて没頭しているのだ。

忙しい現代人

現代人はとにかく忙しい。仕事をやらなければ、衣食住が保証されない。やりたくないことや理不尽に頭を下げ、お金を貰っている感覚の人も少なくないだろう。だんだんとそれらに慣れてきて社会に摩擦のない人間になっていく。このような事態に警鐘を鳴らしたく、僕は前に「君はあの河を裸足で渡るのか」という記事を書いた。今は僕の人気記事の中の1つとなっている。

https://note.com/utuber/n/n971d0b019177

生まれた時は誰しも好奇心に満ちていたはずなのに、社会から受けるストレスを減らすためにそれらを我慢するようになる。そして何が楽しいのかわからなくなってくる趣旨の話である。興味がある方は参照されたい。

没頭する価値

話が博士課程から逸れてしまったが、研究はこのような忙しい現代とは隔たりがある。自分のお金で研究しているのだから誰からも文句は言われない。それで被る不利益は他人ではなく全部自分に降りかかるからだ。だからこそ思いっきり打ち込むことができる。後ろめたいことややましいことは何一つしていない。まさしく子供の頃に夢中になってオタクになったあの瞬間が未だに続いている感覚だ。

メリットその2 自分の頭で考える力

僕自身、研究を始めた頃はうまく行かなかった。大学院から研究内容を変えて前からやりたかった別の分野を学ぶことにしたが、覚えることが多すぎてついていくことに必死だった。またさらに、指導教官の方は当の本人に自分で考えさせる指導スタイルであった。初めは失敗続きで、「やることわかっているなら教官が指示出して欲しい…」みたいな愚痴も溢していたが、学年が上がるにつれてだんだんと予想の精度が上がっていくのを感じた。教官からは「5年間1つのことに打ち込むと世界が変わる」と言われていたが、まさしくその通りだと思える瞬間が近づいているのを実感できた。

自分で考えたことを実行し、成功の方が多くなってくる。そうなると自分の頭で何かを考え実行するのが楽しくなってくる。最後の方はほとんど指示がなかったが研究がどんどん進んでいった。

新卒社会人と博士課程の3年間の違い

社会人経験がない僕が言うと一方的な意見となってしまうかもしれない。しかし、これは新卒の社会人では味わうことは難しいのではないかと考える。新卒は上司の言われた通りに動かないと行けず、インターンで鍛え上げできたといった即戦力の実力を携えてなければ、裁量が100%あることはほとんどないだろう。与えられる仕事を覚え、慣れる作業をする必要がある。結局、何かするにしても上司の同意を取ってからということになるだろう。一方で博士課程は裁量は100%に近く、自己責任という面はあるものの、自分の思った通りに動くことができる。だからこそ結果を出さなければ卒業ができない。能力が認められれば反対されることはほとんどなくなるし、その能力を磨くことができる環境条件が整っている。

自分の中に楽しいの軸を置く

自分の頭で考える力とはなかなか皆持っていない。誰かの判断に従うのは責任がないし、何より楽だからだ。しかし、帰属は求められるし、やりたいことを我慢する不自由は味わう羽目になる。「でも仕事は仕事で割り切って、私はプライベートを充実させるから」と考える人が中にはいるだろう。そのプライベートを充実させることが、なにかのエンタメに興じることだったり、既に確立されたパッケージを楽しむだけであったりする。それは他人が作り出した何かに酔っている状態であり「これが楽しいというものか」と思い込まされている。(全てがそうではない。一流の芸術品を見たりすることは学べる部分が多い。)楽しいと感じる軸が他人にあるから、他人に楽しませて貰うことが当たり前になり、社会に洗脳されていく結果となる。いつも自分が何が楽しいのか考え実行することが、没頭を導き、充実感を得るコツである。

博士課程は"没頭するとは何か"を理解するのにオススメ

それでもやはり博士課程は辛いものである。私も途中で病気になったり、資金が尽きたために中退を余儀なくされた身分であるため、キャリア的に考察したらなんとも言えない。社会人の友達を羨んで1人で打ち込むことに寂しさを感じる方もいることだろう。+1500万円の差がつけられる(これに関しては学振やリーディングプログラムなど対策の余地あり)ことも踏まえて、メリットとデメリットを天秤にかけてみて、それでも挑戦してみたい、やりたいことをとことん突き詰めてみたいという方がいたら是非博士課程進学をお勧めしたい。

若い頃は苦労を買ってでもするべきなのか?

この記事は若いうちは苦労を買ってでもしろという言葉に対して博士課程という検証を行った結果、自分の頭で考え没頭するとは何かを理解することができたことを記述した。元から自分で考えられる人にとっては全く役に立たない記事となった。しかしながら、社会を観察しているとそうでない人間の方が多く散見されるため、記事としての価値が期待できるのでは?と感じた次第である。

僕としては、しなくてもいいなら苦労なんてしないに越したことはないと思っている。ただ、そのせいで自分の人生の意義とか充実感を得ることが犠牲にされている人が多いと感じている。そういう人たちに向けて"自分の人生を楽しく生きるために苦労をしてみる"という考え方をお勧めしときたいと思った次第です。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?