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音と音のあいだに音楽がみえる


どうして音楽に心揺れるんだろう

音楽って、私たち、わかっているようで、結構謎なところもありますよね。
謎も人それぞれなのかもしれませんが。

”音楽ってなんやろうなあ、どうしたらもっとなかよくなれるのかな・・”と思い巡らせて、結局私がたどり着いたのは、音楽って音の点のところではなくて、音と音の間にあるんだということでした。

そこ、音と音のあいだって、人の感覚や体験があるところでもあります。

実際何か音楽から直感的に受け取っているのは、音一つ一つではなくって、そういう体験の総体なんだと思います。音楽に心揺れぶられ、音楽に癒される、そして音楽を奏でてみたいと思う・・そこに理屈や理論なんかは後付けでしかなくて、ダイレクトに心につたわるものがある、それは、音で構成された、楽譜の点以上の情報がそこに在り、そこに人の体験が重なるからだとおもうのです。

音楽の歴史は誰かの体験の積み重なり

考えてみたら、西洋音楽って長い歴史の中でどんどん複雑になっていって今にいたってるのですが、その歴史的変遷も全部、誰か、その時代時代の作曲家・が個人の感覚だけでなく、時代の空気なども吹き込みながら、その「体験」をそれまでの音楽のなかに差し込んでいって、積み重なってそだってきてるものです。

例えば、今までにない耳新しい和音がその時代に登場するとき、その新しい和音に心揺れた作曲家がいて、それを同じように感じるその時代の人たちから支持されて、音楽史のなかに刻まれ、理論として定着して、いつのまにか、あって当たり前の音色になっていく。とても具体的な人の営みがあったはずなのです。

それは、今や理論と姿を変えている理論も全部、”体験”だってことなんだと思います。

音楽理論の遠さ

ところが、音楽の理屈、本にちょこんとまとまっているあの理論ってどこか遠いかんじもしませんか?

音楽理論って、その勉強法って、音がなっていなくても、理論だけでもできるんですよね。以前、喫茶店で音楽理論教えますっていうのをみたことがあって、そうか、楽器がなくても、理論と関係がない音楽がカフェでながれていても、理論はまなべてしまうんだなって納得しました。
音楽の理論というのは、「音は点だ」という原理のもとにあり、それがクリアだから理論だけ追っていくことができる。それはそれで美しいのですが。

でも、ときどき私たちは理論においていかれてしまう。
そして、こう思ったりします。
理論?頭ではわかっているけれど・・・それが実際演奏するのになんの役に立つのかよくわからない・・・楽譜に書かれている通りに演奏すれば形になるのだから、難しいことを考える必要はないのでは?と。

・・どうして、体験の積み重ねだったはずのものが、理論になった時にあんなによそよそしくなってしまうのでしょう。

理論が音楽と結びつかないのは、すでに出来上がってしまっている楽譜の点の側から音楽を取り込もうとするからです。
沢山の体験の積み重ねでできたはずの理論には、”誰でもが共有できる”という大義があり、西洋音楽にとってはなくてはならないものです。けれど、それは、音楽からその息吹を抜いた骨組みに過ぎません。

音楽として息を吹き返す接近法

そうした、結果の輪郭を辿る学習方法ではなくて、もっとリアリティに即した音楽の学習方法(いや、遊び方でもいいんですが)はないか、っていうことで生まれてきたのが、音楽を描く’utena drawingでした。

生徒と一緒にやってみたときの、生徒たちの目の輝き。
音楽教室で音楽が息を吹き返した、そんな感じがしました。

utena drawingは音楽を生きた線でやりとりします。
つまり、音の点ではなくて、音と音の間をやりとりするのです。


音と音のあいだが見えてくる

utena drawingをやっていて見えてくるのは
・一つは音楽の新しい側面、
・もう一つは音楽のそれに気づいていくことで広がっていく自分の感覚。

これは歯車が噛み合って動くみたいに、同時におこる、二重作動になっています。なぜなら、そう、音楽の本当の姿は、「体験」だから。それが体験として重なるからだと考えられます。

今なっている音や音楽を取り込みながら描くとき、自分の外側から音楽をきいているけれども、utena drawingは同時に聴いている自分を描いています。

インプットとアウトプットがすんなりと同時に起こっている状態なんです。
そうすることで、音楽と自分の感覚が、音と音のあいだにおいて重なってきます。
そしてそれがフィードバックして、さらに歯車が動いていく。
この方法をはじめたころは、みなさん、楽しい!よくわかる、とおっしゃっていただいて、まだ、どういうことなのかわからなかったのですが、やっと言葉に落とせるようになってきたところです。
そう、utena drawingが力を発揮するのは、音楽と自分の感覚が音と音のあいだにおいて(音の点ではなく)とても近しいものとして現れてくるから、なんですね。

始まりのワーク動画

これは、始まりのワークコースで公開していく、動画の一つです。
感じることをそっと引き出しながら、描いていく、
そのなかに音楽の息吹きを感じることができるでしょうか?


メンバーシップの紹介

メンバーシップの「感覚をひきだす始まりのワーク」をおすすめします。

週に1回10分ほどの動画を配信しています。
音楽を「描く」ことで音楽と自分の感覚がかさなり、音楽のイメージを豊かにしていくのがutena drawingです。音楽を感覚から捉え、感覚と音楽両方を豊かにしていくきっかけになればと思います。
百均のスケッチブックと描きやすいクレヨンなどを用意して、一緒にやってみてください。

初回は無料になっているので、気軽に参加してみてください。
月600円。入会退会お気軽にどうぞ!
1月がちょうど再スタートとなり、動画の1回目から始められます。


オンラインワークショップ

音楽を動線で描く、utena drawingのオンラインワークショップが6日にあります。今回は音楽を描くことで、音楽と近しいところでの体験をしていただきつつ、サンサーンスの白鳥を紐解いていく、という趣向になっています。
その1回目、はutena drawingを自分の感覚から捉えていく始まりのワークと、この曲の持つエネルギーを体感で共有していくワークをしたいと思っています。

utena drawing入門講座・線が奏でる音楽/サン・サーンス「白鳥」を題材に
1回目・1/6(土)19:00~21:00(120分) 3,500円

   感覚と音楽を結ぶutena drawing / 描いて感じる曲のエネルギー


愛媛の片田舎でがんばってます。いつかまた、東京やどこかの街でワークショップできる日のために、とっておきます。その日が楽しみです!