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Vision Proは隙間産業であり革命である(たぶん)

Vision Pro、結構ヤバそうだなと思ってます。体験したわけでも詳細把握しているわけでもなく、ギズモードとかのYouTube紹介動画見ただけなのですが、結構ヤバい。破壊的イノベーションの始まりかも。なぜそう思うのかというのが、Vision Proが標題にも書いた「隙間産業」だからです。めっちゃ簡単に言うと「iPad」っぽい。iPhone以来と表現するにはまだ早い気がしますが、iPad以来くらいではあると思う。

近年、頻繁に囁かれている「スマホの次は何か」という問題について、私のスタンスは「スマホの次は来ない」でした。板状のモニターという、持ち運び(大きさ、モニターであるために操作/操作しないを任意で選択できること)と操作性(入力IFがキーボードや音声やタッチで選択できる、画面を見ながら入力できる)とプライバシー保護(モニターなので誰かに除かれにくい。ホログラムではそうはいかない。すぐに仕舞える)の観点で完璧と言っていい形状は、現在の技術では何も変わる者が無いと考えます。

また、完全ワイヤレスイヤホン/スマートウォッチ/スマートリング(指輪)のような補助デバイスを利用することによって、スマートフォンはいわば母艦として機能しつつ、入出力IFを拡張し、更に便利になることは約束されます。しかし入力のし辛さからスマートウォッチだけで板状のモニターを超える利便性は訪れませんし、イヤホンで音声入力するだけではプライバシー保護の観点と操作性でNG、スマートリングには触れませんが操作性の観点で自明です。

唯一、スマートグラス(ウェアラブルグラス)だけは将来性があります。ただしこれもスマートフォンに置き換わることは無いと思っています(いました、が正しいかも。ちょっと揺らぎました)。↑で書いた理由ではなく、実はもう一つあって。

めっちゃ簡単で「えっ」と言われそうですが、「ダサい」からです。
眼鏡ってオシャレアイテムなんですよ。眼鏡にこだわっている人からすると、その眼鏡を追いやって(もしくは二重にして)まで、どこぞの機械メーカーが作った程度のデザインのデバイスを顔に設置するなんてできませんよね。

ちなみに、
もちろん、Appleあたりが本当にオシャレなデバイスを創り上げる可能性はあります。が、モノとしての美しさと、身に着けるにあたっての美しさは勝手が違うでしょうから、現状のデザイナーだけでは足りないと思います。そちらに注力するに際しては、Appleはもっと人材のコントロールを始めるでしょう(で、可視化されるでしょう)。

また、いわゆるアパレルがウェアラブルデバイスに参入している市場があります。例えばスマートウォッチ。数年かけてその気配が強まってきていて、実際そこそこオシャレなバンドが増えてきているのもまた事実です。
ただし限界がありますし(結局盤面のハードは機械メーカーが作るのは変わらないですし)、そもそもウェアラブルデバイスって、ずっと身に着けてられるかどうか微妙ですよね?時計って外出時、例えば食事中に外したりするのに、いつでも身に着けるのがマストなのって、ちょっと煩わしい。


そんな感じで、ウェアラブルデバイスがスマートフォンに置き換わるということは無さそうだな、と思っていました。次世代デバイスっていつでてくるんでしょうね、と。へらへら考えていましたが、Appleはこんな哲学をとっくに終わらせて、粛々とVision Proを創っていたんですね。やられた。

まず一つ「隙間産業」と冒頭に書いた点を説明すると、こいつはスマートフォンに置き換わるデバイスではないということを申し上げておきたい。一部はスマートフォンに置き換わりうる要素もありつつ、一部はPCに置き換わる要素を持ちつつ、そして利用条件の極めて限定されたデバイスであるということです。

「利用条件」とは何のことか。簡単です、こいつはホームデバイスなんです。謳われているかは分かり(知り)ませんし、AR技術で(景色を)透過してみることが可能みたいなニュアンスは見ましたが、まごうことなきホームデバイス。家の外で使われることなんて基本的に想定しません。というかそんな人いません。あんなごつい見た目のデバイスを身に着けて外出する人なんていませんよね?デスクトップPCを抱えて外出する人が存在しないように。

