【涙腺崩壊したことある?】180頁もない文庫本で感泣す「愛と死」
すぐひねくれた考え方をしてしまう私ですが、これまでに純粋な涙を流したことが何度かありました。
作品に感動して泣いたことも少なくありません。記憶しているなかで一番古いのは小学校の図書館でのこと。
たぶん童話の『龍の子太郎』だったと思います。終盤にさしかかり、それまで出会ったキャラたちが助けてくれるくだりでボロボロと落涙して自分で驚いたものです。
まあこれは小学生時代のことなので、まだまだ純粋だったのでしょう。
小説を読んで初めて泣いた日。
高校生の時、現国の先生がクラス全員に純文学を読むようくどいほど勧める男性教師でした。
あるとき、期末テストに向けて黒板に10冊ほど小説のタイトルを書き並べ「この中からテストに出すから読んどけよ」
おいおい、図書館にあればまだしも、借りられていたらどうすんの?
私はそう思いつつも、中学生の教科書で夏目漱石の「こころ」を読んでから小説に興味を持っていたので、黒板に書かれた本をできるだけ揃えました。
自分で購入したなかの1冊が武者小路実篤の「愛と死」だったのです。
170頁ちょっとの薄い文庫本で、当時の価格は百何十円だったと思います。
主人公の男性が、友人の明るくほがらかな妹に惹かれていく描写は高校生の私にとって「恋ってこんなに素敵なものなのか」とキラキラして映りました。
小説のタイトルは「愛と死」ですが、「幸せの絶頂からまさかそれはないだろう」と祈るように読み進めていました。
それだけに、終盤は涙が止まりませんでした。
自分でもこんなに泣いたのは『龍の子太郎』以来かな…と思ったほど。「愛と死」は自分の部屋で読んでいたので、周りを気にせずに泣きすぎて目を腫らしてしまいました。
他にもこんな「愛と死」
原作をもとにした映画やドラマも作られてきた「愛と死」。
アニメーション作家の植草航氏は原作を意識したか定かではありませんが、2013年に映像作品「愛と死」の監督を手がけました。
※NHK Eテレ「テクネ 映像の教室 第4シリーズ/ロトスコープ」(201303月30日)の番組内コーナー「テクネ・トライ」にて放送された作品。
最近ではスマホゲームソフト『にゃんこ大戦争』に関する「愛と死」の攻略ポイントという動画まで見かけます。
生きるうえで避けてはとおれないことに関係があるワードだけに、これからも「愛と死」をタイトルとしたさまざまな作品が出てくることでしょう。
それでも私にとっての「愛と死」は武者小路実篤が書いた小説であることに変わりはありません。
【涙腺崩壊』シリーズ最後までお読みいただきありがとうございました。
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