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原始男は働き蜂だった。だが今では主夫である。

「原始男は働き蜂だった。だが今では主夫である!」

朝、夫がそんなことを言いながら食器を洗っていたので、思わず吹き出しそうになりました。

「なにそれ」

聞き返すも洗い物に夢中。原始男は働き蜂だった。だが今では主夫であるかぁ。自分のことなのに面白いこと言うなぁ、この人は。

コロナの自粛・休業をきっかけに、我が家では、夫婦で家事をするようになりました。2人ともコロナの影響をモロに受けていて、4・5月は仕事ができず、家にいることを余儀なくされていました。

もともと夫は家事をするほうでしたが、やはり食事作りとなると腰が重かったんです。今回は、食事作りを含めたすべてを分担することになりました。

まずは「朝ごはんを一日交代で作る」です。朝ご飯って、寝起きでやる家事ですからしんどいですよね。これを夫、私、夫、私と交代で作るんです。

いやっほー!仕事に出られないのはお互い様なのに、家事は妻が全部背負うなんて不平等だ!と思っていたので、私はとても助かりました。

実際、今まで朝と夜だけでよかった食事作りが、昼も増えるのですから、主婦に休業なんかないよなぁ~と、けっこう大変だったんです。しかも、手洗いとアルコール消毒がいつもより増え、手もガサガサ荒れていましたから、水仕事が減るのは本当にありがたかったです。

夫は普段、私が作っているのを真似をして目玉焼き、ウィンナー、味噌汁、ツナときゅうりのサラダなんか作っていました。さすが男性なだけありこだわりが強い!Youtubeでおいしい目玉焼きの作り方を調べて、私より上手に焼いていました。

5月下旬になると、私のほうが先に仕事再開となりました。すると今度は「私が働きに出ている日は、旦那が家事を全部やる」になりました。

いいやっほぅー!なんて素晴らしスィ!!帰ってきたら、お風呂に入って歯を磨いて(ゲームして)寝るだけなんて、ここは楽園か!!何より身体が楽でした。そして、外に出て働いて家事をしてって、もともと腰も弱い私には、けっこうな負担だったんだなぁと気づきました。

そんな日々が2週間くらい続いたあるとき、夫がこんなことを言いました。

「ファミレスでも行こうか」

うん?いいけれど……なんかこれ、知っている展開だな?聞けば、そろそろ家事に疲れてきてしまったとのことでした。

いや、わかるよ。家事って疲れるんだよね。私も結婚当初は、よく家事疲れをしていて「今日どこか食べに行こうよー」「もう出前とってもいい?」と言っていました。

家事って、マニュアルがあるわけではないんですよね。人それぞれ、家庭それぞれ。自分が育った家庭のやり方が、結婚した相手のやり方と同じとも限りませんし、真面目な人ほど、どこまできちんとすればいいか?または手を抜いていいか?戸惑う仕事なんですよね。

ちなみに私は、手の抜き方がわからなかったタイプで、ちょうどいいが見つかるまで丸3年かかりました。知り合いに「何をやならいか決めるといいよ」と教えてもらったときは、なるほど引き算だったか!と気持ちがスッと楽になったのを覚えています。

さて、それから1週間後。また夫がファミレスに行こうと言いました。

う〜ん、この前も行ったじゃん?正直なところ、私は気持ちが乗りませんでした。久しぶりの休みだし、連勤だったから今日は身体を休めたいし、どこも出歩きたくないなぁ……。ん?これもどこかで知った展開だな??

思い返せばこの気持ち。夫がよく言っていた台詞だったんです。

毎日、クタクタになるまで働いている旦那からすれば、たまの休みくらい、自分の好きなことに時間を使いたいのですよね。だけど私は「夫婦で出かけたい!」「毎日家事もしてストレスにもなるし、どこかで発散したい!」と無理に夫を連れ出そうとしていました。そして、しつこい、うざいと喧嘩。妻、泣く。

これかぁ~夫の気持ちは!確かに私が至らなかった。家で心身を休めたい人にとっては鬱陶しいですね。相手の立場をわかっているつもりで、ハートで理解はしていなかったんだなぁと反省しました。

夫にそのことを話してみました。すると夫は、わかる!という顔をして「いやぁ!家事ってこんなに大変だったんだねぇ!」と笑いました。

「大変なら、代わろうか?」

「いやいや!」

そして、最初に戻ります。

「原始男は働き蜂だった。だが今では主夫である!」

夫は、フハハハハハ…!!と魔王のような笑い方をしました。

なんか楽しそう?自粛・休業をきっかけに始めた我が家の家事の分担。旦那にとっては、主夫という新しい役割も、一緒に遊んでいるような楽しい時間だったようです。

すごい。さすがビジネスの現場で、20年以上も仕事を勝ち獲ってきただけあって底力がある。大変なときもポジティブに乗り越えられるハートや思考は、男性らしい強さなんだなぁと思いました。

主婦でも、主夫でもいいんです。大事なのは、夫婦がお互いの強さ・弱さを認め合って、苦労を理解し合って、一緒にいて幸せだと感じることなんですね。ありがたや、ありがたくなかったはずの自粛・休業生活。どんな状況からでも幸せになってみせるぞ!一緒に這い上がろうぜ、夫よ。

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