盲点でした。スマートフォンの利便性は「いつでもどこでもなんでも」ですから、それに置き換わるのにウェアラブルデバイスでは力不足だなあ、ということばかり考えていたんですよね。そもそもスマホの次なんて枠で考えずに、欲しがられるような魅力的なデバイスがあればいいんです。生活にデバイスを当てはめるんじゃなくて、魅力的なデバイスから世界を変える。これがAppleのアプローチだったのを、すっかり忘れてしまっていました。

ホームデバイスと言えば「スマートホームデバイス」ですよね。AmazonでいえばEcho、GoogleでいえばNest、AppleでいえばHomepod。OS?アシスタント?でいえばアレクサやGoogleアシスタントやSiriです。ぜんぶ、合ってもいいけどパッとしない。スマホ程度の機能に対して、スピーカーとか、WiFiとか、カギとか、家周りの、据え置き機器に当てはまりそうな機能を付与しただけのものばかりで、つまり既存デバイスの置き換え(拡張)くらいで、革命的な要素はほとんどありませんでした。(AndroidやらiOSやらとの連動というか、IoTデバイス化くらいのものでした)

つまりホームデバイスってブルーオーシャンなんですね。なんの競合もいない。いや、厳密にはホームデバイスはいるし、そもそもラップトップとかデスクトップとかがあります。でもホームデバイスは雑魚だし、ラップトップとデスクトップはレガシーですよね?みんな飽き飽きしている。ここは食いやすいわけです。この隙間に入り込みつつ、(当時の)スマホらしさというか、革新性のあるデバイス。

隙間産業と冒頭で申し上げたのはここです。スマホはPCを置き換えるには至らなかった。それはIFの問題かもしれないし、モニターが小さいからかもしれない。Vision Proはその問題を解決して、もしかするとテクスト入力を主たる仕事としていない人たちにとっては、PCに置き換わるデバイスになるかもしれない。仕事ではPCを利用しない人たちにとっても、エンターテインメントデバイスとしてPCなんて比較にならない体験を提供してくれるかもしれない。

(知らないので)課題は多々あると思います。文字の入力にはやはりキーボードが必要かも、とか。操作性にタップ/マウス操作と比べたらさすがに難があるかも、とか。
でも、スマートウォッチやイヤホンと違って、ユーザに対するOUTPUTのIFとしてはハイエンドであることが自明である点は、既存のデバイスたちとは完全に一線を画していると言えます。
入力だって、結局ホームデバイスとしての前提があるのであれば、デスクに座って作業している時はキーボードとマウスを使いたい人は使えばいいし、例えばダイニングへ移動している時は、デバイスに備わっている入力IFでなんとかすればいいわけです。

これ、何かに似てると思いませんか?

・既存のデバイスの機能とほとんど同じスペックを有している
・ユーザへのOUTPUTのIFだけが極端に拡充されている
・(デスクトップPCと比べて)持ち運びについて容易で、家から出ない範囲でとても便利
・デスクに居る時と、デスクから離れる時で入力デバイスが変わったりする

私は、Vision ProとiPadを重ねずにはいられません。(冒頭「めっちゃ簡単に言うと「iPad」っぽい」と申し上げた)

iPadはiPhoneの置き換えで画面がでかくなっただけで世界を席巻しました。Vision Proはそれ以上に革命的で、より生活を変えうる要素があることとトレードオフに、定着するかどうかの点でリスクがあります。しかしホームデバイスとして使う限りにおいて、iPad的な側面を孕んでいる。PCとスマホの中間的であり、さらに革新的である。


デスクトップに齧りついて作業するだけの環境にスマホが登場し、コミュニケーションに限ればPCは不要になった。タブレットが登場して、キーボードとマウスとペンを駆使することで、デスクとそれ以外の場所を使い分けられるようになった(ラップトップがスマホ化した)。PCとスマホの間の線状のばかり考えていたら、Vision Proというその次のデバイスが登場して二次元ベクトル的な進化を遂げた。

いきなりVRが~とか、メタバースが~とか言わずに、あくまで利用目的は既存の生活の拡充で既存デバイスに対する置き換え、ただしUXが別物(別次元)。このアプローチはまさにAppleのやり方です。50万円くらいする値段がもう少し落ち着いたり、バグ出しが落ち着いたりすれば、それこそ第三世代くらいまでになれば、ガチでPCを(スマホ/タブレットの時以上に)追い込んでくるんじゃないかな?と思っています。

iPad以来の衝撃。隙間産業。破壊的イノベーション。皆さんはVision Pro、どう解釈しますか?

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