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音楽の背中・暮らしの奥に(日記)

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大人や子供がやってきて音楽をまなぶここutena music field での出来事と、日々のふりかえり、明日への希望などを。 音と音のあいだにある音楽と西洋音楽の仕組みへの敬意…
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#エッセイ

音楽が荒廃するとき

(独り言です・・^^) 音楽が荒廃するとき、人も荒廃している それは 「音楽って一体何?」と問い続けてきた私が行き着いた場所で 何かを言い当てることができない代わりの 音楽を続けていくための手がかりのようなもの。 音楽を”描く”ことによって 人と音楽の間のいろんなことが 現れてくる。 私が見ているのは現象であって 核心ではない。 現象と一緒にたゆたっているだけだ。 どこへ向かえばいいか、心細さがいつもついてまわる。 けれどすでに気がついていることなのだけれど 「音

音を言い当てるよりも・・

音を見る、音に聞き入る、音を追いかける。 うんと受け身になって、 音の開示するものを受け取る。 それらは、 なっている音の名を大脳が言い当てるより うんと前に出会っている音の姿。 音楽の姿。 あるいは なっている音は銀河の星の一つのように 美しい群生として散りばめられている。 一つの音の名は その構成の中の、ほんのひとひら。 その一つを言い当てるよりも 大事なことがある。 音の名はたった12個。 それを言い当てるよりも それらがどう自らを音楽に投げだしているかを この耳

無意識が言葉に乗って出ていってしまう

ひとりごとが漏れる 私のひとりごとは、無意識との関係の雑さがあるように思うのです。 独り言が多い、というより、常に喋っている、というくらいです。 歳をとったことや、一人の時間が多いこと、いつも猫に話しかけられて返事していること、などが重なって、近年はさらに多くなってきている気がします。 これは、自分の無意識のコントロールがゆるくなっている一つのサインかもしれない、と思い、これから向き合っていこうと思っています。 今更、なのかもしれないのだけれども、 自分、まだまだどころか

6月半ばの音楽室・「きれい」という君が。

写真は、音楽室前に 秘密基地的な窪みのある場所をつくって そこに椅子とテーブルを置いたんだけれども、ちっともゆっくり座る時間がない。 ・・・・・・・・ 音楽室の出来事 指より体の方が三倍も動いてピアノ弾いてる 男の子が、 即興、、というより適当弾きをしていて、 何かのはずみで 右と左で6度音程の進行がなったとき、 その子 目が輝いて 「今の、きれいなかったことない? きれいやった〜。いいおとやった〜」 いや、むしろ、 それに感動してる君をみてる私の幸せ。 子どもが

謎とき

謎ときが好きです。 植物を育てるのでも、 楽譜と対話するのでも。 これは何に類するのかとか、 今、展開しているこれはどこから湧いてきてるのかとか この作業を加えると、何か変化するのかとか 形の不思議、時間の不思議、みえないもののささやき 謎の示す方向に伸びる すっと細い糸を手繰り寄せながら、 その糸を切らないように、ひっぱらないように その方向へと降りていくのが。 謎はひとつの隠し扉。 それに気づく?気づかない? くすくすと忍び笑いしながら 謎は、隠れている。 そ

あおい水底のメロディ

あのとき、 たしかに 深いブルーの水底まで手が届いて、 音を拾ってこられたような、 そんな、めったに味わえない演奏に 集中できたのに、 旅の後、日常の喧騒のなか いつもの耳に、いつものピアノの手触りにもどっていく。 あの時の集中に戻ろうと、少し焦るけれども、 いや、こういうものなんだな。 時間ができるまで、焦るのはやめよう。 チェリストのカザルスが 本番直前に洞穴をみつけて、ピアニストと一緒に探検して 泥だらけでやってきた話が大好き。 音楽家にとって、 (どうかピアノ

世界が切った梶と、日常の明日について

今日はちょっとシビアな話になるけど、いいかな。 毎日ウクライナの情報をtwitterで眺めている。 もう、やめて、と思いながら、目をそらしたくない。 目を背けることのできない人たちが現にいるのだから。 精神的には負担がかかっている、わかっている。 それでも。 実は世界はずっとこうだったんだ。 ただ、何かで覆いをかけられていただけ。 自由が私たち全てに行き渡っていたわけではないし、 そもそも自由ですらなかった。 世界は何も変わっていなくて、ただ、 かけられていたメッキの耐性

