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【東大生進学選択・就活体験記④ 行き当たりばったりでもなんとかなる】

 こんにちは、東京大学ピアサポートルームのキャリアチームです。
キャリアチームでは東大生が自分のキャリアについて考える際の参考にしていただくため、東大生の就活や進学選択に関する体験談を投稿しています。
今回は東大生進学選択・就活体験記シリーズ第4弾です!

2020年度進学、他大学の理系学部→工学系研究科
#東大生進学選択体験記 #東大生就活体験記
#院進 #就活 #理系 #インフラ #公務員試験

 自分のキャリアを振り返ると、就活と東大の院への進学は密接に関わっているので、今回は同時に話すことにしました。前半部分は他大学から東大の大学院進学について、後半部分は就活について振り返ってみます。

〇なぜ東大の院に進学しようと思ったのですか?
 人生に迷いに迷って行き当たりばったりした結果というのが一番しっくりきます。
 学部で人気業界に絞って就活した結果、いつの間にか失敗して大学院進学が確定しました。卒論の進み具合も芳しくなく、もう少し研究したい気持ちがあったので、大学院進学はある程度織り込み済みでした。また、理系(特に工学系)は大学院進学者が多く、就活失敗が理由であっても大学院進学がネガティブには捉えられにくいという面もあります。その後、国家総合職試験を受験しました。これに最終合格すれば3年間有効となり、次年度以降の最終合格者は官庁訪問のみで採用されるため、友人の多くが受験していました。しかし、筆記試験では十分な点数を獲得できたのに、面接で失敗してしまい最終合格をいただくことができませんでした。失敗続きでこのまま自大学の院に進みたくない、研究分野や環境を変えたいという思いがあり、6月頃に他大学の大学院受験を決意しました。その中で、自分が興味を持ったテーマで研究を行っている教授がいたこと、自分の得意分野で専門試験を受けられることから、外部での受験校を東大の大学院に絞ることにしました。

〇院試はどのようなものでしたか?
 試験内容は英語+専門科目+面接でした。工学系ならオーソドックスな形式かと思います。
 英語はTOEFLを用い、難しいバージョン(iBT)を事前に受けてスコアを提出するか、団体受験用の比較的簡単なバージョン(ITP)を選ぶことができました。私は当日受験でしたが、それでもTOEICより難易度が高い上に問題の傾向が異なるので、事前に対策しておきたいところです。また、内部生を中心に専門科目の勉強に集中したい場合は、iBTを選ぶ人が多かったようです。
専門科目は数学や物理学といった学部時代に履修した内容がメインでした。東大の大学院はHPで過去問を公開していますが、答えは公開されていないので、自分で対策する必要があるという点で内部生に比べてハンデがあると感じました。また、私の専攻だと翌年から問題が英語になったと聞くので、いずれにしろ英語対策は必要だと思いました。試験制度に関しては変わりやすいので、各大学院とも4〜5月頃に行われる大学院入試説明会に行っておきたいところです。
 面接に関しては、大学院に入学してから2年間研究できるかを見るものでした。とは言っても1人で対策をすることは難しいので、先に述べた入試説明会の後などに研究室見学を行って、教授とコンタクトを取りましょう。そこで教授には得意とする分野と学生に研究してほしいテーマを、研究室の学生には入試のアドバイスを聞くことができれば、その後の準備がスムーズに進みます。また、複数の研究室に訪問してそれぞれの学生から別の研究室の噂を聞くことで、ブラック・放置系などの研究室の性質を見極めることができます。外部の大学院は情報がない上に人間関係が1から作り直しになるので、「自分に合った」研究室でないと後々しんどくなります。とはいえ、外部生にとっては英語や専門科目の重要性が高くなるように感じたので、まずは筆記試験の勉強に取り組みましょう。ここまで書きましたが、東大の院試は学部入試ほど難しくないと思われます。特に、直結する学部がなく大学院から始まる専攻の場合は、院生を取ろうとする意識が強そうです。全体的に本郷キャンパスは内部生が多く、駒場や柏キャンパスは他大生も多いイメージがあり、キャンパスの雰囲気から研究室を選ぶのもありだと思います。
 ただし、外部の院に進学することを絶対視しないでください。修士修了後に就職するつもりだが、もう少し研究するために大学院進学をする場合、自大学の今いる研究室を薦めます。また、多少分野を変えたい場合でも自大学の別研究室という手があり、情報の得やすさや相談のしやすさという面では軍配が上がります。さらに、院試に落ちてから秋以降に就活をするのは相当大変と聞くので、自大学の院は確実に合格できるよう準備した上で、いずれかの大学院に進学できる環境を整備しておきたいところです。

