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【東大生院進体験記① 学びたいという気持ちを大切に】

こんにちは、東京大学ピアサポートルームのキャリアチームです。
キャリアチームでは東大生が自分のキャリアについて考える際の参考にしていただくため、東大生の就活や進学選択、大学院進学に関する体験談を投稿しています。

2023年度 人文社会系研究科 基礎文化研究専攻 美術史学専門分野 修士課程進学

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〇なぜ東大の院に進学しようと思ったのですか?
 学部生の時も現在と同じ東大の研究室(文学部美術史学専修課程)に所属しており、研究のイメージがつきやすかったからです。学部 4年生の初めの頃は、自分のやりたいことが分からなくなっていたため、人文社会系研究科のなかでも学際的な研究のできる文化資源学研究室に進学しようと思っていたのですが、卒業論文の準備が進むにつれ、学部中に専門知識をしっかりと身につけるのは難しいと感じ、同じ研究室に進学することで専門を深めたいと思いました。

〇院試はどのようなものでしたか?
 人文社会系研究科の院試は語学科目と専門科目からなる筆記試験と、卒業論文に基づく面接試験からなります。このため多くの研究科と異なり、入試は原則夏ではなく1月末から2月にかけて行われます。
 語学科目では志望する専門分野の指定する言語から基本的には2言語を選びます。私は英語とドイツ語を選択しました。試験問題は単純な和訳で、基礎的な単語と文法が分かっていれば問題ないと思います。専門科目では美術史の基礎的な知識が問われます。具体的には、日本、東洋、西洋美術に関する大論述がそれぞれ1問、語句説明問題が7問出題されます。これについては、数年分の過去問を分析し、出題されやすい時代、地域について基礎知識を確実に身につけつつ、実際に自分で過去問を解いて、自分で回答を作ってみることが大事です。
 2次試験の面接では、入学後の研究計画や自分の提出した論文に対する質疑応答が行われます。これに関しては、先生や先輩にアドバイスを求めながら、なるべく良い論文を作ることに尽きると思います。

〇入学後はどのような経験をしましたか?
 基本的に学部時代と周りの環境は変わりませんでした。入学直後は、学部と異なり大学院ではより高度な教育を受けることができ、研究者として育成されるのだと期待していたのですが、実際は自分であらゆることをマネジメントしなければいけませんでした。つまり、自分で研究内容を決め、スケジュールを決めて、文献を淡々と読み進めていく必要があります。指導教員からアドバイスをもらうこともありますが、基本的には全て学生個人が行います。このあたりは人文系の研究室ならではと言えるかもしれません。大学院入学直後は予想よりも環境が変わらなかったので、一時期現在の研究室への院進を後悔していましたが、逆に言えば学生の裁量で研究を進めることができるということでもあるので、現在は自分なりのペースで研究を進めています。
 もちろん変化したこともあります。それは、対外的にも研究者として扱われるようになったことです。大学院に進学してから、学会に参加した折などに東大の先生以外の研究者の方と交流することも増えました。その際、単に学生として扱われるというよりは、若手の研究者として扱われることが多かったように思います。院生生活に慣れるにつれて、徐々に研究者としての自覚が強まるとともに、立派な修士論文を書こうという気持ちも強まりました。

〇最後に後輩へのメッセージをお願いします
 今大学院の進学に興味がある方の中には、将来、一般企業に就職するかもしれないために、進学を迷っている方も多いと思います。実際私も院進の準備中、学部時代の同期が就活し、就職しているのを見て不安に感じることも多かったです。
 しかし現在私が思っていることは、自分の本当にやりたいことをやることがなにより大事だということです。修士課程を修了してから就職をしたとしても、学部同期との入社時期の差は2年ほどしかありません。進学を迷って研究も就活も中途半端になるよりは、研究に全力で打ち込んで、満足をしたら就活をするという方が、長い目で見ればいいことのように思います。文系修士の専門性は実践的でないという観点もあるかもしれませんが、副次的な能力、たとえば高度な外国語運用能力は一般企業の観点でも十分必要とされるでしょう。もちろん、就職をより意識する方は専門の研究以外に、個人的に様々な能力を身につけたり、経験を積むことも可能だと思います。
 特に人文系で修士進学に興味を持っている方は、大多数が学部卒になるなか、院での研究に興味を持っている時点で才能があると思います。ただし、院試に合格するための基礎知識の習得や良い論文の執筆にはそれなりの時間と労力がかかります。自分の本当にやりたいことを考えて、もしもう少し勉強を続けたいと思った方は、ぜひ院進に向けて今から準備を始めてください。大学院での研究は確かに大変ですが、論文として研究成果をまとめることを通じて、他に代えることのできない達成感を得ることができると思います。

〇執筆日
2023年9月18日

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