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【東北研修①】株式会社シスルナテクノロジーズ訪問

今回は仙台に研修に行った中から、東北大学発スタートアップである株式会社シスルナテクノロジーズの共同創業者/CTOをされている吉田教授の元を訪問した様子についてお伝えしていきます。

東京大学Diligentについて知りたい方は以下のリンクから

私たちが今回訪れたのは、東北大で宇宙探査工学を研究している吉田和哉教授の元です。吉田教授は、軌道上宇宙ロボット、小惑星探査機、月惑星探査ロボット、50kg級マイクロサテライトなどの様々な分野で、研究開発および宇宙フライトの実績をお持ちで、現在民間月着陸を目指している宇宙企業であるiSpaceのCTOを経験したお方です。現在は月周回衛星インフラの構築と人類の活動圏を月以遠に広げることを目指す株式会社シスルナテクノロジーの共同代表/CTOとして小型宇宙衛星の企画・開発・製造・運用やシステム機器の開発を主に行なっています。

国内でも稀少である、複数機の超小型衛星組み立てが可能な施設と少人数でシステムを設計・開発することができる限界に近い50~100kgの超小型衛星の特性を活かし、クライアントの求めている部分に特化したカスタムメイドな衛星の作成を低コストで実現しています。
宇宙分野における技術の進歩は凄まじく進んでおり、ロケットの打ち上げや人工衛星の作成に必要なコストが年々低くなってきたことで、小さい人工衛星であれば簡単に打ち上げられるというパラダイムシフトが起こってきており、その需要を掴んでいるそうです。
人工衛星の打ち上げというとピンとこないかもしれませんが、現在、衛星写真は、農作物の生育状況の確認、災害の状況確認、赤外線や紫外線をもちいて目には見えない状況についてもみることができます。しかし民間向けには常に高い精度で提供されているわけではないので、超小型衛星を打ち上げ求めた性能に特化した運用を行うことで精度高く知りたい場所の情報をメインに集めることを目的としていることが多いそうです。これから宇宙産業にこのように民間資金の流入が加速していくことで市場規模が20年で3倍程度になると予測されており、将来性のある成長産業でもあります。

シスルナテクノロジーは研究によって得た技術を大学発スタートアップに活かしているモデルケースであり、急拡大することなく堅調に事業を進めているのが特徴でした。会社の方針としても外部の資金に頼らずとも運営できる体制を目指しているようで、これは急拡大と急成長を求め、巨大企業が生まれる一方で、事業がうまくいかなくなる例が多い宇宙開発業界において一つの強みになっているのではないかと感じました。

最後に実際に衛星を作っている場所を見学させていただきました。実際に作業している方や制作途中の衛星をクリーンルームの外から見せていただいたのですが、細かく緻密な部品が精密に秩序立って組み立てられている様子のは美しさと畏敬の念を抱きました。打ち上げた衛星の現在位置を見ることもでき、ここから打ち上げたものが宇宙で活躍しているという凄さを感じました。

今回の訪問を通して、シスルナテクノロジーは大学での研究をビジネスに活用している一つの成功例であると実感しました。宇宙分野は論文の引用数などでも日本が上位に入ることができる分野であるためこのように研究を活かして産業を育て、強みを活かしていく大切さも学ぶと同時に、他の分野においても大学の研究をビジネスで活かすために、大学での研究を世界に誇れるものにする重要性にも気づきました。そしてシスルナテクノロジーが目指す月周回衛星インフラの構築という人類が月にいく上で重要な点の開発についても期待が膨らみます。
大学の研究を活かした起業が増加傾向にある今こそ、シスルナテクノロジーの研究の強みの活かし方とその運営手法からは学ぶべきことが多くあるのではないかと感じました。

文責:今村光志

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