〇入学後はどのような経験をしましたか?
 修士1年の時はコロナで動きにくかったですが、オンラインを中心にできる限りの活動を行いました。単位数の縛りが緩かったため興味本位で多様な分野の授業を履修した他、専攻の少人数セミナーや東大のフィールドスタディ型政策協働プログラムに参加し、見識を広げることができました。当時としてやれることはやったつもりですが、オンラインだと現地を知ることができない、その後の関係が続きにくいといった面で消化不良感はありました。研究テーマはS1S2ターム(前期)で研究室の専攻分野を学ぶプレゼミに参加した後、9月ごろにはテーマが決定しました。外部生を中心に修士2年になってからテーマが決まる人も多かったですが、私は指導教員との調整が済んで早めに決まったので、これ以降が動きやすくなった感があります。
 修士2年の時はハイブリッド形式が中心になるなか、修士から入ることができるサークルに参加して他分野の方と趣味や学問について話したり、専攻の国際交流会で韓国や台湾の学生と親睦を深めたりするなど、多くの人と会って学びを深めることができました。こういった経験は自大学だとできなかったことであり、今後の人生の糧としたいです。コロナ禍でも充実した学生生活を送ることができたとはいえ、それらの活動で研究がおろそかとなってしまったのは反省しなくてはなりません。

〇いつ頃就活を始めましたか?
 学部で全落ちした経験から就活の大変さはわかっていたので、専門分野に絞ってしっかり準備しようと思い、修士1年の頃からぼちぼち始めていました。まずは、国家総合職にリベンジして、最終合格をいただくことができました。そのほかに、自力で情報収集してインターンに参加したり、学部時代の連絡先を使ってOB訪問を行ったりしていましたが、他大生は情報が少ないので大変でした。
 そこで、先輩が後輩の就活をサポートする団体に加入し、専攻の先輩にESの添削や面接練習をお願いしていました。研究室の同期が少なく就活仲間があまりいなかったので、他人の視点で就活を見てくれたことは貴重な機会であり、無料で面倒を見てくれた当時のメンターには感謝しかありません。東大生にはより多くの企業への門戸が開かれており、あとは自分の頑張り次第という面はあるかと思います。

〇就活の軸は何でしたか?
 軸は3つあります。
 1つ目は、学んでいた内容を活かせることです。大学院まで学んでおいて、研究や授業と何も関係ない企業に就職するのは勿体無いイメージを個人的には持っていました。一般的に工学は人の役に立つことを目的とする学問とされており、私も直接研究テーマと合致しなくても関連する分野で学んだことを活かしたいと思っていたため、専攻とする分野にあった業界に絞って就活を進めていました。
 2つ目は、自分の考え方が会社の考え方と合致して、社会の役に立てることです。大学時代に個人・サークルでの旅行や災害ボランティアを行い、地域の方と地域課題について話し合った経験から、地域と密着して活性化に取り組み、まちづくりから人の生活を支えたいという思いがありました。公私での考え方が一致していれば、辛い仕事があったとしても将来へのモチベーションにつながると思い、それを踏まえた上で企業を選定していました。
 3つ目は、ワークライフバランスがそれなりに確保されていそうなことです。元々身体が強い方ではなく、体育会系の部活を辞めてしまったり、テスト前の徹夜もできなかったタイプの人間だったので、労働環境が厳しいと勤めきれないと思っていました。同じ専攻分野の友人から話を聞くと業態的に長時間労働が多い傾向があり、それを避けた結果として候補となる企業は絞られました。

〇最終的な決め手は何でしたか?
 修士1年の3月という比較的早い時期に内定をいただくことができたというのが一番大きいです。修士1年がコロナや就活に翻弄され、修士2年は学生生活を楽しみたいという思いがある中で、当時見ていた業界に全て落とされて意気消沈していた一方、あまり考えていなかった業界の企業の面接はとんとん拍子で進み、結果的には唯一の内定となりました。国家総合職は説明会を通じてやはり業務内容に関心を抱いていたのですが、自分が大切にしたい軸から考えると働き方が自分の理想と合わず、働くビジョンが掴めなかったことから、修士1年の時に最終合格はいただいていたものの、民間企業の内定を保留して官庁訪問を行いませんでした。

〇最後に後輩へのメッセージをお願いします。
 東大は勉学、学生生活などさまざまな面で恵まれた環境なのは間違いないです。コロナで対面の活動が難しいなど、色々思われることはあるかもしれませんが、これからも学生でいられる方には今できることをしてほしいです。たとえ目指した方向がバラバラであっても、一生懸命に頑張れば、教員も周囲の学生もそれに応えてくれるはずです。

〇執筆日
2022年3月12日

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