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TLP中国語クラスの先生インタビュー!   [田原史起先生編]


大家好(タージャーハオ)!(みなさんこんにちは!)

今回はTLPの先生方にインタビュー! 第2弾!
田原史起先生へのインタビューです!


田原先生はどんな先生??


田原先生は大学院総合文化研究科で農村社会学・中国地域研究をなさっている先生です。
学部生・大学院博士課程は一橋大学で学ばれていたそうです。東大にいらっしゃったのは、修士課程の2年間を駒場の地域文化研究専攻で学ばれた時のご縁だそうです!

普段の中国語の授業では丁寧に発音などを教えてくれます!
今回の私たちのアンケートにも丁寧に答えてくださいました!ありがとうございました!

先生がなさっている研究についてたくさん教えていただいたので、まずは田原先生の研究についてのメッセージをそのまま紹介いたします。

今後、世界各国でどれだけ都市化が進んだとしても、近い将来に農村が消失することは考えられません。したがって、今後の長期にわたって、地域研究には次の二つの姿勢が必要かつ有効だと考えます。すなわち、①農村に留まり続ける人々が、都市に出ずとも支障なく生活を送り、一定の尊厳をもって生きられること、そのために農村地域の持つ資源や可能性を探ること(「問題」としての農村)、および②各国・各地域の特質を理解する上で、農村・農民の暮らしの実態の観察から研究を開始し、下から上へと、徐々に大きな政治や経済の問題に接近していくこと(「方法」としての農村)です。  私の主な研究手法は、農村地域に実際に赴いてフィールド・ワークを実施し、問題を発見したのちに、フィールド・データを文献資料で補いつつ、農村社会学のフレーム・ワークを用いて現象を概念化し、分析することです。人々の「暮らし」に視点を据えた「半径50メートルの地域研究」だと思っています。中国農村を中心としながら、中国国内の地域間比較、あるいはロシア、インド、日本などとの比較にも関心があります。 これまでに取り組んできたテーマは、大きく(1)中華人民共和国建国初期の農村基層政権、(2)村落ガバナンスとその資源、(3)農村リーダー論、(4)比較農村研究、(5)都市=農村関係と県域社会、(6)農民の行動ロジック、の六つほどの領域に分けられます。

田原史起先生 


 田原史起先生 


読んでるうちに私もなんだか興味が湧いてきました!


おすすめの本は?


東大生に読んでほしい本として、4冊ご紹介していただきました。
(「東大教師が新入生に進める本」(『UP』第570号、10-11頁)からの引用です。)

① 私の読書から:印象に残っている本
『十六歳のオリザの未だかつてためしのない勇気が到達した最後の点と、到達しえた極限とを明らかにして、上々の首尾にいたった世界一周自転車旅行の冒険をしるす本』平田オリザ(晩聲社、1981)
劇作家の平田オリザ氏が、タイトルの通り高校時代の世界一周自転車旅行を記した処女作。当時、地方の高校生だった筆者は、その冒険魂に大いに感化され、同書を「バイブル」として持ち歩き、大学入学後、上海から武漢を目指す中国自転車旅行の旅に導かれていった。 

田原史起先生 
晩聲社Webサイト  http://www.banseisha.jp/Frame_Folder/Frameset.html?=

② これだけは読んでおこう:研究者の立場から
『日本農村社会学原理』(鈴木榮太郎、日本評論社、1940)
『中国農村の細密画─ある村の記録1936~82』(費孝通著 / 小島晋治ほか訳、研文出版、1985)
前者は日本独自の農村社会学の濫觴ともいえる記念碑的作品。アメリカ生まれの農村社会学の「集団累積体」の枠組みだけでは説明しえなかった、日本農村の共同生活の規範すなわち「村の精神」の存在を指摘した。この本を読むと、実家の神社の佇まいが思い浮かぶ。
 後者はフィールド・ワークに基づく中国農村研究の古典。「雀は小さくとも五臓は揃っている」ということで、「村」という小さな世界をありとあらゆる側面から調べ尽くすコミュニティ・スタディの方法を提示している。筆者も農村の現場ではこの調査法を模倣している。

田原史起先生 

③ 私が進める東大出版会の本
『社会人類学─アジア諸社会の考察』(中根千枝、1987)。
中国・インド・東南アジア・日本などアジア諸社会を、細かい事実は捨象し「構造」として相互に比較することの有益さを教えてくれる一冊。これを読めば、日本およびアジア各国の社会を見るフレーム・ワークを獲得できること請け合いである。

田原史起先生
講談社学術文庫Webサイト 
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000151131

④ 私の著書
『草の根の中国─村落ガバナンスと資源循環』(東京大学出版会、2019)。
懐の深い中国社会の基層部分を占める村々を「定点観測地」として20年ほど這いずり回った結果、見えてきた現在の中国農村の生活の論理を、「つながり」や「まとまり」など手製の概念で説明した。思えば、今やっていることは長江流域を自転車で走ったあの頃と完全に地続きだ。

田原史起先生 
東京大学出版会Webサイト http://www.utp.or.jp/book/b457333.html



おすすめの中華料理は?


