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NPOをやってみたい君へ

NPO活動をしていた時期があります。私がnoteを始めたきっかけは、NPOを設立・運営していたときの経験(起ち上げ方、書類の作り方など)をnoteで発信してみてはと勧められたことです。

しかしNPOの経営は株式よりも難しいと言われています。安易に勧められないというのが本音です。そこで今回は、自分自身の振り返りも兼ねて、NPO活動において大事だと思ったこと、心構えなどを書いてみようと思います。

1. 困難を乗り越えようとする強靭なハート

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私が安易に勧められないと言うのはなぜか。矛盾しているようですが「やりたい!」と言ってくれる人を全力で応援したいからです。

私は、やるなら自分たちの力でしっかり運営できるように、強くてハートフルな自立した組織になって、時代を先導できるような本気の社会変革をして欲しいのです。またいちばん大変な役目を負うであろうリーダーには、心が折れないようにいて欲しいのです。

そもそもNPOは、行政の手が回らなかったり、会社として事業をするには採算が合わな過ぎる社会課題を解決したり、社会に新たな価値を提供する仕事です。ボランティア系であっても、サークルの延長線でやるものではないと私は思っています。

自殺、貧困、病、孤独死、DV、パワハラ……

しかも、ひとつの活動にひとつの課題というわけではありません。例えば、自殺と本気で向き合うならば、貧困、病、失業など、芋づる式にほかの課題もくっついてきます。人の死を見ることもあります。ドラマのような他人の人生の中に入っていきます。

理性、ブレない意志、未来への先見、ポジティブな思考、自立心。NPOで働く(活動する)には、困難を乗り越えるだけの強靭なハートが必要です。

2. リーダーとサブの信頼関係

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リーダーも大事ですがサブも同じくらい大事です。NPOは組織です。サークルではありません。強くしなやかなサブが必須です。

あきらめが早かったり、人間関係に翻弄されやすかったり、自分の組織への愛着が低かったり、リーダーへのリスペクトも低かったり、意外と多いのですが、正義感が強すぎて、組織が向かうビジョンを強引に変えてしまおうと舵を奪ってしまうタイプは、サブにはしないほうがいいです。

会社も同じですが、こういう人がサブに就くと組織は狂います。

リーダーのビジョン、大切にしていること、価値観、背景、メンバーに伝えられるように、積極的にコミュニケーションして、上と下との橋渡しをしてくれる人がいいです。

これも会社と同じですが、メールの返信が遅かったり、ここで働きたいという組織への愛着が薄かったり、経費に関心のない人、情報漏洩をしたり、コソコソして変なコネクションを持ち込んでくる人も考え直したほうがいいです。活動に参加する目的が違う場合があります。こっちも人生かけて起ち上げてるわけなので、投資する人材は選んでいいと思っています。

サブを育てるため、組織に残ってもらおうと愛着(エンゲージメント)を育てようとするNPOも多いと思います。愛着を高めるためのマネジメントもある程度は学んでおいた方がいいと思いますが、最後は「ここで活動する」と本人が自分で決めない限り意味がないと私は思っています。

だから、サブを育てることに焦って「うまくいくマネジメント術」にとらわれ過ぎたり、気持ちに寄り添い過ぎて迷走することがないようにリーダーはいてください。

長年の勘や直感、匙加減も大切にしてください。よいサブが現れるまでは大変だと思いますが、あきらめないでください。私の場合、もう解散するという最後の最後で現れました。最後は意外な人物がリーダーを支えてくれます。経営はドラマなんですね。

3. 自分たちの「村」になることなかれ

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自分たちの「」になっているNPOが多々あります。NPOがサークルのように見られてしまうのは、コミュニティ感を大切にするあまり、どこか意識が外ではなく内側に向きすぎている傾向があるからでしょう。

NPOって、まだまだ世間から嫌われてます。だって「ここは何をする活動なの???」って思えてしまうくらいズレているNPOが多いのですから仕方ないです。社会(外)を見ずに自分たちの活動(内)を見ている状態。ただのになっているんです。

コミュニティ感があり仲良くやるのはいいけれど、活動が自分たちの居場所になり過ぎて、活動しているだけ、成果と向き合わない、NPOとは何か?ということを考えなくなったらお終いです。そうなったらもう、やらなくていいとさえ私は思っています。

私は現役時代、セミナーや勉強会を通していろんなNPOリーダー、非営利組織のメンバーに出会ってきました。そこに「村人」はいませんでした。本気の人ばかり。県を跨いで来る人も。ものすごい努力と勉強をして、やり過ぎなんてほどじゃないくらいやっていました。課題を解決しよう、どうにかしようと必死だし、情報や知識をアップデートすることを怠りませんでした。

そういう姿勢を見ていると、自分たちの「村」になっているNPOは恥ずかしいと思えてきます。「ここは何をする活動なの???」そう思われないように姿勢を正して活動と向き合いましょう。

4. 成果を出すこと=社会との約束を守ること

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NPOには、コミュニティとして社会の受け皿となる役割もあります。しかし今は、NPOじゃなくてもあちこちにコミュニティが溢れています。コミュニティだらけの現代で、NPOがやらなくてはいけないことって、シンプルに「成果を出すこと」だと私は思うのです。

特にサークル感満載のNPOに欠けているのは信用です。社会課題を解決すると掲げるなら、本当に解決して欲しいし、解決すると約束しているから「NPO」を掲げることを社会に許されているんです。

