見出し画像

どこにもない赤〜失われつつある言葉のなかで〜


【どこにもない赤】

熾火のような深い赤が
赤褐色の大地を染め上げる

それは
ことばのない色

ここは
ことばのない場所

東の空に祈りながら
地球の音に耳を澄ませる

風が吹きぬけて
過去の音楽を聴く

そのなかには
数年前にこの地に置いた
わたしの音もある

ここは
過去と現在
そして未来の交差地点

私だけの秘密の場所





書物に踊る文字たちと
馬の蹄や織り機のリズムが
わたしのなかでひとつになり
内側にメロディが生まれた

ときにそれは
記号の体系となり
遠い場所に虹をかけ

ときにそれは
そのままのかたちで
指先から溢れ出す





どこにもない赤
どこにもない色
どこにもない場所

わたしは今日も歩く
失われつつある
言葉のなかを



↓朗読はこちらから😌↓
https://stand.fm/episodes/62e6a4fc9dd85c9a0b54afed

この記事が参加している募集

自由律俳句

スキ、フォロー、コメント、全部うれしいです。読んでいただきありがとうございます!