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薄暗い森林の中で咲く藤の花

藤を育てている方がいて、パスタのお店をされているのでお客様のためでもあるのでしょう。毎年キレイな薄紫の藤が花を咲かせています。よく手入れされた藤棚の藤は、風に揺れると房ごと落ちてしまいそうハラハラします。

大きな丸い実がついていればブドウでしょう。藤の花がブドウだったらなどと、想像をしてしまいました。白や黄色の藤もありますね。この時期だからこそ見られる花です。

さて、よく手入れされた藤棚は、それはもう、触れることも許されないような気品をただよわせている気がします。うっかり触れたら地に落ちそうで、もちろん周りの人の手前、しげしげと眺めるだけで終わります。

それが、野生の藤でしたらどうでしょうか。

私が住む街は長い年月をかけて開発されました。ところどころ昔の森だった場所が残っています。人が手を加えていない森林にぽつんと残された小道。この小道のわきに生えている木々は昔からのもの。

大樹ではありませんが、元気な木々が薄暗い自然独特の陰影をつくっています。この木々に絡みつくように生えている藤が、ちょこんちょこんと咲いていて、これならば誰にも文句は言われまいとそっと触れました。

藤棚の藤より見栄えがしなくても、清々しい緑の葉の中でひっそりと咲いています。

人気のない薄暗い森の中、木立から差し込む光に照らされて咲く藤の花。

そっと触れてすぐに手を引っ込めました。


「いつの間にかはじまってる」が「#社会人1年目の私へ」応募記事のうち先週もっとも多くスキされた記事の1つだとお知らせがありました。いつもありがとうございます!


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