A. 水餃子

皮は既成のものでもよいですが、少し慣れれば皮からコネて作ることもできるそうです!
本場に行くと路上でウイグルの人が焼きながら売ってる「羊肉串」が最高に美味なんだそ​​う!​​​​(参照:https://aroundchina.hatenablog.com/entry/2019/07/31/160000 )

このクラスにも中国にルーツをもつクラスメイトがいますが、やはり皮から作るみたいですね! 日本だと焼き餃子が一般的な気がしますが、中国だと水餃子が主流なのかな?          
私も水餃子大好きなのでぜひ本場に行って食べてみたいですね〜!

https://aroundchina.hatenablog.com/entry/2019/07/31/160000



中国語で好きな言葉は?


A . 「読万巻書、行万里路」 (一万冊の書を読み、一万里の道を行け)

フィールド・ワークを続けながら、常に筆者の頭の片隅にあったのは、「読万巻書、行万里路」(一万冊の書を読み、一万里の道を行け)という中国語の名句である。読書量もフィールド・ワークも超人的な、マッチョで精力的な研究者を目指せ、という格言にも思える。しかし、筆者の勝手な解釈では、この句の要はむしろエネルギーの節約にある。農村研究に引き付けて言えば、まず先に「現場」での実践=フィールド・ワークを始めてしまい、現場感覚を身体化したうえで理論=文献研究に進むということである。筆者は二〇年の間に、事例となった中国の村々を「定点観測」の手法で繰り返し訪れ、農家に住み込んでは、人々と食事を共にし、あぜ道を歩き回り、オンドルの上でお喋りをしながら、中国農村に住む人々の行動ぶりを自分の身体で感じ、その生活の内在的ロジック迫ろうとしてきた。文献による裏付けはフィールドから駒場の研究室に戻ってから、いつも「後付け」だった。いい加減なようだが、このやり方には良い面もある。一つは、「万里の道」を文献調査に先駆けて歩き始めることで、読むべき書物はおのずと絞られてくる。さらには、現場の経験によって文献資料の情報が文脈化・血肉化され、立体的に立ち上がってくることである。つまり、現場を知らないまま盲滅法に万巻の書に立ち向かう際の無駄を省くことができるのである。

田原史起「現場・出来事・比較─駒場と『草の根の中国』の20年」[『教養学部報』第625号(2021年2月1日)、pp.4-5]からの引用。



1つの言葉でも深い意味が感じられますね……!
実際にフィールド・ワークを通して研究をなさってきた田原先生ならではのお言葉だと感じました。


中国語学習について

ここからは中国語学習についてのお話です。

 ①心がけるべきことは?

カラオケで歌詞を見ずに好きな歌を歌えるように、教科書のフレーズを誦んずるようにすること。

②中国語学習で1番難しいと思う点は?

外国人として、格調のある書き言葉を書くのには大変な修練がいると思います。

③田原先生が考える中国語の面白さ / 学ぶ意義は?

農村のフィールドで中国語を使い、自分にしか取れない一次情報が収集できている時や、あるいは農民である友人たちと酒を酌み交わしている時、中国語ができてよかったと思えます(とはいえ、方言の壁はいつでもあり、方言通訳が必要なことも多い)。

これから中国語を学ぶ身として大変ありがたいお話ですね……!
実際に現地の方々と直接お話しできる、というのはやはり外国語を習得する1番の魅力かもしれません。外国語を使いこなして外国の方とお酒を酌み交わすのは、すごく憧れます……!


東大生に直してほしいところは!?

東大生は特に、教員に対して敬して遠ざける(敬而远之)習性があるので、もっと教員と絡んでほしいです、

私は緊張しちゃってなかなか先生方にお話ししに行けないタイプですが、せっかく東大に入ったんだから、すごい教員の方々とたくさんお話したいですね!

ぜひ田原先生にもっと中国の農村のお話を伺いたいです!


東大生に一言!


いろんな教員、仲間、書物、フィールド(現場)と付き合って、自分だけの文脈を持った重層的な厚みのある大学生活を送ってください。

せっかく東大に入ったので、一つの分野に拘らず、色々なことを学んで、多様な人たちと出会いたいですね! 特に駒場で過ごす2年間はその自由度が高いと思います。色々なタイプの授業をとって、紹介された参考文献は積極的に読もうと思います!


最後に、東大を目指す高校生に一言!

特に地方の高校生の皆さん、東大に入って東大を使い倒し、そこで学んだものをいつか地方に持ち帰って地元を活性化させてください!


田原先生、たくさんの説明に答えていただきありがとうございました!
みなさんも、最後まで読んでいただきありがとうございました〜!
谢谢(シエシェ)(ありがとう)!
他の記事もぜひ読んでくれると嬉しいです。
それでは、再见(ザイジエン)(さようなら!)


















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