ところで私は2つのNPOを経験しています。1つは自分の組織でボランティア系。もう1つは、全然違うよそのNPOで事業系です。非常勤から始めて常勤でも働いていました。活動(仕事)は本当におもしろいです。先輩に言われたのが「NPOは、こなすところと、考えるところを使い分けられるとおもしろい」です。

しかし残念なことに、せっかくおもしろいNPO活動も、どこの組織も「人」の問題に躓いて、成果を上げることよりも中の問題を解決するのに時間とお金をかけ過ぎていることが多かったです。

私の組織もそうでした。「人」の問題が一番長引きました。「人」の問題に引っ張られてやりたいことができない、事業に集中できないというのがあるあるでした。だからこそこうしてnoteを執筆し、君は本当にNPOをやりたいの?と私は問いかけるのです。

時間とお金が無駄になるのはつらいです。この業界では1円だって貴重です。経費に目が向いていない行動は本当に残念です。1万円使うなら、10万円の価値に変えるくらいの気持ちでいて欲しい。本気で向き合って欲しいのです。

「活動すること」=「成果を出すこと」ではありません。やってる感に惑わされないでください。また成果は中の人たちが評価するのではなく、社会が評価するんだということを忘れないでいてください。何やっているんだかよくわからないNPOをあなたは評価しますか?自分たちの「村」で自分たちのことに頑張っているのは、果たして成果でしょうか。

社会に還元しているものが成果です。あなたが還元しているものは、誰から見てもよいと思えるものですか?納得させららるだけ価値あるものですか?それとも、自分たちの「村」がよいと信じているものでしょうか。

5. 見られている意識を持とう

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あなたはNPOのどんなところに魅力を感じますか?もしもNPOの「コミュニティ感」に憧れるくらいの熱量なら、わざわざNPOで活動しなくてもいいと私は思っています。NPOと掲げる組織で活動するなら、「NPO」という言葉を見て集まってくる人がいることを忘れないでください。

実はNPOって、屋号の前に「NPO」と付ければNPOになれちゃうのです。いわゆる任意団体というものです。だからサークルのようなグループでも、ちょっとボランティアをしているだけで「NPO」と付けているところがあります。

NPOにするメリットは、法人にしてからなんじゃないかな?と私は思っています。事業としてしっかり経営したいという場合だけ、法人にしてNPO活動をすればいいです。事業報告書、登記書類、会計、総会、ミーティング、メール、ホームページ管理、けっこう大変です。ボランティア系の団体でも、事務専門のスタッフがいてもいいくらいだと私は思っています。

ちなみに、事務やお役所書類が苦手だったり、ITスキルが低い人が多い組織は、法人はかなり大変になると思います。できる誰かひとりに作業が偏って、その人が疲弊しないようにしてください。この部分のできる人がいなくなったら、じゃあもうやめようかといっても「解散」もできなくなってしまうので大変です。

私は初めてNPOで働いたとき、クライアントに「覚悟がいったでしょう!」と言われました。やはり世間はそう見て来るんです。だからサークルといえども「NPO」を掲げるなら、これからは社会に「見られる」んだという意識を持ちましょう。

6. 疲れてしまったら、ひとりでもできることをしてればいい

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「疲れてしまったら、ひとりでもできることをしてればいい」実はとても大事なことです。社会貢献ってハードです。もしも疲れて、辞めてしまいたくなったら、ひとりでもできる貢献をすればいいよと私は伝えたいです。

なぜなら私がそうでした。私は10年間ほどNPOに関わってきましたが、最後は疲れてしまったんですね。だから、使命感や責任感から、ひとり心を折ってしまうことのないようにと伝えたいのです。

今は、社会貢献に興味がある人が増え、他人と繋がるためのITツールも増えました。ひとりでもアクションを起こしやすい時代になっています。社会課題の勉強会に参加してみてもいいし、気まぐれで近所のゴミを拾ってもいいでしょう。(私はゴミ拾いが好きなので、地域のクリーンデーに参加することがあります)

社会貢献だろうが、社会変革だろうが、要は他人の役に立つことをしているのです。会社に勤めてお客様に親切することだって、他人の役に立つ行動です。あなたが「わざわざNPOに来て活動する動機」は何ですか?NPO活動する上で一番大切なのがこの動機です。

NPOを続けるにも辞めるにも、その動機に迷いが生じたら、NPOにこだわらずに、ひとりでもできることをすればいいです。ただし「わざわざNPOに来て活動する動機」を考える気がないのなら、あなたはNPOで活動するべきではないでしょう。

ところでnoteもひとつの社会貢献です。クリエイターさんたちの文章は、読み手に新しい視点を伝えたり、知恵を授けたり、心を癒やしたりと、確実に誰かのためになっています。ひとりでもできることって、けっこうあります。だからどうか使命感や責任感につぶれてしまわないで。

7.まとめ

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社会貢献はストイックです。私も許されるならずっと活動していたかったです。だけど疲れてしまったんですね。するとそこで人生の「次の波」が来たので、迷わずその波に乗りました。恐らくそういう運命だったんだと思います。

世の中とは不思議なもので、みんなで交代で社会をつくっているようなんです。だから真面目で責任感の強いあなたは、ひとりで頑張らなくても大丈夫。あなたの意志はもう、次の誰かが担っているから。

NPOをやってみたい君へ。ここまで読んでもまだやりたいと思うなら、ぜひ挑戦してみて欲しい。本気の君を神様は全力で応援する。

(最後までお読みいただきまして、ありがとうございました)

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