調律の工房を訪ねました。

中古のピアノを購入したい、という相談をいただいたので、 信頼している調律師さんで、中古も丁寧にメンテナンスしてくださるTさんのところへ連絡しようと手に取ったスマホでしたが、ふと、 もしかしたら、DIAPASONが眠ってはいないかと思い、 もう一人のこの調律師さんHさんのほうをコールしていました。 https://note.com/utenamuse/n/n823845b06c15 なんと、感ぴしゃり。 たぶん、営業的な販売はされていないかもとおもっていたのですが、 その

”美しい”の差異

人によって美醜の捉え方はそれぞれ。 でも、それはどうしてなんでしょうか。 好みとか、その人の歴史とか、もちろん、大きいと思いますが、 それをさらに内側でささえているのは 「感覚」が外の世界を拾うその範囲が おおもとからそれぞれ少しづつ違っている、ということがあるとおもうのです。 同じものを見ているようで、じつは同じものを見ているわけじゃない。 それは同心円的に広いか狭いか、というのではなくて、 どこに焦点があたっているかというところから、別々で。 100人いたら100人み

10年スパンで音楽を育てる

めくれる譜面をとっさにおさえる 先週、私が模範演奏をしていると、 ある女の子、立てた譜面が閉じそうになるのをとっさにやってきて そっと押さえて、演奏が途切れないようにしてくれたのでした。 なかなか、そういう子はいない。 彼女は譜面を見てさっと弾けたりするタイプではありません。 ひとつ、何かができたら二人でハイタッチして祝福しながら進んでいます。 私もできるだけ気長に見守っています。 吸収力に目を見張る子もいて、それはもちろん頼もしくて嬉しいのですが、 こんな子も、たくさんた

久しぶりの友人とウクライナと

生徒保護者さんに連絡しようと、ラインのトーク欄を開けたのだけれども、グループラインが見つかりません。あまりにわかりにくいサムネイルだったから、あれつけかえないと、そのたんびに探す羽目になってるな。 仕事の連絡先も多いので、子どもの顔や猫や謎な顔の丸が縦にずらっとならんでいるのをすいーっと下までスクロール。普段降りていかない一番下に、金魚。mさんのマーク。もう一年以上も連絡をとってないな。 mさんにはずっと連絡して伝えたいことがあったのだけれども、つい時間に押されて後回し。

愛されない、はデフォルト

両親に愛されていなかったわけではないけれど、 どこか遠巻きに感じていた。 ダイレクトに共感されたことも、褒められたことも、思いを抱きとめられたことも記憶にない。 息子が通った教会の幼稚園は坂の上にあって、 急勾配を上がっていくと、 歳をとっても溌剌としたおばあちゃん先生がいて、 しゃがみこんで大きく手を広げて待っていてくださって 息子の歩く先を立ちはだかるように(笑)して、抱きしめてくださる。 それを見届けて、坂を降りながら、 何度も泣いた。 私にはあれができない。と。

線香のくゆるけむりの行く先のように

うちは庭の蚊がすごいので、レッスンの前には蚊取り線香を2つ玄関先と室内に灯します。今日も、マッチを擦って準備してはじまりはじまり。 今日は休日だったのか、お父さんのお見送りでやってきた生徒さん。 手紙を持ってきてくれました。 でへへ。 お父さんが玄関から顔を突っ込んで、お子さんが注意深く音を聞き取ってはピアノで弾いたりするので、びっくりする、とおっしゃっていただきました。音楽室で何してるの?と尋ねても、大したことはしてなさそうなのに、っと。思わず笑ってしまった。そのと

風を纏う

2年生が5人。 女の子ばかりなのだけど、この学年の子たちはボーイッシュな性格の子が多くて、個性的でにぎやか。 今回のグループワークは9月のリトルコンサートも射程に入っていて、なにか、普段できない音楽の体験をさせてあげられたらいいなと考えていました。とはいえ、練習の場所はこの音楽室。 音楽室は隣の和室まで広げるとまあまあの広さにはなるのだけど、それでも、やっぱり歌は大きな声では歌えないし、笛も気になって扱えない。人数がもう少し少なければ連弾もよいかとおもったけれど、なにかち